ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

4月11日の不毛な党首討論

2012-04-15 16:02:36 | 徒然の記

 自民党の野田毅氏の国会討論は、民主党を責める口調の中にも、気遣いや暖かさがあり、聞いていて心地良いものがあった。

 同じ自民党で、しかも総裁なのに、谷垣氏の言葉には、心を動かされるものが何もない。私から見れば野田総理は、言わば手負いの大将である。谷垣氏の言葉を信じ、消費税増税案を閣議決定し、国会提出に漕ぎつけたというのに、何の協力も得られないもどかしさが伝わって来た。

 腰を低くし頼み込む、野田総理に対し、谷垣氏は、傷口に塩をすり込むような心ない返答をする。

 武士の情けという言葉があるけれど、谷垣氏には無縁のもので、彼はまるで足軽のように騒ぎ立てながら、総理の弱点をつつき回す。解散か総辞職かと、その言質を得るためにだけ喋っている。谷垣氏の、人間としての小ささが、嫌でも見えてくる。政治の非情さなのか、自民党総裁としての彼が、非道なのか、見るに耐えないテレビ画面だった。

 野田氏が差し出す手を振り払い、時間を稼ぎ、内閣が自滅するのを待つという、卑しい了見が見え隠れした。

 その彼が「無礼千万」などというのは、それこそおこがましいというものだ。あんなものは、党首討論でも何でもない。言葉の暴力により、手負いの総理を殺そうとする、残酷な口論に過ぎない。野田総理の言葉には、国民の暮らしへの思いがにじみ出ているが、野党第一党の谷垣総裁の言葉には、政治屋としての、目先の政局しか感じ取れなかった。 

 生真面目な氏には、心外でならない評価だろうが、野田氏と比較すれば、人間のスケールというか、人間性とでもいうのか、比較にならないお粗末さだ。

 ここで野田内閣を倒し、総選挙をしても、数だけを頼りにする政治屋たちが、離合集散を繰り返し、政局は混迷するに決まっている。解決すべき課題が、山積している現在だというのに、いったい谷垣氏は何を考えているのだろうか。

 民主党の鳩山氏が、イランでまた余計なことをし、日本を混乱させているが、谷垣氏も似たようなものでないのか。

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戦後責任論

2012-04-09 19:05:48 | 徒然の記

 高橋哲哉氏の著作を、読んだ。

 「先の戦争は侵略戦争だったので、戦死した二百万の兵士は、」「侵略者としての責任を、明確にしなければならない。」「自国の兵士だからと庇ったり、弔ったりして、」「責任を曖昧にすべきではない。」

 「二百万人の日本の兵士より前に、二千万人の他国の犠牲者に、謝罪と弔いをしなければならない。」

 氏の主張を初めて知り、私は言葉を失ってしまった。

 氏の意見が世間でどのくらいの位置を占めているのか、賛同を得ているのか、いないのか、全く知らないが、講談社学術文庫として出版され、市の図書館の蔵書なのだから、そこいらの、いい加減な書物ではないのだろう。

 中国に関しては侵略戦争だと、私も思うが、一足飛びに戦死した兵士を、すべて侵略者として責任を問うという考えには、頷けないものがある。彼は日本の戦争を、ドイツのナチと同列に並べ、ドイツは他国に謝罪し、自国兵士の罪と責任を、自ら追及したと述べる。これとても、私には素直に賛同できない意見だ。

 確かに当時の日本人は、軍人も政治家も一般国民も,中国や朝鮮の人びとを一段下に見て、横柄な対応をしていたのは間違いない。しかしだからと言って、ナチのユダヤ人虐殺と同レベルの話だとは考えられない。ヒトラーの率いるナチは、ユダヤ人を、この世から抹殺すべき劣等民族と断定し、地球上から根絶やしにするという、激しい敵意と蔑視をもって虐殺した。

 だがこれは、もうよそう。私には、ドイツ人の勇気と立派さへの敬意があるので、これ以上言うと、話が横道にそれることを恐れる。

 氏が、どんな思考の上に立っているのか知らないが、元気に、無責任に、自国の過ちや弱点を声高く非難し、不毛な議論を展開していると、それだけは分かる。右でも左でも、こうした極論に安住できる人びとは、つくづく幸せ者だと思う。

 いずれにしろ私は、暫く先の戦争について、軽々しく考えるのを中断しよう。気まぐれ手帳とは言いながら、時には気まぐれで済まされないことだって、あるだから。

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日本人はなぜ謝り続けるのか

2012-04-05 22:15:00 | 徒然の記

 中尾知代氏の著作を、図書館から借りて来た。

 中国や韓国・北朝鮮との根深い対立を解くヒントがないかと思ったのだが、結果は失望だった。唯一の収穫は、日本を憎みつつ、謝罪と補償を求めている国が、中国や韓国・北朝鮮だけでなかったと知ったことである。

