ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

金正日 最後の選択 - 2

2016-09-27 18:03:07 | 徒然の記

 金正日は、金日成の死後四年あまり経って、やっと全権を掌握した。当時のマスコミはこれを、金正日の儒教的謙譲からくるものと説明していた。朝日だったか、NHKだったか忘れたが、父親への深い敬意を表す喪に服し、露骨な権力欲を見せないのだという論調だったと記憶する。

 しかし加瀬氏の著書で、真相が分かった。

「金正日は父親の死後四年三ヶ月に渡って、亡父の側近グループと権力闘争を戦った上で、」「推戴という、超法規的な手法によってようやく独裁者としての地位を確立した。」「推戴というのは、本来は皇帝や皇族に対してのみ用いられる言葉だが、」「これは、軍を拠り所としたからできたことだった。」

「金日成の時、北朝鮮は党の国家だった。」「金正日の北朝鮮は、軍が支配する国家となった。」「共産主義国家として異例なことに、軍を党の上に置いた。」「金正日の時代となって、軍こそ人民であり、国家であり、党であると、」「軍の指導的役割が強調されている。」

 いわば中国より危険な軍主体の国となったわけで、そのまま今の金正恩に継承されている。継承されているだけでなく、ノドン・テポドンの発射はおろか、度重なる核実験をし、軍事優位の政治がさらに進められている。中国ですら嫌悪する傍若無人な国家となり、自分の叔父や軍の将軍まで、従わない者は容赦なく処刑し、そのやり方は、死体が跡をとどめないほどの残酷さだった、と言われている。

 北朝鮮の軍事力を過大評価するなと言い、ことを荒立ててはならないと、世論をミスリードした当時の専門家二人の名前を、氏が明らかにしている。

 一人は、毎日新聞社の重村智計(としみつ)論説委員だ。氏は北朝鮮に関する専門家として知られているらしい。自社の新聞だけでなく、中央公論等の雑誌でも自説を展開した。今一人は、時々NHKに顔を出す、軍事評論家と言われる江畑謙介氏だ。「弾道ミサイルに搭載できる、核弾頭を持っている可能性が、」「非常に低いから、不必要に恐怖を煽らないことが鍵だ。」というのが、氏の主張だ。

 「ミサイルの命中度が低いから、日本に届く可能性は低い。」「原発が破壊される可能性は、低い。」江畑氏は、何でもかんでも可能性が低いと主張し、メディアが不正確、不必要な恐怖を煽らないようにと、繰り返し論じた。もちろん反日・亡国の朝日が早速呼応し、「力でなく、対話による交渉を。」と政府に要求したというのは、言うまでもないこと。

 だから私は、重村氏や江畑氏のような小物を無視し、朝日新聞を批判している氏の姿勢に、心から賛同する。

「朝日新聞は、アメリカ軍の基地問題や、核搭載艦が寄港することに対しては、」「いつでも不安をいっぱいにまで煽ってきたのに、北朝鮮のミサイルがもたらした不安は、」「懸命に鎮めようとしているのは、どういうわけだろうか。」「これは全く、合理性を欠いている。」

「国民の安全を守ることより、朝日関係だけを慮ってきたと言われても、仕方あるまい。」「やはり朝日新聞は、チョウニチ新聞と発音するのが、正しいのだろうか。」

 安倍内閣になり、やっと有事関連法制が整えられたが、昭和52年当時の空恐ろしいまでの状況を、氏が分かりやすく叙述している。文字通り、国の安全保障対策法制がゼロだった時の話だ。

「来栖弘臣統幕議長が、日本に有事法制が必要であると発言したところ、」「政府の怒りを買って、金丸信防衛庁長官によって罷免されたことがあった。」「来栖統幕議長は、このままでは超法規で戦わざるを得ない。」「1日も早く、法の制定が必要であると、述べただけだった。」

 「制服自衛官の長としては、当然すぎる発言だった。」「その直後に、丸山防衛事務次官が記者会見で、」「敵の部隊が、自衛隊の駐屯地のすぐ近くに現れた場合は、どうするのかと質問された時、」「丸山次官は、逃げるしかないと述べた。」「これは有名な発言である。」

