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田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

九尾族の恨みはらします イジメ教師は悪魔の顔/麻屋与志夫

2011-10-13 10:00:18 | Weblog
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尾形は廃屋と化していた。 
朽ち果ていた。

ところどころにはのこっていた。
昭和20年までつづいてきた。
古き良き時代の日本の農村風景。      

道端に道祖神がある。
なかよくだきあった二神は苔にふちどられていた。

川では水車がまわっている?

「おれが楔をはずした。まだ動くとはおもわなかった」
となつかしそうに勝平がつぶやいた。

三人は九尾と蛇神を合祀している神社の境内に陣取った。
大きな鈴の向こうの社の欄間には絵が描いてあった。
古く幼い感じの絵だった。
狐の尾は蛇のように広がている。
九本の尾はあらゆる方角をにらんでいた。
誠もハジメテ参拝する神社だった。

「これってすごい。すごすぎるよ。うちの先祖は忍者だったの」
翔太は〈ナルト〉のなかに封印されている。
九尾の狐をイメージして興奮している。
「そうかもしれないな」
誠はあえて否定はしなかった。

「ようきた。ようきたな。ぬかるまいぞ。われらもついているからな」
勝平のこころには伝わってきた。
無数の心強い励ましのことばが、ひびいてきた。

妻、並子の一族。
九尾族の60年の恨み。
敗戦の夏の暑さの下の。
陰惨な事件をおもいだした。

いやもっと古い平安の御代。
鳥羽上皇に仕えた白面金毛九尾の狐の長い恨みを晴らすため。
この地を、人狼との決戦の場として、勝平は選んだ。
玉藻の前は、九尾族の女王は人狼に敗れたのだった。

九尾の落ち武者、尾形の女はあのとき抹殺された。
は再生されないままだった。
しかし、彼女たちのスピリットは死なない。
人狼の正体を見抜く心眼。
人狼への恨みは1000年の時空を超えてめんめんとつづいている。
その血は成尾家に継承されている。


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