ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

美点凝視

2014年04月24日 | レッスンメモ
美点凝視(びてんぎょうし)という言葉が好きです。相手の欠点に目くじらを立てるのではなく、長所に注目するという意味です。減点主義ではなくて、加点主義です。ピアノを生徒に教えていると、「短所を直す」ところと「長所を伸ばす」ところの両方が出てきます。どちらも大切なことなのでしっかり教えなければいけません。時々私はレッスンの終わった後にちょっと自分で振り返ってみることがあります。今終わったレッスンで、自分は「直す」ための指導と「伸ばす」ための指導と、どちらをどれくらいやっただろうか、そのバランスはどうだっただろうかと? 何事であれ、悪いところや欠点というのは目に(耳に)つきやすいものです。まして相手が未熟な生徒であればなおさらです。レッスンの間じゅう、ダメ出ししようと思えばいくらでも簡単にできるわけです。でもそれでは生徒は伸びません。逆に委縮してしまいます。だからこそ美点凝視が大切です。欠点は簡単に目につくけれど、美点というのは凝視しないとなかなか見えるものではないという意味も、この言葉には込められていると思っています。

コンクールの審査員をしているときも自分としては長所と短所のバランスに気を配るようにしています。ここはいただけないなと思うところは減点の対象になりますが、長所に対する加点ということを常に意識して採点するようにしています。ノーミスだけれども取り立てて魅力が感じられない演奏と、多少の欠点はあったものの、素晴らしい音色を響かせてくれた生徒とでは、後者の方に魅力を感じます。

コンサートを聴きに行ったときはなおさらです。楽しむために行っているのですから、とにかくその演奏家の良いところに注目します。「あれ?」と思うことが多少あっても、それを上回る「うわ、素敵!」があれば十分満足です。コンクールじゃないので「あそこでミスがあったわね」とかアラ探ししても意味ないと思うのですよね。

人の気づかないような小さな欠点まで素早く察知できる耳も必要だけど、人の気付かないような美点を、それもまだ小さな双葉の頃から、いち早く見いだせるような、そんな耳をもちたいと思っています。

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