ねこ庭の独り言

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伊藤貫の真剣な雑談 - 26 ( 常識はずれの雑談 ? )

2023-08-04 06:40:33 | 徒然の記

  4. 「伊藤貫の真剣な雑談 ( 第2回後半 )」 ・・「再生産される悪夢・国際政治3学派の蹉跌」

 今回も「民主的平和論」のパラダイムの続きですが、「ねこ庭」の先生の話でなく、タイトル通りの雑談です。

 ・イギリスも民主主義国家だったが、19世紀のイギリスが何をやったかと言えば、物凄い帝国主義だった。バンバン人の国を攻めて植民地化し、やたら好戦的だった。

 ・イギリスは徐々に国内の民主主義を整えたが、国外では非常に帝国主義的だったと言える。

 ここまで分かっているのだとしたら、幕末から明治にかけて日本の指導者たちが危機感を抱き、富国強兵・殖産興業に力を入れたことや、大東亜百年戦争に向かわざるを得なかった事情も理解していると思います。それならチャンネル桜が提供する動画のなかで、氏が日本の視聴者に言わなければならないのは、つぎの2点です。

  1.  敗戦国日本に「占領軍憲法」を押しつけ、日本だけが間違った戦争をしたと決めつけた米国は間違いだ。

  2.  「占領軍憲法」を金科玉条として、「憲法改正」と「皇室典範改正」に反対する反日野党勢力は間違いだ。

 氏が今も日本人であり、日本の保守と主張するのなら動画で語るべきなのに、依然として肝心な2点に触れる気配がありません。ケロッとして話をそらします。

 ・もう一つ問題になるのは、世界中の国々が民主主義になることが本当に望ましいのかということだ。

 ・民主主義になれば良くなると思っているのは、多分アメリカ人と日本人くらいで、まともな国際政治学者、例えばハンチントンやケナン、モーゲンソー、キッシンジャーもそうだが、彼らはそんなことは考えていない。

 ・あともう一人、ウォルツがいる。彼は日本ではほとんど知られていないが、国際政治学のリアリスト学派ではほとんど巨人のような、非常に立派な人物だ。

 ・彼らは民主主義を成功させるには、幾つかの前提条件があり、その条件のない国に押しつけても、逆に社会を不安定化させると主張している。

 ここまでくると、いい加減にして欲しいと言いたくなります。民主主義になれば良くなると思っているのは、多分アメリカ人と日本人くらいと言いながら、氏が反対者として挙げている人物は皆アメリカの学者です。まともな国際政治学者だからアメリカ人の中に入らないと言いたいのなら、これも辻褄が合いません。5人の学者が米国で多くの支持者を持ち、学界や政界で強い影響力を持っているのですから、民主主義になれば良くなると思っているのは、多分アメリカ人と日本人くらいと言えなくなります。

 結局氏が言いたいのは、民主主義になれば良くなると思っているのは、多分日本人くらいだといういつもの日本の悪口です。今回の氏は日本の悪口だけでおさまらず、自らのバカも証明しています。

 「彼らは民主主義を成功させるには、幾つかの前提条件があり、その条件のない国に押しつけても、逆に社会を不安定化させると主張している。」

 ハンチントンやケナンなどが述べていると、大層立派な意見のように披露していますが、日本の学者たちは江戸時代から、というより仏教を取り入れた奈良時代からこんな議論をしています。神話以来の統治者をご先祖とされる天皇のおられる日本では、宗教でも政治でも学問でも、外来のものはそのまま取り入れると根づきません。

 「違う木に違う枝を接木 ( つぎき )しても、枝は枯れてしまう。」

 国の安寧と民 ( たみ ) の幸せを祈られる無私の天皇が統治され、国民の敬愛の中心に天皇が在位される日本には、外国のものが簡単に取り入れられません。ご先祖さまたちは常に議論し、検討し、知恵を絞りました。文明先進国だった中国から漢字を教わった時も、やがてご先祖たちはこれを「万葉仮名」として使い、日本固有の「カタカナ」と「ひらがな」を考案しました。

 釈迦を頂点と仰ぐ仏教が伝わってきても、八百万の神のおられる日本では、国民の多くは神ながらの天皇へ敬愛の念を失いませんでした。学者たちは仏教を排斥せず、神仏習合・反本池垂迹説 ( はんほんちすいじゃくせつ ) などの意見を展開しました。儒教にしても国学の一つとするくらい尊重しましたが、日本に合わない「科挙制度」は取り入れず、社会の混乱を避けています。

 その条件のない国に押しつけてもと、氏は米国の学者の意見を持ち上げますが、日本の学者たちは1000年も前から、そんなことを実行していたのです。しかも日本は「その条件のない国」でありませんから、逆に外来のものを「日本の条件に合うもの」に作り替えた歴史を持つ国です。

 年金暮らしの親父が、学者である伊藤貫氏を批判するのは思い上がった態度だと、ボウフラ君が軽蔑しますが、年金暮らしの親父でさえ知っている日本の過去を忘れている伊藤氏の方がおかしいのではないでしょうか。2000年以上の歴史を持つ日本の学者の功績を評価せず、240年の歴史しかない若いアメリカの学者たちの意見ばかり喋るのは、学徒の常識というより、世間常識から外れています。

 伊藤氏を褒めたり貶したり、詰まらないブログになっていますが、日本の悪口しか言わない氏に比べたらまだ増しでないかと思います。もしかすると氏が、「ねこ庭」の先生らしくまた正論を述べるのかもしれません。そんな期待を捨てない方だけ、次回の「ねこ庭」へお越しください。

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