非国民通信

ノーモア・コイズミ

阿久根は今日も最先端

2010-06-23 23:05:17 | ニュース

市議に日当制、「年収」40万…阿久根市長また専決(読売新聞)

 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長は18日、市議報酬の日当制導入、法人市民税や固定資産税の引き下げなど、3件の条例制定、改正を専決処分した。

 竹原市長は議会に諮らないまま、職員や市議らのボーナス半減などの専決処分を繰り返しており、市議会(16人)の反市長派市議12人は「手続きを無視した悪政」と反発。22日にも伊藤祐一郎知事に対し、地方自治法に基づく是正勧告を行うよう求める。

 市によると、従来の市議報酬は月額制で、月26万3000円~37万1000円が支給されている。夏と冬のボーナスを合わせると年間支給額は360万円程度になる。

 今回、竹原市長は日額1万円の日当制を導入し、定例会や各委員会などに出席するごとに支給すると決めた。年間出席日数は平均約40日。ボーナスもなくなるため、市議の年収は40万円程度になるとみられる。施行日は7月1日。議員報酬の日当制は福島県矢祭町が導入している。

 市税条例や手数料条例の2条例も改正した。来年4月から、法人市民税の税率を現行の14・7%から12・3%に、固定資産税の市税分の税率を1・4%から1・2%にそれぞれ引き下げる。税収の減額幅は年間計約1億6000万円になる見込み。さらに、今年8月からは、住民票の交付手数料などを現行の300円から200円に引き下げる。

 さて、久々の阿久根市ですが、相変わらず最先端を走っている感じです。先日は民主党が法人税引き下げ方針を打ち出してきたわけですけれど、その辺もまた阿久根市の後追いに過ぎません。日本の政治の未来を具現化した存在である阿久根市では、市長の独断で法人税減税が決定されたようです。住民票の交付手数料も100円ほど下げられたそうで、この辺が市民向けに「改革の成果」としてアピールされるのかも知れませんが、そう頻繁に利用するわけでもないサービスの料金をジュース1本分だけ下げられたところで、ねぇ?

 ちなみに阿久根市の市議会議員の報酬はボーナス込みで360万円程度だとか。お金のためなら上京してサラリーマンやった方が良さそうですけれど、それでも議員なんてやるのは郷土愛の故でしょうか。しかるに、この程度の議員報酬でも目の敵にする人はいるもので、これまた市長の独断で議員報酬は日額1万円に下げられたそうです。年間出席日数は平均約40日と伝えられていますが、このまま市長の独裁が許され議会がマトモに開かれないとなれば限りなく0に近づく可能性も考えられます。

 そうなると議員報酬なしでも議員として活動できる人、つまりは有閑階級だけが議員を務めることになりますけれど、こういうところには目をつぶるのが市民感覚というもので、そうした市民感覚が竹原という狂人に権力を与えてもいるのでしょう。この手のむやみやたらと無償奉仕的な働き方を求める、低い報酬で働くことを求める感覚に関してはまた個別に考えてみたいと思いますが、ともあれ国政レベルでも民主党を筆頭に主だった党はことごとく議員削減を訴える、議員をムダと見なしているわけです。阿久根だけではなく日本全体の傾向として、議員の存在がムダ、それに支払われる報酬がムダと考えられている、その行き着く先が阿久根市で具現化されていると言えます。

 たしかにまぁ、この市長の暴走を止められない時点で市議会議員は役目を果たせていないと言えるのかも知れません。暴政に歯止めをかけるのも政治家の大切な役割ですから。しかし、この竹原市長やその支持層、並びに議員定数削減を競い合っている政党の政治家やそれに賛同している人々にとって、政治家の役割って何なのでしょうか。阿久根の場合は、定例会や委員会などに「出席」することに対して報酬が支払われるようです。他所の自治体でも「○○日しか出席していないのに、○○円も報酬を受け取っている~」みたいな批判は頻繁に耳にしますね。してみると、議員の仕事は「出席」であると、そう認識されているのでしょうか。そりゃ議会や委員会を欠席してばかりいる議員は問題かも知れませんが、「どれだけ出席したか」で議員の働きを評価するような人に、政治を語って欲しくないと思います。

