歩き遍路の帰途、高知駅前の広場に立つ土佐三志士(武市半平太、坂本龍馬、中岡慎太郎)を見上げながら、幕末から明治維新にかけて活躍した人物の大きさを改めて思いました。
その隣にあるパビリオン龍馬伝幕末志士社中には、「龍馬伝」の撮影に使われた坂本龍馬の生家セットが再現されてあり、パネルのひとつには「薩長同盟締結」と題して、西郷隆盛と桂小五郎の写真が掲載されていました。
時代の変わり目に生きた先人たちの高い志と勇気。時代が動くとはそういうことなんだろうと。美辞麗句ではなく、人間の顔と心が見える政治。いま政治家に問われているのはそういうことではないかと思ったものでした。
ところで、1カ月ほど前にJALパックの格安チケットが手に入ったので、高知の歩き遍路から帰った1週間後に、今度は家内と3泊4日の鹿児島旅行に出かけました。NHK大河ドラマ「西郷どん」を見ていて思い立った旅行です。(写真は「西郷どん」のオープニングシーンに登場する雄川の滝)
実は鹿児島は、長男君が社会人になって最初の勤務地だった街です。そのため何度か出かけたことがありました。そのたびに天文館の居酒屋で美味しい地鶏料理と芋焼酎をいただきながら長男君と語り合ったものでした。彼は5年ほどいたでしょうか。結婚した翌年に甲府市に転勤となり、その後東京本社に異動して今日に至っています。そんな鹿児島に、久しぶりに初老の夫婦が出かけたというわけです。
鹿児島空港に到着すると、まず霧島方面に向かおうとしましたが、なんと急に土砂降りの雨。やむなく予定を変更して鹿児島市内に向かいました。ホテルに入るには少し早かったので、鹿児島中央駅前で「まち巡りバス」に乗って仙厳園へ。庭園から眺める桜島、そして明治日本の産業革命遺産を今に伝える尚古集成館。いずれも、もう一度行きたかった所でした。
その後、城山のホテルでゆったりまったりの鹿児島の夜を満喫しました。露天風呂から眺める桜島、素晴らしい景色でした。(下段、露天風呂から眺める桜島の写真はホテルでいただいた写真のコピーです)
今回の旅行は、観光バスを使って鹿児島県の観光スポットを凡そ総なめにすることを考えました。そこで二日目は、指宿・知覧観光バスに乗って薩摩半島を巡りました。長男君とは一緒に行けなかった長崎鼻、開聞岳、池田湖、知覧特攻平和会館、武家屋敷と、足早に見て回りました。
特に印象深かったのは、爆弾を搭載した飛行機もろとも敵艦に体当たり攻撃をした若き特攻隊員たちの遺品などを展示した知覧特攻平和会館でした。戦争とは何か、平和とは何か、人の幸せとは何かを考えさせられました。同行した家内は、入館するなり特攻隊員が遺した手紙を見て涙が止まりません。子を思う母親の一面を垣間見た思いがいたしました。
三日目は、薩摩半島とは反対側の大隅半島を巡る観光バスに乗って、溝の口洞穴、黒酢の郷「桷志田」、荒平天神、そして最後はお目当ての雄川の滝を見ました。あいにく雨が降ってきましたが、駐車場から徒歩で1.2キロの先にある雄川の滝の風景には感動しました。
最終日は、早朝、鹿児島中央駅から列車で国分駅まで行き、そこで霧島バス一日乗車券(のったりおりたりマイプラン)で、霧島神社と霧島温泉郷に向かいました。ほんの数時間の観光でしたが、霧島の自然風景、霧島神社の美しさ、神秘な世界を堪能しました。鹿児島には、まだまだ自然が残っています。この自然を大切にするのも今を生きる私たちの役目かもしれません。
この4日間、いろんな角度から桜島と向き合ってきました。あるときは雲の傘を被り、あるときは噴煙を上げ、まさに生きている火山であることを主張していました。
とはいうものの、自然の美しさの裏には刃もあります。室戸台風以来という台風21号は関西国際空港を機能不全にしましたし、街の至る所で台風の傷跡が認められます。台風一過、こんどは北海道で大地震です。被害に遭われた方々には辛い日々が続きます。心からお見舞い申し上げます。