今回は、仙谷由人氏の続きです。
・自衛隊を暴力装置と呼んだ、仙谷前官房長官は東大時代「フロント」と呼ばれる、社会主義学生運動組織の親派として活動していた。彼ら「全共闘」は、破壊の世代と呼ばれる。
・かって彼ら極左過激派は、長期にわたる「暴力革命闘争」、「世界同時・武装革命」を目指し、目的は手段を正当化するという「レーニン思想」や、「革命は銃口から」という毛沢東に影響され、日本共産党の平和革命論よりもっと左で、もっと過激だった。
・学生運動の警備にあたり、殉教者14名を含む 1万 2千人の機動隊員が、重軽傷を負った。なかには失明、四肢喪失、顔面やけどのケロイドなど、今でも後遺症に苦しんでいる者もいる。こうした警察官が多数いるというのに、仙谷由人氏はうまく転向し、官房長官の栄職まで出世した。
・そのうえで、国のため命がけで働く自衛隊を、暴力装置と呼んだ。証拠こそないが、かって氏は、機動隊を公的暴力装置と呼んだという。
・その価値判断で、現実の行政の認識をされたのではたまったものではない。もし尖閣諸島に、防衛出動のやむなきに至った時、総理、官房長官は、その暴力装置に日本を守ってもらうのである。
・命をかけて国民を守る、警察官、自衛官、海上保安官を敵視する政治家には、二度と、官房長官の要職につかせるわけにはいかない。
学生気分を引きずったまま安易な言葉を使った仙谷氏への、怒りが伝わきます。しかし、氏がもっとも怒りをあらわにしているのは、平成22年9月に発生した、中国漁船が巡視船に体当たりした事件です。
・尖閣諸島付近の日本の領海内で、違法操業をしていた中国漁船が、海上保安庁の巡視船に体当たりし逃走を図った。海上保安庁が漁船の船長を逮捕したのは、主権国家として極めて当たり前の処置だった。
・あろうことか中国は、尖閣諸島が中国固有の領土であると主張し、衝突は、巡視船の責任であると難詰した。賠償金や謝罪を要求したほか、さらには、中国各地で発生した反日暴動を容認するなど、とうてい理解しがたい振る舞いを続けた。
この事件をキッカケに、日中関係がにわかに険悪となり、国民の反中、嫌中気運が一気に高まりました。
前原外相は記者会見で、
「世界に説明することが大事だ」と述べ、
「ビデオを見れば一目瞭然だ」と語りました。
巡視船が、体当たりの一部始終を撮影していましたから、ビデオを公表すれば、中国の主張のデタラメさが即座に分かるものでした。
・ところが菅総理と仙谷官房長官は、中国の反発が伝えられると、このビデオを秘扱いにしてしまった。
・彼らは中国に対する過剰な気遣いと保身と、那覇地検で取り調べ中の船長のために「刑事訴訟法」を持ち出し。裁判までは関係資料は不公表が原則だと言い、ビデオの公表を拒んだ。」
・菅・仙谷内閣の外交は、中国の恫喝に屈しビデオの公開を禁じ、船長を釈放し、反日暴動と、中国政府の謝罪・賠償要求を誘発してしまった。
平成22年11月インターネットの動画サイトに、海上用保安庁が撮影したと思われるビデオが流出し騒然となりました。当時の状況を、氏が語っています。
・11月4日、インターネットの動画サイトに、中国漁船による体当たり画像が流出した。国会も内閣もマスコミも、大騒ぎした。その翌日から一週間、私は様々なテレビ、新聞、雑誌からの取材を受けた。
・ほとんどすべての取材者が、判で押したように質問してきたのは、
「国家の秘密が、こんなに簡単に流出する日本の情報管理や、危機管理体制について、どう思いますか。」
だった。」
・これは中国や北朝鮮のような、独裁国家でしばしば用いられる、人民の世論操作の手法だった。仕掛けたのは、仙谷前官房長官だ。
・本当に追うべき犯人を逃がすため、囮になったのがビデオ流出であり、投稿者である海上保安官だった。
・本当の犯人、追わなくてならない相手とは、中国漁船体当たり事件で初動措置を失敗した菅内閣だった。
氏は、菅総理と仙谷官房長官の失敗の事実を列挙します。
1. 逮捕した船長を、中国の恫喝に屈し超法規的措置で釈放したこと
2. 中国漁船の不法性を立証するビデオを、情報統制し不公表としたこと
この判断ミスが問われなくてならず、マスコミも「国民の知る権利」と「報道の自由」を掲げ、菅内閣に迫るべきだったと語ります。
ビデオ流出を知った仙谷官房長官は、映像の出所が海上保安庁であり、石垣島海保がおかしいなどと匂わせ、国家機密を漏らした違反容疑のため調査から捜査へ切り替えると語り、世論を巧みに誘導していきました。
氏は仙谷官房長官の主張が、「秘密保護法」の必要性や、「守秘義務違反の罰則強化」に傾いていった経緯を説明します。こうした情報をマスコミが報道しない裏事情、とでもいうのでしょうか。目から鱗の話です。
・自分たちが野にあるときは、権力を嫌い敵視しているが、ひとたび権力の座に就くやそれを乱用する。権力批判をしていた人間に限って、猛々しく、権力を振りかざすのが通例だ。
・反対派を粛清したスターリンのごとく、独裁的な権力を振るうのである。人権派の弁護士から、官房長官へと上り詰めた仙谷氏もこの例に漏れない。
自衛隊と警察と海上保安庁を、暴力装置と言われたことが許せない氏は、仙谷氏への批判を遠慮しません。「4番目の男」でしかない胆力のない菅氏を、思うように動かしてきた仙谷氏の横暴さを知りますと、酷評されて当然かと思えます。
極め付きは、次の意見でした。
・クアラルンプールやダッカで起きた、赤軍派のハイジャック事件での超法規的釈放は、閣議決定に従って行われた。
・今回の船長の釈放も閣議決定すべき事項であり、内閣官房長官の独断専行が許されるものではない。
・さらにビデオ流出後、投稿者を犯罪者呼ばわりし、罰則強化を主張し徹底捜査を命ずることも、官房長官の権限にないことだ。
・それを行ったとすれば、内閣法、国家行政組織法、国土交通省設置法にも抵触する。罰則がないとしても、明らかに職権乱用の越権行為である。
これ以外にも、民主党政権危険な行為を氏は語っていますが、私はここで、ブログを終わりたいと思います。数例でしたが、これだけでも、反日左翼政権の危険性が、訪問される方々に伝わったと思うからです。
今年中に区切りをつけたいという目標も、達成しました。
最後に氏が『ローマ盛衰史』中から引用している一節を、紹介します。ローマの古兵が、息子に語ったという言葉です。
・われ年老いて、この槍はすでにわが腕に、重し。
・なんじ息子よ。われに代わりてこの槍を担え。
これこそが氏の遺言だと私は理解し、氏の手から、槍を受け取る決心をしました。やがて何年かしたら、私も息子のうちの誰かに、同じ言葉を言う時が来るはずです。もし訪問される方々の中に、氏の槍を受け取る方がおられたら、氏は草葉の陰から感謝されることでしょう。
みなさん。よいお年をお迎えください。