心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

やっちゃん、逝く

2013-03-24 09:57:28 | Weblog
 先日、従兄のやっちゃんが亡くなりました。63歳でした。地元の大学を卒業後、高校の理科教員になりましたが、若くして腎臓を患い、透析を続けながら教壇に立っていました。病状が悪化してからは定時制に配置換えを願い出て仕事をつづけました。40年近くにわたって透析をしながら生きているのは県下でも稀と自慢していました。昨秋、兄の葬儀のときにも駆けつけてくれました。
 そんなやっちゃんは、父の妹の長男で、私とは1歳違いでした。小さい頃、叔母さんに連れられてやってきた彼とはよく遊んだものです。でも、別れ際にはいつも喧嘩になりました。いま思えば、もっと遊びたい、別れたくない、お互いのそんな思いが、そうさせたのでしょう。
 幼少の頃から決して丈夫ではなかったけれど、1年早く大学生になった彼は、漕艇部に入部しました。身体が小さいからコックス(舵手)として頑張りました。夏休みには自転車で旅行をしていました。その途中、我が家にも立ち寄ってくれました。受験勉強をしていた頃です。勉強の進み具合を聞きながら、「大学って楽しいところだ」と何度も話していました。私にとっては、未だ見ぬ大学にある種の憧れを抱かせたものでした。
 そんな彼は、定年より少し早く職を辞すると、白墨を持つ手に鍬をもち、野菜作りをしながら悠々自適の生活を楽しんでいたようでした。同じく教員をしていた奥さんも定年前に退職して二人で余生を過ごそうとしていた矢先のことでした。63歳、私の母が亡くなった歳と同じです.....。

 寂しい話題になってしまいましたが、大阪では先週末、桜の開花宣言がありました。職場の構内にある桜も花が開き始めています。そんな春3月の日曜日、NHKFM「名演奏ライブラリー~ウォルフガング・サヴァリッシュをしのんで~」を録音しながらのブログ更新です。久しぶりに歌劇「タンホイザー」序曲などを聴いています。
 ところで、昨日は仕事帰りに梅田界隈を散策しました。接点改質剤に刺激されたわけでもありませんが、大阪駅前のヨドバシカメラでオーディオ用電源タップなるものを購入しました。なんのことはありません。タコ足配線のコンセントのようなものですが、これがまた優れもの。電気が汚れるという表現がよく理解できないのですが、機器の電源をすべてこの電源タップに繫いでいくと、音質が格段に良くなるのです。これには驚きました。

 駅前第一ビル地下のワルティさんでは、探していたグレン・グールドのCDが見つかりました。大江橋駅の天牛堺書店さん(古書店)では、1冊300円コーナーで、日本の近代文学の誕生に貢献したとされる坪内逍遥の「小説神髄」(復刻版)と「惜しみなき青春(竹下夢二の愛と革命と漂泊の生涯)」を手にしました。
 仕事を忘れ都会のど真ん中を闊歩するのは楽しいものです。最近、昭和より前の時代、特に江戸末期から明治にかけての激動の時代に生きた人々の生き様に関心があります。260年にわたる太平の時代から目を覚ます時代状況が、今日の状況と非常によく似ていると思うからです。次代に繫ぐ何か新しい知見を見出したい、そんな思いがあります。
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