「有事法制が整備されていないもとで、有事が発生した場合、」「自衛隊は、任務を果たすことができないのである。」

 有事関連法案を政府が国会に提出した時、なぜあんなにも野党が騒ぎ、マスコミが同調したのか、これでやっと理解できた。有事法案を、野党が「戦争法案」と言って攻撃したのは、正しかった。有事とはすなわち戦争の意味だから、それで良かったのだ。政府のやるべきことは、「戦争法案だから、それがどうした。」と居直り、あれを好機に「戦争関連法案」と名前を変えれば良かったのだ。

 自衛隊員の生命と安全を守るため、法案を廃止しようなどと、今から思えばとんでもないペテン師の理屈を、野党とマスコミが国内に拡散していたということだった。有事関連法案が整備されなければ、敵に攻撃されても自衛隊は対処できず、冗談でなく「逃げ出す」しかなかった。反日・亡国の野党とマスコミは、自衛隊員を見殺しにするため、有事法制案に反対していたのだ。

 ここまで説明されると、いかに鈍感な私でも事の重大さが理解できる。理解できないのは、反日朝日新聞の読者であるお花畑の平和主義者や、薄っぺらな人道主義者だけだろう。

 平和憲法下での自衛隊は軍隊でないと、そうした亡国の嘘で日本は戦後を誤魔化してきた。米国の軍事力に守られ、今でもアメリカの属国でしかない実態なのに、日本は独立国だと大多数の国民が思い込んでいる。如何ともしがたい虚構の日本を、怒りと悲しみで今日まで眺めてきたが、それ以上の虚構と大嘘で固められた北朝鮮の姿を、氏が教えてくれた。

 北朝鮮の保護者みたいな中国の虚構についても、明確な言葉で語っている。

「もともと全体主義国家は、偽りの土台の上に築かれているため、言葉を歪める。」「中国はいまだに毛沢東の肖像画を飾り、共産主義を看板として掲げているが、」「中身はもはや共産主義国ではない。」「中国はマルクス主義を捨てることによって、資本主義国家になった。」「ファシズムの定義は、一党独裁の行われている資本主義国家のことだから、」「中国は、ファシズム国家である。」

 更に氏は言う。

「李登輝政権になってから、台湾の国土を、」「実質的に統治が及んでいるところに限定するようになったが、」「中華民国憲法では今日でも、中国の国土のすべてを統治下に置いているということになっている。」

「しかし、中華人民共和国が全中国を支配しているというのも、」「台湾が中国全土の主人であると言うのと同じような、虚構である。」「中国全土を代表する一つの政権など、存在しないというのが、現実である。」

 まして朝鮮半島では、北も南も独立戦争を戦った史実すらなく、北はロシア、南はアメリカが作った傀儡政権でしかない。しかるに両国は、国民統治の必要性のため、華々しい独立戦争の結果として建国したという虚構を作っている。

 国の土台が大嘘の虚構しかない国から、「歴史認識がない。」とか、「戦前への反省がない。」とか言われ、反論もしない日本だったが、そろそろ正気に返る時だろう。そうでなければ、有史以来営々として国を守ってきたご先祖に対し、申し訳が立たない。日本を、きちんとした姿にして、次世代へ送り届ける責務が私たちにある。

 怠け者の私を、こんな気持ちにさせてくれた氏に、衷心からの感謝を捧げたい。

 

       ( 蛇足 : 私も、思い込みの強い、独断と偏見の徒だが、それでも隣国三國の独断と偏見

      にはかなわない。見え透いた大嘘を国全体で宣伝する厚顔さにも、負ける。)

 

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金正日 最後の選択

2016-09-26 21:52:53 | 徒然の記

 加瀬英明氏著『金正日 最後の選択』(平成11年刊 祥伝社)を読了。

 氏は昭和11年東京に生まれ、享年80才だ。慶応義塾大学卒業後、エール大学、コロンビア大学に留学し、父君はミズリー号上で署名をした、全権団に随行した外交官である。福田、中曽根内閣で首相特別顧問、福田、大平、鈴木内閣では外相特別顧問をし、現在は外交評論家として活動している。

 時々チャンネル桜の座談会に顔を出しているので、見ず知らずの他人ではない。同じ北朝鮮を扱っても、神浦元彰氏の著作より有意義だった気がする。著作を読むのは初めてだが、知らないことを沢山教えてもらった。文章に限って言えば、神浦氏の方が巧いのかもしれないが、加瀬氏の言葉には心に響くものがあった。

