すっかり涼しくなった秋の猫庭だ。一日でも怠ると、花木が元気を失うので、気の抜けない日々だったが、朝晩の水やりが楽になった。
台風の余波なのだろうか、2、3日小雨模様の日が続く。こんな日は、机に向かって読書するのが一番だ。
さて、昨日の続きだ。中川氏の意見にうなづけたのは、昨夜までだった。大東亜戦争に関する氏の主張からは、首をかしげてしまうものばかりだ。
「日本が、日露戦争を勝利に導けたのは、明治維新という、五里霧中の中を、」「駆け抜けてきた政治家たちが、指導者だったからだ。」「対して先の大戦では、官僚化した軍部が、戦争を指導してしまった。」
つまり、陸軍の独走も、官僚化した軍人たちの失敗からだと、どこまでも氏は官僚にこだわる。
「沖縄のひめゆりの塔。この悲しい慰霊碑は、身内共同体の論理で、」「自滅に向けて暴走していった、旧日本軍に、誰も歯止めがかけられず、」「国民を破滅に至らしめたという、過去の過ちを、現在に伝える悔恨と、反省の碑である。」
官僚を敵視する氏の立場に立てば、エリート軍人の官僚化が、日本の進路を誤らせたと、それなりに一貫した意見になる。軍部の独走が、誰にも止められなかったという批判に賛同するとしても、何もかも官僚化が原因だとするのは偏狭に過ぎる。
強大な権力を振るい、強引に、尊大にことを進めたからと言っても、エリート軍人と現在の官僚は別種の人間である。一まとめにして攻撃するのは、どう見ても乱暴な話だ。
氏の大東亜戦争への理解は、官僚化し、大局を見失ったエリート軍人の失敗にある、というものだ。一部の日本人を悪者にし、国民がすべて犠牲者だったという考え方は、戦後の日本を支配している、歪な歴史観だ。
軍人だけに罪と責任を押し付け、自分たちは犠牲者だったと、そんな歴史観はいったいどこから来たのか。国のために戦った人々を貶め、敬意も払わない、無慈悲な見方はどこから来たのだろう。
連合国による東京裁判と、共産主義国家による日本非難と、国内で迎合した人道主義者や、マルクス主義者たちから始まったと、私は理解している。
同じ年に生まれ、同じ空気を吸って生きてきたが、私は中川氏と戦争観において決別したい。美しい心をはぐくむ、「美しい国」を作るのだと、氏は力説するが、国を大切にする心が、微塵も見られない彼を発見した。
「地方分権」、「道州制導入」、「終身雇用否定」、「回転ドア方式の官僚機構」、「移民国家への転身」、「官業から民業への転換」、「霞が関主導から政治主導へ」
等々、氏が政策として掲げているものは、すべて、中央集権的、官僚機構の否定から出発している。手本にしているのは、どうもアメリカのようであり、独立性の高い州のあり方に魅せられているらしい。
「回転ドア方式の官僚機構」というのが、まさに米国方式で、政権党が変わると、新政府は、政治家共々、役人たちも一変する。政治家は、ブレーンと称する専門家の一群を引き連れ、自分たちの政治をする。
氏の「終身雇用否定」は、この「回転ドア方式の官僚機構」と、一対になっている。一つの組織に束縛されず、能力とやる気のあるエリートたちは、回転ドアーを出入りする人間のように、民間へ戻ったり、政府のブレーンとして働いたりするからだ。
あの傲慢な、竹中平蔵氏の考えと同じだが、何ということはない。中川氏は、氏と一緒に、政府の仕事を長くやり、強い影響を受けている政治家だった。なんであれ、自由競争だと、強いものだけが勝ち抜いていく、世知辛い社会を、竹中氏は高く評価している。
氏の薫陶を受けているのかどうか、定かでないが、唖然とする亡国の主張からすると、うなづけるものがある。長くなっても以下に引用する。
「日本には、高等教育インフラや、職業教育インフラがある。」「だが、少子化でこのインフラが、十分に活用できなくなる恐れがある。」「地域の幼稚園や、小学校が消えていくのと同じ現象が、高等教育でも起きると予想されるのだ。」
「必要でなくなる高等教育の場を、 育成型移民受け入れインフラ として、」「新たな役割を与え、100万人規模の、外国人留学生を受け入れてはどうか。」
「米国が少子高齢化しても、人口減少に転じないのは、移民によるところが大きい。」「40年後の日本は、人口が3,800万人まで減少すると、予測されている。」「そのときまでに、1,000万人の移民を受け入れよう。」「育成型移民国家への転換は、今が決断の時である。」
国を大切にする政治家なら、とうてい思いつかない愚論だ。人口の4分の1を移民にしたら、その時の日本はいったいどうなっているのか。
ヨーロッパでもアメリカでも、移民による、深刻な問題に直面している。宗教問題だけでなく、人種差別、言語問題などもある。移民たちが固まって居住し、治外法権の地域を作り、国内にありながら、独立国のような無法の場所が出現している。
日本への移民で、一番可能性があるのは、隣国の中国と、韓国だと言われている。激しい反日教育を受けた彼らが、移住してきたら、1000万人どころの話ではない。10年もしたら、億単位の彼らが居住する羽目になり、日本の国は消えてしまう。
ひところ政府で、「1000万人移民計画」などが言われていたが、発信源が氏であったと知る驚きと怒りだ。
すべてが、美しい日本を作るためだと説明し、国を発展させるためには、沢山の工夫をし、知恵を働かせなくてはならないと、寝言を並べる。
日本の破壊と、消滅を目指している彼が、己の尊敬する人物として、坂本龍馬、上杉鷹山、二宮尊徳を挙げ、道徳教育の大切さを語る。こうなると彼はもう、支離滅裂な狂人であるとしか思えない。
傲慢で尊大な、中華思想の中国人や、小中華思想の韓国人が、日本の何を認めるというのか。紅衛兵どもがやったように、移民の彼らが数に任せ、伝統も文化も文明も破壊し、日本のかけらもなくするに決まっている。
議員生活を出発させたのは、河野洋平氏の新自由クラブだったと、氏が経歴に書いていた意味が、やっと分かった。
彼は河野洋平氏に師事し、恩義を感じ、尊敬している。村山総理が、愚かしい「談話」を発表した時の、首相補佐官が彼だった。洋平氏の「慰安婦談話」にも、きっと一役買っているはずだ。ステルス戦闘機の官僚どころの話ではない。彼こそが、日本にとって、「獅子身中の虫・駆除すべき害虫」の筆頭にいたのだ。
私にとって、これまで一番汚らわしい本は、本多勝一の「中国の旅」だったが、中川氏の著作は、これに劣らない厭わしさだ。「官僚国家の崩壊」などと、本の題名まで大ウソのまやかしでないか。「日本国の崩壊」・・、こういう表題が相応しい。
読後の本は、腐った野菜くずや残飯と一緒に、ゴミステーションに投げ捨てるしかない。