名古屋から発するブログつぶて・凡人のひとりごと

身の回り、世間のできごとをを日記風に記す(紙つぶてならぬブログつぶて)。

巨大防潮堤で津波から守るというが??

2013-03-11 13:39:18 | Weblog
2013.3.11(月)
 東日本大震災から丸2年が経った。津波による被害の復興は一向に進んでいない。東電福島原発の被害に至ってはその解決の展望すら見えない。被災地から全国への避難者は未だに31万5196人に及ぶという。
 ところで、津波で被災した集落の移転は沿岸部の224地区で事業を想定しているというが、未だ一つも実現していない。そして沿岸には巨大防潮堤の建設計画が進んでいる。原発立地箇所では、浜岡原発など着々と進んでいるらしい。北陸電力の志賀原発などはすでに完了したという。
 さて、この防潮堤を被災地域の住民は本当に望んでいるのであろうか。
 「万里の長城」と呼ばれていた岩手県宮古市田老地区の長大な防潮堤は、明治、昭和の「三陸津波」の被害を受けて建設され、昭和33年に完成した。総延長1350メートル、高さは海面から10.45メートルという大規模なものである。それでも今回の大津波には勝てなかった。
 これに懲りずに被害地の海岸線で巨大防潮堤建設計画が進んでいる。宮城県気仙沼の大谷海岸では、震災から半年後に高さ9.8メートルの防潮堤建設が震災復興計画として示された。
 遠くに住む我々はこうした防潮堤も必要なものとの認識でいたが、地域住民にとってはどうもそうではないらしい。高いコンクリート壁で海を隔てれば海辺の生態系を壊し、津波からの避難も遅れる。白い砂丘の海水浴場も失われる。
 しかし、住民達は「復興の予算とスピードを人質に取られているようなもの。文句を言うことで復興全体が遅れることがあっては困るから」何も言えなかったという。 多くの地域で防潮堤計画はなし崩し的に進んでいる。反対する人、やむを得ず賛成する人との間で地域の信頼関係が壊れていくことを多くの住民が心配している。

 そもそもこの防潮堤計画は、「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」の類ではないか。津波は東北地方だけに来るものではない。日本は全体が海に囲まれている。日本全国どこでも津波に襲われる危険がある。そうであるなら、日本全国の海岸線はすべて巨大防潮堤で覆わなければならない。今回の被災地域だけにこだわるのはむしろ筋が通らない。役所というところの感覚のお粗末さである。