今日は中央日報の記事を。
ＡＦＰ通信「北朝鮮が日本を軍事大国化に向かわせている」
北朝鮮の核実験とこれに伴う安保脅威を理由に、周辺国は「われわれも核武装を」として対抗する公算が大きくなったということだ。「最も強く乗り出している国が日本」という点には異見がない。 ＡＦＰ通信は「北朝鮮が日本を軍事大国の道に向かわせている」と報じた。
＜世論調査＞「太陽政策変えねば」７８％「韓国も核持つべき」６５％
「これからは我々も核兵器を保有しなければならない」という主張に対する共感が増えた。東アジア研究院（ＥＡＩ）の２００４年７月調査で５１％だったが、今回は６５％が韓国の核兵器保有に対して同意した。同意しないという回答は３２％だった。
北朝鮮が核開発を進めているのはほぼ間違いないようですが、核実験が成功なのか失敗なのか、地震波から推測される爆発の規模があまりにも小さすぎて判断が付きかねる有様。「北朝鮮の核開発力は所詮この程度」と、ちょっと暢気に過ぎるかも知れませんが私はむしろ安心してしまいましたよ。核開発を進める姿勢は危険ですが、実力が伴わないのでは脅しに過ぎない、北朝鮮の核開発力は数世代前のレベル、デイジーカッターなんかの方がよっぽど恐いと。
「核実験失敗あるいは偽装実験である可能性も」…日米が見る北核疑惑
軍事評論家である江畑謙介氏は「韓国が測定した地震規模が合っているとすれば大量の火薬による爆発だといってもおかしくない」と話した。防衛庁関係者は「たとえ１ｋｔだといってもこれは最も単純なプルトニウム爆弾だった長崎型原爆（約２０ｋｔ）の２０分の１」とし「早期爆発によって１ｋｔほどにとどまった可能性もある」と指摘した。
むしろ恐いのは、これが周辺諸国の核武装にとって格好の口実とされること、周辺諸国の世論が一気にタカ派に傾くことです。韓国の核武装支持者が引用記事の調査では６５％、北朝鮮よりは遙かにまともな技術がある韓国が核武装を進めれば、それ自体が脅威になり得ますし、同時に日本の核武装にとっても都合のいい口実を与えることになってしまいます。そして盧武鉉大統領の宥和政策にも非難囂々、大ピンチです。もし北朝鮮の狙いが韓国世論の混乱、盧武鉉の失脚にあるとするなら、金正日は上手くやったと言えますね。
で、前々から右傾化が顕著で核武装論も浸透しつつある日本でも、今回の核実験は格好の口実としてタカ派からは歓迎されそうです。これは頭の痛い問題、もし北朝鮮の狙いが日本のタカ派支援、ハト派の殲滅にあるとすれば、金正日は上手いことをやったのかも知れません。
北朝鮮の核開発力の貧弱さを世界に見せつけていったい何がしたいのか、思うに核の力で国家を守るというのはあくまで国内向けのパフォーマンスではないでしょうかね。核は他国に対する抑止力になる、そう信じている人は北朝鮮のみならず日本や韓国でも多いでしょうし。ただ実際は北朝鮮など足元にも及ばない絶望的な核武装を誇るアメリカが脅しをかけても北朝鮮の核実験を止められなかったように、核の抑止力など甚だ疑わしいものです。イラクは「大量破壊兵器を所持している」ことになっていましたが、いわゆる有志連合にためらいもなく攻め込まれましたし、核兵器の所持が暗黙の常識と化しているイスラエルでは戦闘が絶えません。核を持っている国、核を持っているとされる国は攻め込まれない、そんなものは幻想です。
今回の件で北朝鮮はさらなる国際的な孤立を招きましたが、小泉外交でもわかるように国際的な孤立はむしろ国内での支持率をあげるものと考えられます。北朝鮮の人と日本人が同じような思考パターンかはわかりませんが、日本が国際的孤立を強めるほど周辺諸国への憎悪は強まり国家への従属心は強まる、日本の世論はそうなってしまいました。もしかしたら今回の件とそれに続くであろう一連の制裁措置によって北朝鮮国内の金正日体制はより強固なものになるのかも知れません。一方でお隣の韓国は世論が分裂、曲がりなりにも平和路線を維持してきた日本も転覆へ、う～ん、これが金正日の策略なら恐ろしい男だ。やっかいなことをしてくれたものです。
