田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

斬るほうが痛いシ/超能力シスターズ美香&香世 麻屋与志夫

2010-12-30 00:45:29 | Weblog
8
これは……この感触は……。
指で触れている。
指で斬った。
Vの皮膚を裂き、肉を斬り、骨を断つ手ごたえ。

なんてオゾマシイ感触なのだろう。
吐き気をもよおす。

Vを斬ったのははじめてだ。
竹刀の打ち込みとはちがう。
想像もつかない嫌悪。

「イヤダ」

コンナの、いやだな。
悪寒がこみあげてくる。
背中がはじめての悪寒に、ふるえている。
正義のためだ。
人の世の正義のための剣を学べ。
そう教育されてきた。
これは正義のため。
でも絶対的正義などあるの?
体のふるえがとまらない。

「オネエ。あそこの路地にVを追いこもうよ。狭い場所なら……美香は無敵よ!!」

香世は姉の戦意がにぶっているのは広場恐怖症のためだと心配している。
美香は妹の心配りがうれしかった。
道場でのたちあいなら負け知らず。
広い体育館での大会となると動きがギクシャクとしてしまう。
姉妹で敵と戦うのは初めてだ。

斬るほうが、斬られるより、心が痛む。
たとえVでもこうむぞうさに斬り捨てていいものか。

「敵に情けはむようです。美香」

アンデイが母と、美香のかたわらに立っていた。
つい先ほど、平和の森公園で刃を向けた相手だ。
美香の太刀筋のとまどいがよくわかるのだろう。
ひとりでもおおくのVをこちらにひきつけたい。
百子たちは疲労している。
かなり長いこと忘年会帰りの女子をたすけようと戦っていたらしい。
わたしたちは、ここに招かれた。
クノイチ48と合流するのが定めだった。
姉妹は背中あわせ。
両側からVに襲われている。
アンデイがコートから人口血液のパックをとりだしグイのみした。

「マミー。戦いますか」 
「アメリカのwhite vampireか?」

Vの中から声がした。

「そうよ。ニューオリンズの生まれよ」

シャリーの凛とした声が合図となった。
Vの群れが四方からおそってきた。
その群れの中からクノイチガールズがよろけでた。

「くやしい。噛まれた。殺して」

香世にすがった。

「オネエ。たすけてあげて」
「black vampireにかまれても必ず発病しません」

ガールズの顔に希望がさした。

「このBVすぐたおします。そこですこしまってください」

それからのアンデイ親子の動き敏速なこと。
姉妹の目にもとまらない。
さきほどの平和の森での戦いはほんきではなかった。
すさまじい殺戮の現場に美香&香世は啞然とした。
吸血鬼。
オソルベシ。     


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