 氏の本によれば平成11年の7月、北朝鮮は当時の小渕首相と主要閣僚に次のような書簡を送ったとのことだ。「日本は国際的に公認された敗戦国、戦犯国であり、」「過去の罪業を認めることも、謝罪することもせず、」「今も恥ずかしくも、" 敵国 " の汚名を拭えないでいる。 」

「日本が朝鮮民族に対して、歴史的に犯した、千秋に渡って許せない罪状は、百回ひざまづいて許しを乞い、」「日本列島すべてを売りはたいて返しても、償いきれない。」

「朝鮮民族は、代を継いで、日帝から受けた侮辱、不幸と苦痛、」「災難の代償を、必ずや取り立てる。」。よくもまあ、ぬけぬけとこんな三百大言が言えるものだ。これでは、韓国や中国同様の反日・敵対国と言われて当然だろう。

  目次の前の「まえがき」に、氏が書簡の抜粋を載せているが、読むほどに怒りと嫌悪が高まる。このような憎言を送りつけてくる北朝鮮に対し、国交回復して賠償金を支払うべしという管沼氏や、北の主張にも一理あると言うネアントニオ猪木氏に、言葉に表せないほどの嫌悪を感じる。

 本は神浦氏の著作より、4年前に出版されているので、亡くなった叔父は加瀬氏の著作を先に読んでいたことになる。本のページの端が小さく折られている部分を見つけたが、これはきっと、叔父が注意深く読んだ箇所という印だろう。「まえがき」の北朝鮮書簡と合わせて読み返すと、叔父の憤りが垣間見える気がする。

 このページの加瀬氏の叙述を引用してみよう。

「私の親しい、韓国の元高官がこう語ったことがある。」「金正日がクーデターによって、自殺を強いられるときは、」「日本へ向けてミサイルの発射ボタンを押したうえで、」「日本と無理心中を図る可能性がある。」「金正日が日本に核攻撃を加えてから、自らの手でこの世を去ったとすれば、」「憎い日本を罰した英雄として、」「向こう1000年、1500年と、韓民族からは " 英雄 " として崇められるでしょう。」

 韓国・北朝鮮がどれほど深い憎しみを日本に抱いているのか、ここでもまた嫌というほど知らされた。先日、参議院の委員会でアントニオ猪木氏が、無断で北の訪問した言い訳をしていた。「対話の窓口は、閉ざしてはなりません。」「北朝鮮の高官に、言われました。」「北の核は日本へ向けているのでなく、アメリカへ向けているのです。」

 国際情勢に関する何の常識もないプロレスラーらしい、おめでたい説明に呆れてしまう。北朝鮮はこれまで、米国大統領クリントンを騙し、カーター元大統領を手玉に取り、ペリー国務長官を裏切り、アメリカ政府をさんざん翻弄してきたことも知らず、猪木氏のこの馬鹿さ加減をなんといえば良いのか。

 加瀬氏の書で目から鱗の思いをさせられたのは、北朝鮮に弄ばれているのが日本の外務省だけでなく、米国大統領や政府高官だったと知ったことだ。立派だと思っていたクリントンやカーター大統領が、実は無能な政治家だったと教えられたことも有意義だった。外交に無知な政治家がトップになると、国は腑抜けになり国力を失うということも知った。

 クリントンやカーター氏がまさにそうだったのであり、オバマ氏もそうだ。「普天間は最低でも県外」といって、日米関係を崩壊させ、国内政治を混乱させた無能な鳩山氏も、外交音痴だった。こうしてみると、米国も民主党が大統領を出した時、国力を減退させているし、日本も民主党の時に政治が大きく乱れ、混乱を高めていたことを思い出す。

 加瀬氏は心に留めるべき多くのことを語っているが、次の言葉は特にそうだった。

「今日では、少なからぬ国民が、日清、日露戦争を侵略戦争だったとみなしている。」「しかし日本は、日清、日露とも、国の存亡をかけて戦ったのだ。」「どのような国であれ、国の存亡をかけて侵略戦争をすることはあり得ない。」

「日本が日清、日露戦争に辛うじて勝ち、独立を全うすることができたのは、」「国民が、日本に誇りを持っていたからだった。」「自らを尊んだからこそ、国民が団結して戦った。」