 

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13 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
枝野の発言 (田所)
2010-06-24 04:55:32
衆院比例定数削減、選挙後に法案…枝野幹事長
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100624-00000018-yom-pol

たしかに管理人さんの言うとおりになってきてますね・・・
不思議に思うのですが官僚の力を弱めて政治家の数も減らすんじゃ誰が予算や法律を作るの?とつくづく思います

比例定数を削減したら民主と自民しか生き残れなくなりますね
まさしく消費税増税の大連立状態ですね(呆
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Unknown (TK)
2010-06-24 11:16:37
民主党も自民党もみんなの党も大阪の橋下、名古屋の河村、そして阿久根市の竹原といい、国民の受けがそれなりに良い政党と政治家はどれも同じような人たちですよね。
日本の劣悪な労働環境・派遣切り・格差社会・貧困層の増加に不満を持ってる人は少なくないと思うのですが、国民が支持して台等する政治家と政党はどうも逆の方向に向いているような気がします。

これらの社会不満の矛先が無関係である末端の公務員にまで向けられているのが彼らの台等を許している1番の原因だと思います。
これだと自分の首を自分で絞める間抜けな構図になるのですが、どうせ気付かないでしょう。
みんなの党なんて本来ならば極一部の富裕層しか支持してはいけないと思うのですが、1番躍進している政党ですよね。
きっと公務員の大規模なリストラと公務員給与を大幅に下げて民間並みにする(あれ?公務員給与は元々民間より抑えて設定されているはずでは?)マニフェストが大衆受けしているのでしょうけれど。

民主党のトップのすり替えも自民党末期が行った延命政策と同じですから、そのうち自民党末期と同じ道を辿るでしょうね。
だとするならば近い将来、非常に残念ながらみんなの党が政権を取る日が来るかもしれません。
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Unknown (非国民通信管理人)
2010-06-24 18:50:44
>田所さん

 人を信頼して任せる、ということができないタイプが民主党閣僚(特に若手)には多いような気がしますね。古いタイプの政治家ですと、大枠だけを政治家で決めて細部は官僚に詰めさせるのが基本であったように思いますが、枝野とかは何でも自分で監視しないと気が済まない、そうなると合議的な色合いが強いものよりも少数で物事を決めるやり方の方が好ましく思えるのかも知れません。

>TKさん

 所属政党は異なれど、受けるタイプは一緒なんですよね。貧困とか社会保障とか、世論調査上では重視されているように見えますけれど、では票を集めるのはどういうタイプかと言えば、公務員叩き(官僚否定や議員削減)を訴える輩ばかりですし。新内閣発足の勢いを選挙に持ち込める参院選は民主党の優位が動きそうにありませんが、いずれはみんなの党に票が流れる、似たような党に主導権を移すだけの政権交代が続きそうです。
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Unknown (ノエルザブレイヴ)
2010-06-25 01:08:59
こうなるともう完全に独裁者ですね。選挙で選ばれただけの。しかしこの選挙で選ばれたというのが曲者でそれがまた彼の行動に対するエクスキューズとして機能してしまうという…。
しかし、以前管理人さんがおっしゃっておりましたが議員にしても選挙で選ばれているのですよね。同じように選挙で選ばれているはずなのになぜか議員より首長のほうが圧倒的に受けが良い…何故でしょうね?

>どれだけ出席したか
まあ目に見えないものは信用できないのでしょう。
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公務員・議員叩きについて (元大阪府民からの伝言)
2010-06-25 01:48:30
初めまして。
最近政治関係のブログをちょこちょこ覗いている者です。
公務員や議員を叩いているのは主にどういう人なんでしょうか、興味があります。
私は仕事上、一般人相手をする事が多いですが、同じような立場の業界の人はあまり公務員や議員叩きをしないように感じます。
周囲の人もあまりこのての話をしませんし、
ネットなどでいろんな業界の裏話を見ていても、例えば販売職あたりでは正規雇用か否かを問わず、公務員をうらやむ声はさほどなかったりするんですよね。
技術系や現業系はともかくも、市役所の行政職や教員、警官などはまあ一般人相手のサービスですから、自らの仕事のきつい面と同等あるいはそれ以上の苦労や面倒があるのはわかりますから。
待遇がそれなりに良くても、失礼ながらそれほど魅力を感じません。
議員に関してもまあ似たような感じがします。

