老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

「新自由主義」の歴史的位置

2015-09-17 15:32:40 | 社会問題
1980年代に始まる新自由主義の政治経済政策、イギリスのサッチャー政権、アメリカのレーガン政権、そして日本の中曽根政権。これらの政策は国営事業の民営化、社会福祉の切り捨て、そして労働組合の解体政策などという一連の政策から成り立っていた。これらの政策の根底にある経済原理は市場原理主義である。それまでのケインズ主義政策と福祉国家理念の放棄が至上命令になったわけである。

その20年後、アメリカのブッシュジュニア政権と日本の小泉政権では、規制緩和政策と労働市場における非正規労働者の大幅な増大と正規社員の減少というあからさまな弱者切り捨て政策が現実化した。格差社会が明確化して、現在も歯止めが掛かっていない。

アベノミクスに象徴される安倍政権では、富裕層と大企業への有利な政策がそれまで以上に増大し、労働政策での規制緩和は強化されている。また、憲法の改悪も来るところまで来ている。

こうした新自由主義の跋扈と台頭の真相究明は、日本の学問的な分析は場当たり的であって、機能不全に陥っている。なぜなら新自由主義:グローバリズムという短絡的な視点では真相は一向に明らかにならないからである。「グローバリズム」という用語も実は何も説明していない同義反復的な言葉である。

グローバリズムという言葉を歴史的に見直せば、1980年代から明らかになった「近代世界システム」という視点が重要な分析概念であるだろう。

これまでの歴史は各国民国家単位の歴史を叙述してきたが、近代になってからは世界史という国家単位の歴史を越えた緊密な連関が成立してきた。それは西欧と西欧に植民地として繰りこまれた地域との結びつきであり、西欧諸国にしても植民地の拡大を巡る競争(戦争を含む)的な関係が成立したのである。

そして、植民地であった地域の独立がなされた第2次世界大戦後は近代世界システムは終わったかのように見えたが、現実は超大国(当時のソ連とアメリカ)の冷戦構造という形で残ったのであり、冷戦構造の終焉後も「近代世界システム」は未だ健全であり、継続中なのである。

これがグローバリズムの歴史を貫通する真の正体である。

各国民国家(インナーシステムという)の経済にしても、格差社会はアメリカのように不変であるか、日本のように格差社会が復活してしまった国もある。アメリカのウォール街を席巻したデモでも話題になったように、国内でも国民国家を超えた外部でも「世界は1%の富裕層と99%の低所得層との戦いの場になっている」ということである。

この状況がなぜ生じたのか。新自由主義という著書もあるデビット・ハーベイによれば、ケインズ政策などがが功を奏した時代に富裕層が失った財産が厖大であったので、彼らは政府に働きかけで失地回復を狙い金持ち優遇策などを実現し、再びパワーを得たというのである。

また、別の著書の「ショックドクトリン」という本では新自由主義の経済学者が実際にアメリカのCIAを動かして中南米などに乗り込み、従来の経済活動を崩壊させる経済計画を立ち上げて、その国の経済を破綻に導いたというのである。信じがたい事例であるが、1973年のチリにおける軍事クーデタはこのショックドクトリンのなせる技であるという。

こうして、新自由主義・グローバリズム・近代世界システムというある意味で暴力的な政策の台頭は、多くの格差社会の両極の反対側に位置する貧困層をますますより以上の貧困へと突き落とす状況を作り出している。

現在安保法制の成立が問題になっているが、アメリカのここ50年を見れば分かるように、集団的自衛権で戦争の最前線に出向く若者の多くは貧困層やアメリカ国籍も有していない人たちであった。日本も労働社会から排除されている非正規労働者の底辺部から海外の紛争地域へと送り出される日は近いと言わねばならないだろう。

(補論)
上記の書き込みでは市場原理主義とその帰結の一つである金融自由化や現在のTPPに代表される国際的な貿易取り決めや組織の問題に触れることができなかった。そこで参考文献を提示する。
①デビット・ハーベイ「新自由主義」
②ナオミ・クライン「ショック・ドクトリン」上下巻
③{共同研究}「近代世界システムと新自由主義グローバリズム」
④ジョバンニ・アリギ「長い20世紀」

「護憲+コラム」より
名無しの探偵
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寝てた議員名を公表せよ!

2015-09-17 15:29:00 | 国会
9/15の参議院・中央公聴会で学生団体SEALDs(シールズ)の代表メンバーである奥田愛基(あき)さんが野党推薦の公述人として発言しました。翌日の東京新聞にその発言全文が掲載され、私はその内容にあらためて感心しました。

 しかし、発言冒頭・・・すでに周知と思いますが・・・一部の国会議員について痛烈な批判を述べています。(以下、抜粋)

+++++++ ここから ++++++++
~こんなことを言うのは非常に申し訳ないが、先ほどから寝ている方がたくさんいるので、もしよろしければ話を聞いてほしい。
 僕も2日間くらい緊張して寝られなかったので。僕も帰って早く寝たいと思っているので、よろしくお願いします。~
++++++ ここまで ++++++

参議院の特別委員会に「特別に」招かれ、国家の重要な会議で恥じない発言をと臨んだ奥田さんは、どれほど落胆し、あらためて憤りを感じたことでしょう。

「国民が雨にも負けず、国会前で必死に意思表示しているのに、こんなヤツらが税金で養われて国家の方向性を決めようとして、いいんですか!?」
私ならば、発言の最後にこういう捨て台詞を残したかもしれませんが、奥田さんは冷静で紳士でした。

「目をつぶって聞き入っているのです」「寝てなんかいねーぞ!」こういう弁解もヤジもなかったようなので、数名?の国会議員が居眠りしていたのは事実でしょう。

この公聴会の議長は早急に「居眠り議員」を特定し、特定できなければ懐疑を代表して謝罪会見を開くべきです。こんな出来レースかつ予定調和の会議で安保法制に道筋をつけるのは間違っています!

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
猫家五六助
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平成三大民意無視、安倍政権の三大壮語

2015-09-17 15:24:24 | 自民党政治
東京新聞9/16付け記事「私説・論説室から」より転載します。

++++++ 消費税増税のジレンマ +++++++
 歴史上、「三大○○」といわれる。江戸三大改革といえば享保、寛政、天保改革だ。後世になって平成三大民意無視政策はと問われれば安保法制、原発再稼動、辺野古問題となるだろうか。それほどに世論調査による大多数意思と、ごり押し政策とのズレは大きい。

 ちなみに安倍政権の”三大壮語”といえばー。①アンダーコントロール②争点はアベノミクス③デフレは貨幣現象であり、金融政策で変えられるーあたりか。①は説明不要だろう。②は解散の大義を消費税増税延期の是非と掲げながら選挙に勝った途端、公約の271番目だった「安保法制」にまで国民の信任を得たと言ってのけた件。③は「2年間で2%の物価上昇目標」を達成できず、まったくの空論に終わった件だ。

 問題は政治責任を問われてしかるべき発言を連発しながら平然としていることだ。首相発言とは「鴻毛(こうもう)のごとく軽い」ものなのか。

 次なる壮語を予想すると、つい先日断言した「再来年4月の消費税率10%への引き上げは延期しない」が怪しい。首相応援団はアベノミクス失速の原因を昨年の消費税増税のせいのし、再増税延期を主張し始めている。

 しかし、首相は「アベノミクスで増税できる経済環境をつくる」と言ってきた。延期はアベノミクス破綻を自ら認めることになる。

 アベノミクスも増税もやめ、社会保障の抜本改革や歳出改革こそ先決だ。
++++++++ ここまで +++++++++

私は安倍首相が最低の政治家だと思うことが2つあります。

①失敗や不祥事について「責任は私にある」と言いながら、具体的に責任をとらない。すでに何回首相辞任してしかるべきか!

②国の借金を減らすために消費税8%増税したのに、1年経ってどれだけ国の借金が減ったかを示すどころか、ムダ使い(特に軍事費と外交的バラまき)を続けている。

これで首相のイスに居座れる状況を「独裁政治」といわずして、何といいましょうか!

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
猫家五六助
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