 国内の平和主義者や人道主義者、左翼反日活動家たちは、氏のような主張を「軍国主義」と非難し、「危険な右翼」と攻撃するが、そろそろ私たちは、反日・亡国の徒と決別をする時が来ている。加瀬氏の言葉には、真剣に考えなくてならないものがあるでないか。

「54年前のアメリカの占領によって、日本語の中の多くの言葉が廃棄されてしまった」「戦前に多くあった" 愛国通り" という道の名が、」「 " 平和通り " と改名された。」「 " 軍人 " は、 " 自衛官 " に、" 兵站 " は、" 後方支援 " に、" 戦争 " は、" 有事 " になった。」 

「特に国の存立がかかっている、防衛の分野でこのようなことが多い。」「今日でも自衛隊では、" 軍 " とか " 兵 "という言葉を使ってならないので、 」「砲兵を特科というし、歩兵を普通科と呼んでいる。」「戦車は、特車だ。」「その結果、現実が曖昧なものとなり、国民は現実を見極める能力を失った。」

「嘘と誤魔化しで現実から逃げてきた敗戦後の日本だ。」と氏は言うが、その通りだと思う。自虐と嘘と誤魔化しで、国全体が経済第一と励んできた結果が、今日の有様だ。中国と韓国と、北朝鮮が、そんな日本の「平和ボケ」に、突然背後から熱湯を浴びせてきた。

 はらわたの煮え返るような怒りを覚えたが、尊大で横暴な、このゴロツキ国家が、日本人を夢から覚まさせてくれたと、私は今でもそう思っている。「言葉が事実を伝えなくなった国は、病んでいる。」と氏は語るが、まったくその通りだ。「敗戦の日」を「終戦記念日」などと言い、「平和平和」と念仏を唱えていれば世界が平和になるなどと、そんな寝言も、言葉が事実を伝えなくなった日から、日本が罹っている重い病だ。 

 300ページ足らずの本だから、一回で終わると思っていたが、それでは済まなくなった。80才という氏の年齢を思うと、もしかするとこの著書の言葉は、氏の遺言と捉えてもおかしくない気がして来た。

 最近の外務省は日本人の矜持を失っているが、氏の御父君が健在の頃はきっとそうでなかったのだろう。だから親の背中を見ながら、右翼とか軍国主義者とか非難される、氏のような息子が育ったのだろう。親中、親韓、自虐史観の小和田氏一派から、外務省を追われたのも、うなづける気がする。

 中途半端を承知の上で、今晩はこれで終わりとする。

 

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北朝鮮消滅

2016-09-24 17:49:24 | 徒然の記

 日高義樹氏元彰氏著「北朝鮮消滅」(平成15年刊 (株)イーストプレス)を読了。

氏は昭和24年広島に生まれ、県立の定時制高校卒業後に、報道カメラマンになった。そのご週刊誌「プレイボーイ」などを足場に、軍事評論家としての活動に入った。高校卒業前に陸上自衛隊少年工科学校で、三年間在籍し中退という経歴もある。

 今年の5月に肝臓ガンのため急逝し、享年67才だった。故人となられていると知れば、遠慮ない書評も控えたくなくなるが、まあまあの本だったと言えば良いのか。

 北朝鮮崩壊の予測を、今から13年前に氏は次のように語っている。

「それは長期にわたる深刻な飢餓と、回復不能な経済悪化が原因である。」「餓死者と行方不明者が1995年からの6年間で、」「250万人を超えたという情報がある。」「北朝鮮政府自身が行った、国勢調査の数字である。」

「行方不明者の90%が餓死、10%が脱北者と推定されている。」「韓国に亡命した脱北者の話では、平壌の道路に餓死者の死体があっても、珍しくない光景だという。」「平壌の高層アパートでは、極寒期の停電で凍死し、アパートの階段に倒れている者を毎朝巡回してトラックに乗せ、郊外で集団埋葬していたという。」

「次に恐いのは、住民による飢餓暴動である。」「食糧不足に不満を抱く者たちが、裕福な者を襲撃してはじまる暴動である。」「これからは、米や穀物を運ぶ食糧列車を襲い、強奪する事件が続発するだろう。」「また地方の食糧倉庫や、上流階級の家が強盗団に襲われる。」「ますます北朝鮮の治安が悪化するとこは間違いない。」

