心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

南方熊楠考、いよいよ本丸へ

2010-06-20 09:09:55 | Weblog
 我が家のパフィオ「デレナティ」がやっと花開きました。今年の冬にデパートのラン展で購入したばかりなので今年は諦めていたのですが、数週間前から花茎が伸びてきて、ゆっくりと花弁を広げました。「デレナティ」を愛でながら美味しいワインをいただく、最高です。

 さてさて、梅雨入りして1週間が経ちます。蒸し暑い、じめじめした毎日が続いています。この季節になるとふと浮かんでくる絵が、ジョン・エヴァレット・ミレイの「オフィーリア」です。シェイクスピアの「ハムレット」に登場するオフィーリアの死を描いた絵、小川の岸辺で摘んだであろう草花を手にしたまま、小川に浮かんでいるオフィーリア。気になってしようがない。そんなオフィーリアをベースに「草枕」を書いたのが夏目漱石。その「草枕」を愛読したピアニストのグレン・グールド。1枚の絵が、人の心に様々な思いを募らせます。そう、ちょうど2年前のこの時期にも「夏目漱石とグレン・グールド」と題するお話をブログで紹介したことがありました。
 きょう掲載した写真は、マルタ・アルゲリッチが演奏するLPレコード(シューマン作曲「幻想曲ハ長調作品17」「幻想小曲集作品12」)です。演奏がアルゲリッチであり、ジャケットの絵がオフィーリアであることから、私にとってはお気に入りのLPのひとつです。その曲を聴きながらブログ更新をしています。

 ところで、最近、私の南方熊楠文庫に新しい仲間がやってきました。河出文庫「南方熊楠コレクション」(全5巻)です。1カ月ほど前に楽天ブックで注文したのですが2週間経って「在庫がありません」とのお返事をいただいて、少しがっかりしていたところ、梅田の書店で見つけたのです。先週の土曜日、池田市からの帰り道に、阪急電車梅田駅に隣接する紀伊国屋書店に立ち寄った際、書店の所蔵検索でⅡ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ巻を見つけました。肝心のⅠ巻「南方マンダラ」がなかったので堂島のジュンク堂書店に足を伸ばして、それも見つけました。これで全巻揃い踏みです。私の熊楠文庫は、どちらかと言えば熊楠を研究対象とする書が多いのですが、ここにきてやっと熊楠自身の文章に接することなります。中沢新一氏の解題を除き、文体は明治時代の古めかしい表現ですから、漢文古文の苦手な私にとってはやや荷が重いところがないわけではありません。まさに英文を読むような感覚で全体の流れと熊楠の心を見失わないように、注意深く読み進んでおります。私の南方熊楠考もいよいよ本丸に入ってきました。それにしても河出文庫さんは、良い仕事をしていただいています。私にとっては須賀敦子全集に次ぐ本格派です。
 ・・・・協議、交渉、決断、実行と、連日、仕事が輻輳して息切れしそうなのに、お気楽を気取っています。四六時中神経を研ぎ澄ませていては心が挫けそうになるから。自己防衛なのでしょうか。意識的に異次元の世界(時間)を彷徨する習慣が、悲しいかな長いサラリーマン生活のなかで身についてしまいました。でも、精神的にタフでいられるのも、ひょっとしてこのせいかもしれません。3週間ぶりに土日連休をいただいて、実は昨日から貪るように読み耽っています。
 さて、今日はこれから、高齢になった家内の母親を見舞うため、おでかけです。「南方マンダラ」をポケットに入れて。
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