心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

ヤナ―チェックの『シンフォニエッタ』

2012-06-17 09:02:14 | Weblog
 先週末、午後の会議が終わるとどっと疲れを感じました。追い詰められているわけではないけれど、不規則な生活が続くと身心ともにダメージが大きいようです。長い長い1カ月間でした。今週は久しぶりに土日連休をいただいています。

「タクシーのラジオは、FM放送のクラシック音楽番組を流していた。曲はヤナ―チェックの『シンフォニエッタ』。渋滞に巻き込まれたタクシーの中で聴くのにうってつけの音楽とは言えないはずだ。運転手もとくに熱心にその音楽に耳を澄ませているようには見えなかった。・・・・ヤナ―チェックの『シンフォニエッタ』の冒頭部分を耳にして、これはヤナ―チェックの『シンフォニエッタ』だと言い当てられる人が、世間にいったいどれくらいいるだろう。・・・・」

 これは村上春樹の「1Q84」(BOOK1前編)1ページ目の文章です。この小説には、ところどころにチェコの作曲家ヤナ―チェックの『シンフォニエッタ』の文字が登場しますが、私はその曲を知りません。気になっていたので昨日、溜まっていたメールや手紙にお返事を差し上げると、日本橋のDISK J.J.さんにおじゃましました。LPレコードが置いてある3階は、いつものように常連客がちらほら。そこでは見つけることはできなかったので、斉藤秀雄メモリアルコンサートほか数枚を手にして1階のCDコーナーに移動。やっとヤナ―チェックのCD『シンフォニエッタ』(LONDON)を見つけました。指揮は第一人者のマッケラス。演奏はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団でした。

 3週間前に「1Q84」を手にして、はや5冊目(BOOK3前編)です。青豆と天吾の不思議な物語に、ついつい前のめりになっています。ふたりの背景には、別の流れを汲む宗教組織がぼんやりと見えます。それが先日来新聞等で報じられているオウム事件と重なります。「空気さなぎ」という童話のようなお話、必殺仕掛人よろしく手際よく人を殺す青豆という若き女性、数学教師にして小説家をめざす天吾。「ふかえり」という17歳の女性の不思議。青豆と天吾の過去の出会い。彼らを取り巻く人々。それぞれ別のストーリーが、あるものを境に繋がっていく。様々な登場人物が過去と現在と未来を行ったり来たりしている。だから読み急ぐ。そんな楽しさが、このお話にはあるようです。

 青豆の心象風景とヤナ―チェックの『シンフォニエッタ』。なんとなく判るようで、しかし曖昧模糊としています。日本橋から帰ると、さっそくCDの封を開きました。管楽器のファンファーレから始まるこの曲は、1926年6月29日、チェコの青少年協会のための祝典コンサートで初演されたものだそうです。おそらく全6冊を読み終わった時に、この曲との関係性がぼんやりと見えてくるのでしょう。焦らず、当面は音楽そのものを楽しむことに。
 このところ、無性に音楽の世界に惹かれていて、この日は、村上春樹つながりで、小澤征爾とボストン響のLPを含めて4枚を手にしたほか、DISC・PIERというCD専門店にも立ち寄って、内田光子プレミアム・ベストの新品CDも買い求めました。昨夜から頭の中が空っぽになるぐらい音の世界に浸っています。


 きょうの日曜日は、週間天気予報に反して朝からうっすらと青空が覗いています。気分爽快です。朝、愛犬ゴンタ君の散歩を終えて庭に出ると、ブルーベリーの実が色づき始めていました。鉢植えのナスに実がついています。孫君を呼んでジャガイモ掘りをする日も遠くなさそうです。私の知らない間にも、すべてが変化していることを実感します。そういえば、先日、我が家で採れたソラマメをつかったスパゲッティーをいただきました。新鮮で味が違いました。さあて、きょうは孫君の顔でも覗いてみることにしましょう。

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