 氏はこうして北朝鮮の内部崩壊を予言するが、13年経った現在、金正日から金正恩に代わっても、この国は存在し続けている。どのような情報をもとに意見を展開しているのか分からないが、こうした内部崩壊説は、中国についてもここ数年同様な言い方がされている。要するにすべて、希望的観測、あるいは願望予測でしかない。

 ノンフィクションと銘打って出版されているが、一つの「娯楽本」と割り切って読んだ。北が軍事攻撃を仕掛けてきた場合、自衛隊はどのような武器で、いかなる作戦で対処するのか。氏は、自衛隊員も驚くというくらいの知識であるらしく、詳しく語られるほど私には訳が分からなくなった。

 素人の自分に、氏のような軍事は分からないが、日本の直面する課題はそれ以前のところにあると思っている。つまりこうした敵対国に、国内で呼応する反日日本人たちの存在。私にはその方がよほど危険だと、言いたい。

 公安調査庁の菅沼光弘氏のような北朝鮮賛美者や、日本の過去を憎んでやまない九条の会の発起人たち、あるいは北朝鮮の方にだって言い分があると主張するアントニオ猪木氏など、彼らの言動の方がよほど警戒すべきだ。

 北朝鮮や中国の内部崩壊を語るより、反日日本人たちによる「日本の内部崩壊支援」の方に、警鐘を鳴らしてもらいたいものだ。間違いなく、個人的嫌悪感や偏見が混じっているが、今の私は、日本の敵として次の組織と集団を断定している。

 すなわち共産党、民進党、創価学会、自民党、朝日新聞、NHK、岩波文庫、中央公論、九条の会、東京大学、京都大学。

共産党は党員すべてを敵対集団と断定するが、それ以外の政党、マスコミ、出版社や大学は、所属者のすべてでなく、そこに生息している一部の反日思想家たちだけである。いわゆる「獅子身中の虫」「駆除すべき害虫」だ。

 立派なリンゴの山の中に混じる、腐ったリンゴという奴で、時間をかけて国の土台を腐敗させていく。外部の敵よりやっかいで、他国の敵より始末におえない。この害虫には、お人好しの善男善女がすぐに騙される。簡単な例で言えば、吉永小百合氏が「九条が平和の砦です。」といえば、諸手を挙げて賛成する国民がいるということだ。

 あるいは小田実氏や瀬戸内寂聴氏や大江健三郎氏みたいな、ただ著名というだけの人間の言葉に心酔してしまうお花畑の人々など、例を挙げればきりがない。二重国籍であれだけ騒がれていても、蓮舫氏を党首にする民主党だって、お花畑の国民の票が欲しくてそうしている。何であれ名前が売れていて、レベルの低い国民に人気のある蓮舫氏なら、選挙の票が集まると、そんな詰まらない戦術だ。

「なんでも良いから、勝てばいい。」・・・・・。選挙にはそうした面があるから、民主党ばかりを笑っておれない。自民党にしても、芸能人やスポーツ選手、はては漫才師まで候補者に仕立て、陣笠と呼ばれる議員を当選させてきた。

 どっちもどっちの政界だが、国際情勢が逼迫する現在では、一票を持つ国民がしっかりしなくてならない。自民党にだって、箸にも棒にもかからないロクでもない議員がいるのだから、「害虫の駆除」も簡単な仕事ではない。

 しかしここは日本だから、独裁の北朝鮮や中国みたいに暴力で「虫退治」をしてはならない。気の遠くなるような話になるが、「選挙の一票」で虫どもを追放するのが王道というものだ。権力ずくで「害虫の排除」をするという者がいるのなら、そんな人間はたとえ保守でも間違っている。

 賢い国民が多くなれば、選挙の一票は正しく行使され、反日と売国の政治家は必ず追放されていく。だからこそ、反日教育をする日教組は強く非難すべきであり、これを下部組織として使っている民進党や共産党の議員も当選させてならない。

 そんなことを考えながら、氏の著作を読んでいたから、読後の感想もたいして無い。こんなよそ事を考えさせてくれた本も、珍しいといえば珍しい。亡くなられた氏に敬意を表するとすれば、新しく教えられた事実への感謝である。それは北朝鮮における、国民の区別だ。こんな非人道的区別(差別)がある国だなど、氏の本を読まなければ知らずに一生を終えるところだった。(知らずに終えても、どうということもないが。)

