超能力シスターズ美香&香世「さすらいの塾講師第二部」
1
「わぁ!! 嵐のJETだぁ」
「香世。そんなことで羽田に来たんじゃないシ」
姉の美香が妹をたしなめる。
ジーンズがよく似合う。170はある美少女だ。
「オネエチャン。だって、嵐だょ」
香世ははやくも携帯をかまえている。
こちらは小柄だ。
滑走路をゆっくりと嵐のジェット機が移動している。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/44/2fb777cbef7994662345c79716b0c74d.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/3a/bf36dc0b2e991a5cb8c2a386d150c307.jpg)
美香もあわてて買ったばかりのパナソニックのデジカメをとりだした。
わあっと一斉に歓声が上がった。
機体の嵐の絵に気づいた女子が手すりに群がってきた。
いっせいに、携帯やカメラをかまえている。
一眼レフのオッチャンなどはじきとばされている。
すごすごと女のこの背中をながめベンチに退いた。
だれもそれには気づいていない。
すこしでも有利な場所を選ぼうとあせっている。
羽田第二空港ビルの展望台だ。
ほとんどが観光客だ。
おすなおすなの大盛況。
手すりにもたれていた。
発着する飛行機を眺めていた。
姉妹も、はじきとばされそうだ。
嵐の人気オソルベシ。
スサマジイ。
スゴイ。
人気バクハツだ。
「香世とれたぁ?」
但馬美香。青田女子学園高等部二年生17歳。
香世。中等部二年生14歳。
仲の良い姉妹だ。
「香世。何枚とった」
「オネエチャン。デジカメだからいいなぁ。わたしよくとれてないみたい」
妹は携帯の画面を眺めていた。
どんとひとにつきあたった。
壁に突き当たったみたいだ。
フトッチョの女。
ケツ顎。
タラコ唇。
「sorry」英語がみみにとびこんできた。
香世の携帯がはねとばされた。
「not at all」
と返事をかえしながら、香世はさっと手をのばした。
あわや、床でクラッシュと見えた携帯をキャッチした。
携帯の落下が一瞬とまったようにみえた。
姉はあわてて、ふりかえった。
外人女はすでに人ゴミに消えていた。
あのレディでもないらしい。
なにもわかっていない。
ただまたまた、夢をみたのだ。
香世もみた。
ふたりで同じ夢をみたのだ。
オカルト漫画好きの妹が「これは啓示だよ。オネエチャン」というので剣道部の朝の練習をさぼった。
なにかが起こりそうな期待感がたまらない。
日常のルーティーンがホコロビソウナ気配。
ワクワクしながら羽田まで出張ってきた。
おかげで、嵐の飛行機のピクチャがとれた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/b4/97e2f99651b4f1fff1da5582298270f3.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/e3/f9884e4e9469afbdefca44be505ee6b1.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/d6/60ee8a2e955ed4c15f373b86a406ccff.jpg)
出国エリアのある江戸前横丁。
「あれかな? どうおもう。香世」
下の到着ロビーからこの四階に上ってきたらしい外人。
豊かな金髪をオールバックになでつけている。
青白く輝く肌。
赤い唇。
襟もとはタートルネックの黒。
長身だ。
同じ黒のロングコート。
美香が妹の顔をのぞきこむ。
香世の黒い瞳がきらきら光っている。
「うわぁ。イケメンダァ」
「そういうことではナイデショウ」
香世は姉がめをつけた白人の青年にカメラを向けている。
青年は親指を突きだしてぐいと下にむけた。
ギルティ。
のサインだ。
「なによ。アイツ。バカにされた」
ブワッと姉妹のロングへアが風圧にナビイタ。
「アイツよ。まちがいない」
ふたりの顔色がかわった。
同じ言葉がとびだした。
男は江戸小路に去っていく。
「追いかけるよ、香世」
「わざわざおでむかえか」
金髪のハンサムなのに、しわがれた老人の声。
それも日本語。
それも背後からきこえてきた。
「後にまわるなんて汚いよ」
「I think so too」
と香世も不服そうな顔で同意する。
ふいをつかれた。
おもしろくない。
美香には妹の不満がピンときた。
こんなやつ、ためらわずにつぶせばいい。
それが正解なのだ。
啓示は朝の目覚めかけた眠りのなかにやってきた。
「羽田の国際線到着ロビーにいけ。そこにバンパイアがやってくる」
啓示はふいにやってくる。
わからない。
とつぜんの啓示。
どこから来るのか。
わからない。
二階の到着ロビーまでいくことはなかった。
むこうから標的がやってきた。
それにしても、戦意が鈍りそうなイケメンだぁ!!
