心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

ギア・チェンジ

2006-11-12 11:56:27 | Weblog
 少し肌寒い休日の朝を迎えました。薄いセーターを着て、愛犬ゴンタと久しぶりのお散歩でした。あとは、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調作品24《春》を、アルゲリッチのピアノ、クレーメルのヴァイオリンで聴きながら、ぼんやりとして、そしてパソコンの前に座りました。
 そういえば一昨日の真夜中、強烈な雷鳴に目を覚ましました。お隣の家にでも落ちたかのような、それは凄まじいものでした。自然の脅威というものを忘れがちな都会生活のなかで、久しぶりに体験した出来事でした。こうした自然への畏敬の念を抱くことで、私たちは自らの力、存在を確かめ、見つめなおすことになります。人間の尊大さ、傲慢さに気づくことになります。
 昨夜は、録画しておいたNHKテレビ「その時歴史が動いた”日本を発見した日本人~柳田国男・“遠野物語”誕生~”」を見ました。生活のいたるところに欧米文化が押し寄せつつあった明治の時代に、あえて日本の民間伝承に光をあてた民俗学者・柳田国男を追ったものでした。「遠野物語」は、岩手県遠野地方に伝わるお話を纏めたものですが、手許にある本を開いてみると「山の神」「ザシキワラシ」「山男」「山女」「かっぱ」「天狗」など、一見、子供向けの絵本の台本のような印象です。しかし、これらのお話しの中に「代々村人が守ってきた村の歴史や教訓が込められている」。そこには、安易に西洋文明に流されるのではなく、自らの足で大地を踏みしめ、自らの目で世の中の動きを見つめることの大切さを訴える柳田の視点がありました。
 さて、11月も半ば、今年もあと1ヶ月半を残すのみです。若干の焦りもありますが、焦ったってしようがありません。昨日は、仕事の流れが一瞬止まる瞬間がありました。止まるというよりも、真空状態になったといった方が正解かもしれません。で、何をしたかといえば、デスクの書類整理です。わたしは時系列にファイル管理をしていますから、開かない書類はどんどん奥の方に溜まっていきます。昨日は、思い切って引き出しの奥に溜まっている書類すべてを、ろくに中身も確認することなく廃棄しました。1時間ほどかけてシュレッダーで裁断したら、急に肩の荷が下りたような、不思議な感覚が私を包み込みました。様々な過去の柵からの解放感というのでしょうか。人間って、どうしようもなく硬直化するときがあります。そんなときは、いっそ思い切って連続性を絶つというのも悪くない。ギア・チェンジをして、もう一度足元からものごとを組み立て直してみる。これも楽しいことです。
 私が愛用している、野口悠紀雄先生考案の『超整理手帳』も、明日13日からいよいよ2007年バージョンです。A版四つ折りサイズで、ジャバラ式のスケジュール・シートを開けば、最長8週間の予定がひと目で見渡せる一覧性が魅力です。かれこれ10年近く愛用しています。これに Post- it Noteを組み合わせれば、わたしの携帯アナログ情報管理ツールが整います。さぁ、長い人生、もうひと踏ん張りしてみますか。
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