 区別と言わず、「成分」というらしいが、氏の本からそのまま引用しよう。

「北朝鮮では、成分を大きく三つに分類している。」「つまり " 核心階層 "、  " 動揺階層 " 、 " 敵対階層 " である。」「さらに3階層は、それぞれ51に細分化される。」「出身成分は、三代前までさかのぼって調べられ、」「金日成、金正日父子に対する、忠誠度が判定の基準になる。」

 「核心階層は、金日成の側近を中心とした革命遺家族、朝鮮戦争での戦死者の遺族、労働党員、栄誉軍人からなっている。」「平壌には、核心階層しか住めない。」「国から優遇され、特権を享受してきた人々。」

「動揺階層は、金日成への忠誠度が比較的薄いと判断された人々。太平洋戦争後に労働者となった者、中農出身者、手工業出身者。」

「敵対階層は、昔の地主出身者や、戦後に入北した者、越南者(韓国に移住した者)の家族、カトリック教信者、日本からの帰国者である。」「国の機関から徹底的に差別され、ことあれば痛めつけられる人々。」

「核心階層は人口の約3割、動揺階層は約2割、残りの5割が敵対階層に分類されている。」「日本にいる家族から多額の送金を受けている者は別にして、」「日本からの帰還者や、いわゆる日本人妻は危険分子とみなされている。」

 これでは北朝鮮籍の在日が、帰国しないわけである。朝鮮総連の在籍者だって、例外であるまい。氏の本が事実を語っているとするのなら、北朝鮮籍の在日の人々は、いい加減日本への誹謗中傷を止めたらどうなのだろう。

 結局は彼らを甘やかせ、彼らを利用している議員や活動家や文化人たちがいるからこうなる。原因はすべて、「獅子身中の虫」たちにあるということだ。せめて私のブログを見た人たちは、反日議員にだけは投票しないと、そうなって欲しいものだ。

 この本も叔父の遺品だが、ここまでくると、叔父がどう思っていたのか見当がつかない。根気強く読んだものと、感心するしかない。著者には申し訳ないが、来週の小学校の有価物回収日に、この本もゴミとして出すしかあるまい。

 

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公安調査庁調査第二部の元部長

2016-09-22 18:35:26 | 徒然の記

 平成23年8月に、U-Tubeで、表題の肩書を持つ、菅沼光弘氏を、初めて知った。外国人特派員記者クラブで、「日本の裏社会」について語る氏だった。

 眼光鋭く聴衆を眺めつつ、自信に満ちた口調だった。日本のヤクザの60%が同和出身者で、残りの30%が在日で、10%が中国人と日本人だと言う。在日ヤクザの30%の内、北朝鮮系が3割と、のっけから数字を示され、在日の占める多さに驚いた記憶がある。

 5年前のことなので、正確に覚えていないが、もう一つ驚いた言葉がある。

 「ヤクザは、警察にとっては犯罪者ですが、私たちには情報提供者なんです。」「私は山口組のナンバーツーと、」「親しく付き合っております。」「ヤクザは、いわば必要悪なのです。」

 公安も警察も、同じだと思っていたので、ヤクザとの親密さを公言して憚らない氏に、違和感を覚えた。そして昨日、偶然目にしたチャンネル桜の動画を見て、違和感が確信となった。

 チャンネル桜の、女性と男性の司会者を相手に、氏が北朝鮮について語っていた。

 「日本が戦後処理を終えていない国は、北朝鮮とロシアであり、」「これは、最優先で解決しなければならない課題だ。」「ドイツは、とっくに敗戦後の処理を完了しており、」「こんなことでは、日本は国際社会において相手にされない。」「拉致問題だけに焦点を当てているが、」「北朝鮮との国交回復は、同時並行ででも進めなくてならない。」

 「韓国だってそうだったが、北朝鮮も日本の植民地だったのだから、」「日本こそが率先して、主体的に国交回復を計るべきだ。」と、反論を許さない勢いで語っていた。

 何時もなら、元気に解説するチャンネル桜の司会者たちも、勢いに押されたのか、一歩も二歩もへりくだり、先生先生と奉り、まともな反論さえできない。拉致問題の解決なしに、北朝鮮とは妥協しないと、日頃のチャンネル桜の勢いは、どこへ行ったのか、不思議でならなかった。