ザワッと男は江戸舞台の中央にとんだ。
長いコートがコウモリの羽根のようにはためいた。
「ヤバ。ひとめにつき過ぎる」
「舞台の周囲にバリアをはるから。オネエチャン。思いきり戦って」
「名前をきいておこう」
「但馬美香」
「タジマ? 柳生流か?」
「よくしっているわね」
「日本のサムライムービーのフアンだからな。おれは、ニューオーリンズから来た由緒正しいバアンパイア、アンデイだ」
さっとXメン、モドキの長い鉤爪が突きだされた。
美香が跳びのく。
指剣をかまえる。
「おれをバカにしているのか」
指のさきが青白く光り出した。
ウッとアンデイの顔色がかわる。
今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
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「わぁ!! 嵐のJETだぁ」
「香世。そんなことで羽田に来たんじゃないシ」
姉の美香が妹をたしなめる。
ジーンズがよく似合う。170はある美少女だ。
「オネエチャン。だって、嵐だょ」
香世ははやくも携帯をかまえている。
こちらは小柄だ。
滑走路をゆっくりと嵐のジェット機が移動している。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/44/2fb777cbef7994662345c79716b0c74d.jpg)
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美香もあわてて買ったばかりのパナソニックのデジカメをとりだした。
わあっと一斉に歓声が上がった。
機体の嵐の絵に気づいた女子が手すりに群がってきた。
いっせいに、携帯やカメラをかまえている。
一眼レフのオッチャンなどはじきとばされている。
すごすごと女のこの背中をながめベンチに退いた。
だれもそれには気づいていない。
すこしでも有利な場所を選ぼうとあせっている。
羽田第二空港ビルの展望台だ。
ほとんどが観光客だ。
おすなおすなの大盛況。
手すりにもたれていた。
発着する飛行機を眺めていた。
姉妹も、はじきとばされそうだ。
嵐の人気オソルベシ。
スサマジイ。
スゴイ。
人気バクハツだ。
「香世とれたぁ?」
但馬美香。青田女子学園高等部二年生17歳。
香世。中等部二年生14歳。
仲の良い姉妹だ。
「香世。何枚とった」
「オネエチャン。デジカメだからいいなぁ。わたしよくとれてないみたい」
妹は携帯の画面を眺めていた。
どんとひとにつきあたった。
壁に突き当たったみたいだ。
フトッチョの女。
ケツ顎。
タラコ唇。
「sorry」英語がみみにとびこんできた。
香世の携帯がはねとばされた。
「not at all」
と返事をかえしながら、香世はさっと手をのばした。
あわや、床でクラッシュと見えた携帯をキャッチした。
携帯の落下が一瞬とまったようにみえた。
姉はあわてて、ふりかえった。
外人女はすでに人ゴミに消えていた。
あのレディでもないらしい。
なにもわかっていない。
ただまたまた、夢をみたのだ。
香世もみた。
ふたりで同じ夢をみたのだ。
オカルト漫画好きの妹が「これは啓示だよ。オネエチャン」というので剣道部の朝の練習をさぼった。
なにかが起こりそうな期待感がたまらない。
日常のルーティーンがホコロビソウナ気配。
ワクワクしながら羽田まで出張ってきた。
おかげで、嵐の飛行機のピクチャがとれた。
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出国エリアのある江戸前横丁。
「あれかな? どうおもう。香世」
下の到着ロビーからこの四階に上ってきたらしい外人。
豊かな金髪をオールバックになでつけている。
青白く輝く肌。
赤い唇。
襟もとはタートルネックの黒。
長身だ。
同じ黒のロングコート。
美香が妹の顔をのぞきこむ。
香世の黒い瞳がきらきら光っている。
「うわぁ。イケメンダァ」
「そういうことではナイデショウ」
香世は姉がめをつけた白人の青年にカメラを向けている。
青年は親指を突きだしてぐいと下にむけた。
ギルティ。
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「なによ。アイツ。バカにされた」
ブワッと姉妹のロングへアが風圧にナビイタ。
「アイツよ。まちがいない」
ふたりの顔色がかわった。
同じ言葉がとびだした。
男は江戸小路に去っていく。
「追いかけるよ、香世」
「わざわざおでむかえか」
金髪のハンサムなのに、しわがれた老人の声。
それも日本語。
それも背後からきこえてきた。
「後にまわるなんて汚いよ」
「I think so too」
と香世も不服そうな顔で同意する。
ふいをつかれた。
おもしろくない。
美香には妹の不満がピンときた。
こんなやつ、ためらわずにつぶせばいい。
それが正解なのだ。
啓示は朝の目覚めかけた眠りのなかにやってきた。
「羽田の国際線到着ロビーにいけ。そこにバンパイアがやってくる」
啓示はふいにやってくる。
わからない。
とつぜんの啓示。
どこから来るのか。
わからない。
二階の到着ロビーまでいくことはなかった。
むこうから標的がやってきた。
それにしても、戦意が鈍りそうなイケメンだぁ!!
ザワッと男は江戸舞台の中央にとんだ。
長いコートがコウモリの羽根のようにはためいた。
「ヤバ。ひとめにつき過ぎる」
「舞台の周囲にバリアをはるから。オネエチャン。思いきり戦って」
「名前をきいておこう」
「但馬美香」
「タジマ? 柳生流か?」
「よくしっているわね」
「日本のサムライムービーのフアンだからな。おれは、ニューオーリンズから来た由緒正しいバアンパイア、アンデイだ」
さっとXメン、モドキの長い鉤爪が突きだされた。
美香が跳びのく。
指剣をかまえる。
「おれをバカにしているのか」
指のさきが青白く光り出した。
ウッとアンデイの顔色がかわる。
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