心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

久しぶりにナカノシマ大学を覗く。

2024-06-22 10:18:50 | Weblog

 今週の水彩画教室のテーマは「青い花」でした。昔、サントリーさんが青いバラを開発したというので、そのお披露目に出かけたことがありますが、受講生の多くはお庭の紫陽花をお持ちになりました。さあて私はどうしよう。ということで思いついたのが、ジャカランダの花でした。ネムノキのような木の枝先にたくさんの青紫の花が咲きます。中南米産で今が開花の季節。持って行ったのは、バルセロナのサグラダ・ファミリアで撮った写真でした。建物と花とどちらにスポットを当てようか悩んでいるうちに中途半端な仕上がりになってしまいました。さあて、これをどう仕上げるかがこれからの課題です(笑)。

 昨夜は、中之島図書館の会議室であったナカノシマ大学の6月講座を覗いてきました。テーマは『大阪の本好きに伝えたい「参加したくなる」本屋の話』です。講師は「読書室」主宰の三砂慶明さん。梅田蔦屋書店の立ち上げからお務めの店員さんでもあります。これからの本屋の可能性や大阪の「参加したくなる書店」のお話などを90分にわたってたっぷりと伺いました。
 このナカノシマ大学は15周年を迎えます。初期の頃は支援を含めて時々おじゃましていましたが、その後長い間失礼していましたので、今回久しぶりの受講でした。当初から陣頭指揮をとっていらっしゃる方ともお会いできました。
 ところで、「本屋」という名前の由来は、慶長14年(1609)に京都室町通近衛町に書店を開いた「本屋新七」だったとか。その後多くの同業者がその屋号を使うようになり、それが現在の「本屋」さんという名前になったそうです。
 20年間で情報量が6500億倍も増えていると言われるなかで、近年ネットの普及で様変わりしています。ご提示いただいた出版市場の推移を見ても、約3割は電子媒体に変わっています。街の本屋さんが徐々に減ってきています。大型書店も以前ほどの賑わいはありません。
 そんななかで、本との向き合い方、本屋に「参加する」ということ、なぜ人生には本が必要なのか、いっとかなあかん本屋(大阪編)などについて、ご自分の本とのかかわりをもとにお話しになりました。まだ40代のお若い三砂さんでしたが、その行動力と若々しさが充満した講座でした。
 私が時々出かけるシニア向けの講座とは違い、お集まりの方々はなんと20代から70代と幅広く、華やいだ雰囲気がありました。私の横にお座りになった、仕事を終えて駆け付けたという30代の女性も、楽しそうにお話しをお聞きになっていました。仕事とは違う世界を楽しむ。私もそんな時期がありました。なんとなく若返ったような気分でした(笑)。
 考えてみると、私の街の近所にあったTSUTAYAさんは数年前に閉店しました。休日の昼下がり何となく出かけると老若男女楽しく本を眺めている風景を懐かしく思い出します。人との出会い、文化の香りのような独特な雰囲気がありました。でも、今はだだっ広い空き地になっています。寂しいことです。
 子供の頃には、小さな田舎に小さな本屋さんが一軒だけありました。毎月子供向けの雑誌が届くのが楽しみでした。まだ見ぬ世界に案内してくれました。その後、大学に進むと書店に頻繁に通うようになり、社会人になると最新の情報と知識を求めて大型書店に通いました。歳とともに、古本屋さんにも通うようにもなりました。出張など遠方に出かけるとき、必ずといってよいほど、地元の本屋さんを覗く楽しさを覚えたりもしました。それほど私にとって本屋さんは大事な場所でもあります。そういえば、先月フィレンツェを訪ねた際、古本屋さんの存在が気になりました。
    講座が終わったあと、本の即売をしていました。講演のなかでも話題になった鳥取市にお住まいの奈良敏行さんと三砂慶明さん共著「町の本屋という物語~定有堂書店の43年~」(2024年3月15日初版:作品社)を連れて帰りました。

 本のカバーにはこんな文章が添えてありました。「鳥取の定有堂書店は、いかにして地域の文化拠点となり、日本中から本好きや書店員が足を運ぶ「聖地」となっていったのか。名店の店主が折に触れつづった言葉から、その軌跡が立ち現われる。<本の力>が疑われる今まさに、手にとるべき一冊」とあります。

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