田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

六本木、Vとの路地での戦い/さすらいの塾講師 麻屋与志夫

2010-12-06 13:08:40 | Weblog
14

 東京の片隅に開いた異界。
 壊滅した地下都市から迷路のような抜け道をたどった。
 Vのたどりついたところは――。
 そこはサポーターの部屋。
 レインフイルドの在所。
 本人たちは承知して、通路のさきの小さな空間に住んでいた。
 その部屋部屋が役に立った。
 
 一人住まいのわけなのに、あなたの隣の部屋で人声がしていませんか?
 都市に開いた小さな異界。
 あなたの身近にある。かもしれません。
 
 あなたはいま六本木を歩いている。
 仲間がきゅうにふえた。
 酔っているのでよくは、わからない。
 うっかり声をかけてからまれても怖い。
 暴走族かもしれない。
 だれかの友人なのだろう。

「こうして純と街歩くのしばらくぶりだね」
 翔子と純。ふたりしてぶらりと鳥居坂をのぼっていた。
 たのしそうに見える。デートではない。パトロールだ。
 池袋地区は発煙手榴弾の煙が地上に漏れてた。
 その箇所を玲加が記録した。
 Vの潜伏場所を一斉に襲った。
 ところがほかの地区ではVの隠れ家はまったく見当がつかない。
 それでふたり一組で巡行している。

「純。おかしいよ。まえをいくグループきゅうにひとがふえた」
「手袋をしている。黒のたっぷりと大きいてぶくろだ。指の具合が……おかしい」
「つけてみる」
 啓示を受けたように純は力づょくウナヅク。
 身もこころも引き締まる。

 坂を登りつめたところで異変はおきた。
 四人ほどの手袋の男たちが、酔っている男たちと肩を組んだ。
 酔っているので、彼らはなにが起ころうとしているのか気づかない。
 友だちが肩を寄せてきたとしか思っていない。

「もう一軒いこう!!」
 そんな声かけてくる。そう期待していた。
 手袋男の口が耳まで裂けた。
 Vだ。犬歯がニョッキと伸びる。白くひかっている。
 純と翔子。
 走った。
 追い越した。
 バチッと鬼切丸を鞘におさめた。
 ふたりがふりかえった。
 Vが溶解現象を起こしていた。
 青い粘塊となる。溶けだす。
 のこりのVは純と翔子を睨んでいる。双眸が赤く光っている。

「やったな。やりやがったな」
 眼がさらの凄絶な光をおびる。
 手袋を脱ぐ。ナイフの爪だ。
 襲ってきた。 
 六本木の都市伝説がまさに始まった。
 吸血鬼VS純と翔子。
Vとハンターの戦い。


今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
 お帰りに下のバナーを押してくださると…活力になります。
 皆さんの応援でがんばっています。

にほんブログ村 小説ブログ ホラー・怪奇小説へにほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする