名古屋から発するブログつぶて・凡人のひとりごと

身の回り、世間のできごとをを日記風に記す(紙つぶてならぬブログつぶて)。

再審取り消しと再審認めずの二つの裁判

2013-03-06 21:24:23 | Weblog
2013.3.6(水)
 今日、二つの殺人事件の再審裁判があった。
 一つは、福井市で1986年に起きた女子中学生殺害事件の再審請求に対する検察側の異議審で、名古屋高裁は「確定判決の事実認定に合理的な疑いを差し挟む余地はない」として、検察側の異議を全面的に認め、前川彰司元被告(47)の再審開始を認めた高裁金沢支部の決定(2011年)を取り消した、というものである。
 もう一つは、鹿児島県大崎町で1979年、男性の遺体が見つかった「大崎事件」で、鹿児島地裁は殺人と死体遺棄罪で懲役10年が確定、服役していた原口アヤ子さん(85)の再審開始を認めず、請求を棄却する決定をしたものである。
 いずれの事件の被告も一貫して無実を主張しており、物的証拠はなく、知人の供述や共犯者の自白に頼ったものであることが争点となっていた。
 弁護団は、福井事件では最高裁に特別抗告し、大崎事件では即時抗告するとしている。
 こうした決定がなされても我々一般市民には本当のことは分からない。冤罪を避けるという観点から、裁判で有罪が確定してからでもやり直しの裁判をすることが認められる。この請求は何度でもできることになっている。2011年までの過去5年間でみると、1151人が再審を請求し、認められたのは3%強の39人という。
 疑わしきは罰せずという裁判の鉄則からすれば、今回の二つの決定は本当に大丈夫かという気もする。検察の主張をほとんど認め、裁判所自ら新しい事実を探求しようとした様子がないという批判もある。
 一方で、無実を主張しているからといって安易に再審とすることも問題があることも分からないでもない。5年間で1151人もの再審請求があるというのも、請求さえすれば有罪が覆るということの期待があるとしたら問題である。
 いずれにしろ我々素人にはなかなか踏み込めない世界であるが、しかし「疑わしきは罰せず」という大原則を常に忘れないでほしいと願うだけである。