ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

三種類の涙

2023年09月25日 | レッスンメモ
ピアノのコンクールに挑戦する子供たちは皆一生懸命頑張って本番の日を迎えるのですけれど、もちろん結果はそれぞれで悲喜こもごもです。思わず涙する子供たちも少なくありません。一生懸命頑張ってきたお子さんが、本番を弾き終えた後や結果が発表された後に、泣き出してしまうのにはいくつかのパターンがあります。

第一のパターンが悔し泣きです。これは本人の予想や希望を裏切る結果が出たときで、しかも自分としては精いっぱいやったのに、という気持ちが強いときにありがちな泣き方です。このケースはとても多いのですが、この経験から子供たちが学ぶことは実はとても多くて、しかも貴重なのです。みんなこのような経験を経て上手になっていく、大人になっていくと言っても過言ではありません。だからお母さん「悔し泣き」は心配しないでくださいね。悔し泣きは自分を見つめ直し、次の課題と目標を明確にする絶好の機会です。

第二のパターンは「ショック泣き」です。これは年齢に関係なく比較的ちゃんと練習してる子が時折見舞われる、本番で「ありえないミス」をやらかしてしまったショックで泣いてしまうことです。これは審査結果は関係ありません。なんとか最後まで気丈に弾き終えて、舞台の袖から控室、ロビーへと続く通路で、もうこらえきれずに涙がこぼれてしまいます。本番でのこのようなミスを完全に無くすというのは、実はとても難しいことです。プロだっていつもノーミスで弾けるわけではありません。ただ、コンクールというのはその性質上、ミスに対してとても厳しいので、このようなケースを目の当たりにするとこちらも胸が痛みます。「練習では完璧に弾けてたのに」とか、「今まであそこであんなミスしたことなんてなかったのに」というようなことが本番で起きてしまう。本番の恐ろしさ、というやつですね。これには特効薬はありません。とにかく場数を踏む、経験を重ねる、ひたすら練習に励む、考えるということ以外にありません。お子さんがショック泣きという事態に見舞われた場合、お母さんはとにかく理屈抜きで慰めてあげてくださいね。とにかくショックから立ち直ることが大事ですから。たいていの場合子供の方が強くて1日か2日で立ち直ることが多いです。

最後のパターンは「うれし泣き」です。これはもう説明はいりませんね。望外の良い結果に恵まれて、文字通り飛び上がって、うれしくてうれしくて、うれし泣きです。生徒のそんな姿を目の当たりにすると私も本当に嬉しくなります。

以上、三つのパターンの涙について書いてみました。理由は何であれ、コンクール会場で泣き出してしまうというのは、実はその子なりに真剣に取り組んできたことのあかしだと私は思っています。そしてそいう経験を積み重ねることによって、キリッと唇をかみしめて困難を乗り越えていく力、これを身につけていくのだと思います。

私はどの涙の子にも同じようにハグしてあげたい



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