 別の動画を探してみると、氏は6月、7月と、頻繁にチャンネル桜に出演し、あたかも独演会みたいな有様だった。水島氏でさえ、ひたすら相槌を打つだけだったから、情けない思いがした。

 6月の動画では、かって朴大統領の時に、日韓がうまくいっていたのは、軍人政権だったからで、軍人たちのほとんどが旧日本軍にいた者だった。日本との意思疎通は何の問題もなかったという話だ。

 「朴大統領が暗殺されたのは、彼が核兵器を持とうとしたため、アメリカの逆鱗に触れたからだ。」「世間で言われている、政権内の闘争ではない。」「以後アメリカは、韓国の反日感情を煽り始め、慰安婦問題にしても、」「韓国の意思というより、アメリカのやらせだ。」

 7月の動画では、日本がまともな情報機関を持てないのは、アメリカの妨害だと主張する。情報機関というのは、単に機密情報を収集するだけでなく、謀略や殺人だってする組織であり、綺麗ごとの集団ではない。

 要するに、氏は強烈な反米主義者であった。確かに、氏の持論にはうなづける部分がある。中国の南京問題や、韓国の慰安婦問題の背後には、故意に放任する米国の意思があると、私は見ている。あるいは日本に、本格的な情報機関を作らせたくないという、非協力的な面も感じる。

 しかし氏は、ネットで調べてみると、北朝鮮賛美者の一人であり、朝鮮総連への理解者でもある。「9.11の同時多発テロ」が、アメリカの自作自演だったという、極論への賛同者だと知るにいたっては、疑問符が幾つも付いてくる氏だ。

 どうしてこのような人物が、公安調査庁にいたのか不思議でならない。

 氏は昭和11年に京都府で生まれ、東大卒業後に、公安調査庁へ入庁している。近畿、和歌山、中国、千葉と、地方の公安調査局に勤務した後、本庁へ戻り、第二調査部部長を最後に退官している。現在は「アジア社会経済開発研究会」という団体を主宰し、評論家として活動中だ。

 どこへ行っても、先生と追従される氏だが、それは何と言っても「公安調査庁」という、厳めしい官庁の出身者であるところから来ているような、気がする。

 そこでいつもの通りネットで調べてみたが、何ということはない、法務省の外局にすぎない、二流どころの組織だった。昭和27年に設置されたもので、平成17年現在の定員は1,498人、年間予算が151億円しかない。共産党やテロ等の危険な組織を監視し、収集した情報を報告するのみで、警察のように、被疑者を逮捕したり、取り調べたりする権限も持っていない。

 警察庁の下には、同様な名称の公安組織があり、こちらの方が本物のようである。むしろ公安調査庁は、戦後に生まれた中途半端な公安組織で、もしかすると、やがて整理統合されるべき集団でないかと思えてきた。

 まずもって私は、政府関係者に提言したい。不用意な意見を述べる、元公安関係者を放任しておいて良いのかという点だ。本当なのか、作りごと半分なのか、確認できない話を、何も知らない国民に拡散して良いのか。

 陰謀や暗殺が、諜報機関につきものだとしても、公然と語るべきものなのだろうか。本物の情報機関員なら、一生口に鍵をかけ、軽々しく喋らないのが本当でないのか。暗闇の世界に生きる者には、暗闇に生きる掟があるはずだし、自ら選んだ道なら、誇りをもって一生を闇の中で力を発揮して欲しいではないか。

 私には、氏のような胆力も、弁舌もないが、重要な組織の一員となったからには、守るべき責任と義務があることは、知っているつもりだ。

 それとも氏は、世間に石ころのように、無数に存在する、金儲けだけ考える、評論家になり下がっているのだろうか。どんなに立派そうに見えても、今の私には、氏が「獅子身中の虫」、「駆除すべき害虫」の仲間にしか見えない。

 

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ねこ庭の秋

2016-09-21 12:31:23 | 徒然の記

 台風一過、猛暑の夏と水不足の夏が一挙に消え、早朝は肌寒くさえあった。

暑さに弱くなったため、ほとんど庭に出なかったが、久し振りに家内と二人で雑草取りをした。花の少ない夏の間、賑やかに庭を飾ってくれたルドベキア・タカオを全部切り取った。直径2センチほどのヒマワリとでも表現すれば良いのか、鮮やかな黄色い花だ。

