〈 「宮沢官房長官談話」の問題点 〉
まず「河野談話」を超える国辱の談話となった理由から、説明しなくてなりません。平成27年3月4日付の『 nippon.Com 』が、的確な解説をしていますので紹介します。
・時の鈴木善幸政権は事実があったという前提で、「宮澤官房長官談話」を発表させた。さらに鈴木首相は、謝罪のため訪中した
・そして教科用図書検定基準に、「 近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに、国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていること 」という『近隣諸国条項』が付け加えられることになった
青色表示した文字が、日本の国益を損なった部分で、鈴木総理が早とちりした大失政でした。以後の政権に対し、中国、韓国・北朝鮮などが内政干渉する根拠を与えてしまったのです
『 nippon.Com 』の解説も、この点を指摘しています。
・誤報の事実関係を十分確認せずに、鈴木首相が謝罪を行ったこと
・昭和40 ( 1965 ) 年の日韓国交正常化と、昭和47 ( 1972 ) 年の日中国交正常化に際し、決着をつけたはずの過去への謝罪問題を蒸し返したこと
・他国の批判により、教科書の内容を変えることを公式に認めたことで、歴史認識問題を新たな外交問題にしてしまったこと
アジアの近隣諸国との友好、親善を進めるため、批判があればいつでも即座に対応することを誓いますと述べて、事実に基づかない謝罪をし平身低頭で謝っています。謝罪の理由は事実でなく、「理念を語る談話」ですから、解釈の仕方次第で何時までも日本政府への批判・攻撃ができます。
「日本への恨みは、千年経っても消えない。」と、かって朴槿恵大統領が米国で語りました。一方的で感情的な恨みを、永久に日本攻撃に使えるようにしたのが、「宮沢官房長官談話」でした。
中国も韓国も、過去の戦争や慰安婦問題で日本と事実を争っているのでなく、彼らは「宮沢官房長官談話」で平身低頭した謝罪を根拠に追求しています。事実の議論でなく、感情 ( 姿勢 ) 問題の議論ですから、喧嘩口論・横車の得意な大陸国家の隣国が、日本の下手な言い訳をあしらいます。
初めの一歩の間違いが国益をどれほど損なったのか、問題の本質がここにあります。
「中国侵略」、「南京虐殺事件」、「慰安婦問題」、「徴用工問題」など、中国・韓国・北朝鮮の攻撃と難癖が激しくなったのは、「宮沢官房長官談話」以降です。一方的に詫びを入れ、その度に国の責任で対処しますと約束しているのですから、当然の話です。
「日本は歴史認識が、足りない。過去のことを忘れている。」
江沢民主席や中国政府の高官が発言するたびに、大手マスコミがトップ記事で報道し、また難癖をつけているのかと国民は怒りを煽られました。
「過去の出来事に対し、現在の日本は誠意が足りない。謝ってもすぐに、日本は話をひっくり返す。」
「慰安婦問題」に関し韓国が、何度謝罪しても文句をつけてきた時も、朝日新聞を始め大手メディアが大きく報じ、都度国民は隣国の執拗ないいがかりに嫌悪感を高めました。
ここまでの説明で「ねこ庭」は、アメリカが喜ぶ理由を二つ述べています。同時にそれはアメリカが、宮沢氏を「日本人・ジャパンハンドラー」に決定した根拠になると考えています。
1. 「宮沢官房長官談話」が、日本と中国、韓国、北朝鮮の間に、将来にわたって対立と紛争を生じさせる役割をしていること
2. 談話の根底に「東京裁判史観」、アメリカが残した「自虐史観」が生かされていること
つまりアメリカの政権内にいる反日勢力は、宮沢氏を目立たないように支援し続ければ「第二の日本弱体化計画」の成功に繋がると判断しました。
考えすぎと言われるかもしれませんが、『 nippon.Com 』の解説も「ねこ庭」の推測に根拠を与えている気がします。
・以後日本は、歴史問題の発生や節目の年ごとに、「政府談話」の形で対応せざるを得なくなった。
・しかもその内容は、昭和57 ( 1982 ) 年の談話の線から後退することが出来なくなった。
・理念を語る談話で事実の収拾を図るのは、かなりの無理があった。
不思議でならないのはこの当然の話を、政治家とマスコミが決して言及しないところです。「河野談話」は韓国の言いがかりがひどかったので、今も思い出されますが、「宮沢官房長官談話」の方はスッカリ忘却の彼方です。
念のため「宮沢官房長官談話」以後、日本政府が出してきた「談話」を書き出してみます。
平成 5 ( 1992 ) 年 「河野談話」・・宮沢政権末期のどさくさの中で公表
平成 7 ( 1995 ) 年 「村山談話」・・戦後50年の節目の8月15日に公表
平成17 ( 2005 ) 年 「小泉談話」・・戦後60年の節目の8月15日に公表
平成27 ( 2015 ) 年 「安倍談話」・・戦後70年の節目の8月15日に公表
「ねこ庭」の解釈が正しければ、日本政府はアメリカを喜ばせるため、今後も10年毎に中国、韓国、北朝鮮との間に紛争の種となる「政府談話」を公表し続けることになります。
政府自らが、このような愚かなことを国家間の取り決めにしたのですから、驚くしかありません。言いがかりをつける中国や韓国を責めるより、鈴木総理と宮沢官房長官の過去の失政を見直すことが、大事なのではないでしょうか。
どこかで賢明な首相が出てきて、「もうこんな繰り返しはやめましょう。」というべきでないかと思います。と言うより、その賢明な首相が、暗殺された安倍氏だったのではなかったのか。
「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」
「安倍談話」を公表した時、氏はこのように説明していました。それなのに再び暗愚な首相が誕生し、「80年談話」などと語っている気配があります。岸田元首相たちが担ぎ出した石破氏がその人です。
戦後史の大河を学ばず、国民の苦しみも知らずの情けない人物ですが、今もその内閣が傷だらけの状態で続いています。
愛国心のない反日左翼勢力が口をつぐむのは分かるとしても、保守系の人々まで「宮沢官房長官談話」を忘れ、疑問にも思わない不思議な日本になりました。
宮沢氏には気の毒なことですが、「ねこ庭」はアメリカが喜ぶ上記2つの理由を根拠に、氏が「日本人・ジャパンハントラー」にされたと結論づけます。「ねこ庭」を訪問される方々の何人が納得されたのか自信はありませんが、4、5回で終わる予定で始めたシリーズが、11回になってしまいました。
期待している方はいないのでしょうが、次回は区切りをつける最終回として、第二、第三の「日本人・ジャパンハンドラー」について述べたいと思います。
楽しい話でありませんので、明るい話題が別にあればそちらを選択されることをお勧めします。