 日本軍の捕虜となり、極悪非道な処遇を受けたイギリス人たちの怒りと憎しみを、彼女がドキュメントとしてまとめたものだ。英国訪問時に、村山首相と橋本首相が、合わせて二度謝ったけれど、元捕虜たちが、今もって謝られたと思っていないのは何故か、という解説書である。

 ドイツのブラント首相が、膝まづいて許しを請うた時、イギリス人が即座にその謝罪を受け入れたのは、相手に謝るより、まず自分の過ちを神に謝る文化を共有し、同じキリスト教を信じて来た、2000年の歴史があると説明されるにいたっては、眉をひそめたくなるものがあった。

 日本政府とび日本人に求める氏の結論は、元捕虜たちが生きている間に、明確な謝罪と補償をすべきだというところにある。確かに日本の謝罪は曖昧で、故意に補償問題を避けている節があるが、イギリスでそれを明確にすれば、中国、韓国・朝鮮と次々問題が大きくなるという危惧が、そうさせるのだと理解した。

 死をもって責任を取る者を、潔い人物として、日本人は一定の評価をする。「死人を鞭打たず」「死人の墓を暴かず」というのは、日本人の美徳だと私は思うが、中尾氏は、そんなものはイギリス人には通じないと、切り捨てる。

 私は氏の人間性に疑問を感じると共に、不快感さえ覚えた。自分では偏狭な右翼でないと思っている私は、氏の著書を読んでいると、本当に彼女は日本人なのかと問いかけたくなった。

 イギリス人の捕虜と、和解したいという熱意は認めるが、それほどまで自らを貶めて、彼らと和解する必要があるのだろうかと、疑問が湧いてきた。イギリス人が、日本人の精神文化を無視するというのなら、私たちも、同じ立場で臨むということになるのではないのか。

 ソ連はシベリアの強制労働に対し、ひと言でも日本に謝ったか。原爆を投下し、広島・長崎の市民をむごたらしく殺したアメリカは、一度でも私たちに謝ったのか。

 終戦間際に、日本の都市に無差別爆撃をし、一般市民を殺戮したアメリカは謝罪したかと、怒りが込み上げてくるが、中尾氏によると、それはそれで別問題だからイギリスのことを片付けた後に、アメリカやソ連に抗議すれば良いと、他人ごとのように語る。

 要するに彼女は、日本人としての自分を忘れ、日本人の欠点や悪口を、ひたすら述べたがる人物でしかなかった。こんな無責任な人物の著作を、NHK出版が出しているというのだから、二重の驚きだった。

 それともNHK出版というのは、NHKの名前を騙る別団体なのだろうか。幾つになっても世の中には、私の知らないものが存在するということであり、一生勉強で、とても老け込んでなどおれないと、そんなことが中尾氏の著作の目的ではなかったと思うが、私はそっちの方を、教えられた。
 

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谷垣総裁

2012-04-01 18:15:59 | 徒然の記

 今朝、NHKで、谷垣総裁へのインタビューを見た。

 消費税法案を提出する前に、マニュフェストの修正に関し、党内の意見をキチンと集約すべきという持論だった。緊迫した事態でも、氏の言葉は何時もと同じだ。つまり彼は、決死の覚悟で、消費税法案を提出する野田総理に対し、総辞職か国会解散かのいずれかをせよと、相も変わらぬ要求をしている。

 解散しても総辞職しても、政治の混迷は深まるばかりで、国民のために必要な、法案の審議がまた伸ばされるということを、何と考えているのだろう。

 予算と消費税法案を成立させた後に、政治屋たちだけで、好きな政局をやれば良いのにと、ほとほと愛想が尽きる。解散したとして、谷垣氏が総理になれる保証も無く、なったとしても、野田総理以上に党内基盤のない彼に、いったい何がやれるというのだろう。国民からで無く、政治屋集団の中で、何故か一目置かれる小沢氏と対決し、消費税法案を国会審議にかけようとする、野田総理の方が、よほど胆力があると私は思う。

 国民の暮らしより、自分の選挙が大切という政治屋たちは、誰なのか、この騒動の中でよく分かる。選挙があったら、志の低い政治家たちには投票をしないと、私は心に決めている。民主主義に時間がかかるとは知っていたが、あと何度、選挙をやれば、まともな政党が生まれるのだろうか。

 国民の選択がそれを決めるのだから、私たちの志が低ければ、低いレベルの政治家が、生き延びるということだ。こうして試行錯誤しながら、国家財政も、どんどん破綻させながら、私たち国民は、自ら学習して行くしか道は無いのだろうか。

 ため息がもれそうな話だが、言論統制や強権発動や、偏向裁判が平気で行われている、どこかの国に比べれば、それでもまだ増しだと、自らを慰め、谷垣氏のインタビューに耳を傾けた。

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