一方で、製造や物流の現場で働く非正規労働者のスレッドなんかでは公務員批判がよくでてきますね。
彼らの間でリアルにそういう話が飛び交っているのか、あるいはこれはある種のネット工作なのか(だとしたらその意図はよくわかりませんが)判別はつきかねますけど。
実際どうなんでしょう。
もし公務員になって、例え日常的にとんでもない人間を相手にする羽目になったとしても、安定した待遇は彼らにとっては魅力的に写るのでしょうかね?
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Unknown (非国民通信管理人)
2010-06-25 14:06:09
>ノエルザブレイヴさん

 選挙で選ばれた首長は「民意」の代弁者として扱われるのに、選挙で選ばれた議員はその限りではないんですよね。それだけ、間接民主制より直接民主制が、合議制よりも独裁制が望まれている、首長個人の「リーダーシップ」が望まれていると言うことなのかも知れません。

>元大阪府民からの伝言さん

 ヨーロッパでも極右排外主義に走るのは中産階級ではなく、貧困層が多いと聞きます。マルクスも最下層の労働者(ルンペンプロレタリアート)に関しては諦めていたフシがありますし、むしろ貧しい層ほど保守反動化しやすい、公務員などへの偏見も強いのかも知れません。貧困層にとって公務員や議員の世界が完全に「他所の世界」になっている、切り離されているところにも問題はあるのでしょうけれど。
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Unknown (ノエルザブレイヴ)
2010-06-27 00:47:05
ついに市職員が市長に逆らい出したようです。よく今まで我慢できたなあ、とそっちのほうが感心してしまいます。
しかし、例えば相撲と賭博の問題でも思ったことなのですが、世論の声の大きい部分においてはなんと言いますかこう物事に対して「速攻で厳罰を決断する」ことが是とされる傾向にあるな、と思います。「他罰的」「早い決断」というのがポイントでだからこの市長は方法が無茶苦茶な割に生き残れているのでしょうか。
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Unknown (非国民通信管理人)
2010-06-27 14:06:44
>ノエルザブレイヴさん

 県知事が動いたことで、ようやく市職員側も動き出したようですね。何しろ、いかに正当性があろうと公務員である以上は何をやっても悪役にされるのが現状ですから、後ろ盾が必要だったのかも知れません。なんだかんだ言って市民の支持は市長の方にありそうですし。
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雑誌も大概にしてほしい (不肖の弟子)
2010-06-27 22:58:22
「マガジンX」という自動車情報の雑誌に件の市長が熱弁をふるっていましたが「意見の垂れ流しは止めてくれ」でしたね。

「議員は、議会が開催される日しか働かない」と頭が固まる人間が生産されることは想像に難くないですから。
休んでいても一年の1/3以下の議員が殆どだろうし。「休会のときがかえって忙しい」と思う自分が性善説過ぎるなら否定しませんが、それでも市長の話を鵜呑みにしても、と思います。

公務員に関しては、若林アキが非正規雇用者を引き合いにして高給であることを批判していましたが、これはこれで言いがかりだと思いました。

一連の公務員批判に流されるかどうかは、身内に公務員がいたりとか、「公務員になりたい」ということで一歩でもなり方とか実際のことをきちんと調べられたかに左右されると信じているところがあります。
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Unknown (非国民通信管理人)
2010-06-27 23:39:40
>不肖の弟子さん

 自動車雑誌とは何とも似つかわしくない媒体に見えますが、編集者の好みなんでしょうかね。議員の仕事にしろ公務員の仕事にしろ、どうも自分が知らないまま、ひたすら「働いていない!」と罵倒し続ける、そんな人が多いようです。
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