 庭の隅に少しずつ植えていた彼岸花が、生い茂った花木の陰で咲いていた。知らぬ間に巡る季節、秋の訪れを教えられた。田の畦道や土手の斜面に、群がり咲いていた彼岸花は、私の記憶の彼方にある花だ。華やかな赤なのに、彼岸花は物寂しい花だった。熊本の田舎に住んでいた少年の頃、戦後の貧ししい暮らしがそうさせたのか、まわりにいつも、もの悲しさが漂っていた。

 辛いとか、苦しいとか、悲しいとか、強い思いでなかったが、追憶の背後に何かしら切ない色調があった。これも秋の花に加えて良いのか、庭には赤と白の水引草が可憐な花をつけていた。こうした花を眺めていると、まさに感傷の秋となりはてる。

 こんな過ごしやすい日には、庭仕事をする私たちの傍らに、背を丸めた猫がいた。白いテーブルの上か、庭椅子の上か、自分の前足にあごを乗せ、目を閉じたままじっとしていた。「ほんとに、可愛かったねえ。」・・・・、どちらからとなくつぶやくと、もうダメだ。涙で視界が邪魔される。

 いつまでたっても、飼い猫の思い出は私たち夫婦を涙ぐませる。飼いたいと思っても、猫より先に死ぬ年令だから、飼えなくなってしまった。犬でも猫でも、最後まで見守ることの難しさを知ったので、自分たちの都合だけで欲しがってはいけないと教えられた。もう、この話はよそう。

 ねこ庭がここにあり、季節の花が咲き、季節の仕事が自分たちにあり、心地よい汗と疲れがある。これ以上何を望もう。思い出を残してくれたわが猫に、心の中で手を合わせたい。

 伸びすぎた枝を切り、枯れた花を抜き、雑草を取り、無心の作業が雑念を払ってくれる。ここは私の住む千葉県、関東、東日本、もう少し広げたら、日本。大切な日本だ。

 今日はそれだけでいい。政治も、経済も、マクロの話はお預けだ。ねこ庭の日常の、この安らかさも日本だ。この日々の平和と穏やかさを、感謝せずにおれない。

 ご先祖様と、数知れぬ尊い御霊と、そしてわが猫に・・・・・、理屈抜きの感謝を捧げる。人生には、こんな日が、たまにあってもいい。

 

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3つの疑問 ( 日本の指導者に、憂国の士はいないのか。)

2016-09-17 21:09:54 | 徒然の記

これまで、長いブログを綴ってきたが、今宵は簡潔に意見を述べたい。

 1.  2600年余の皇室の伝統を破り、自ら天皇のお立場を貶められた、ご先祖さまへの反逆とも言うべき 今上陛下を、なぜ容認するのか。赤い美智子さまに引きずり回されているだけの、愚昧な陛下になぜ進言する真正保守がいないのか。 

 2.   罪のない国民が拉致されても、それでも援助する政治家と政府があるのは、なぜか。敵対する朝鮮総連や、拉致に協力した国内の犯罪者をなぜ政府は逮捕しないのか。国民の悲惨な犠牲を放置できる政府は、本当に日本の政府なのか。

 3.  敗戦後の日本には、真正保守の政治家や指導者がいなくなったのか。赤い皇室、拉致された国民への無作為を、日本の危機として捉えられる真正保守がいなくなったのか。

 

  ときには台湾人と言い、ときには中国人と言い、ときには日本人と言い、その場その場で、国のために尽くしますという、蓮舫氏を党首に選ぶような政党が大手を振るう日本とはいえ、本当にこのままわが国の崩壊を眺めているだけの指導者しかいないのか、ここまで落ちぶれた日本なのか。

 そうなれば、答えはひとつ。国民が賢くなり、国民が声を出し、国の行く末を決めなくてはならない。腐れマスコミがする、「天皇の生前退位には国民の80%以上が賛成している」などという、朝日新聞の捏造記事の真似を、許してはならない。

 たかがブログ、されどブログ。声を上げることに意義がある。多くの声を上げることが、力です。団結は、左翼の専売特許ではありません、団結は国を思う真正保守の国民にとっても、大きな武器です。もう、これ以上左翼の横暴を見過ごしてはなりません。

 

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アメリカは、北朝鮮を核爆撃する -3

2016-09-15 14:50:44 | 徒然の記

  三万七千人の兵力を持つ、在米韓国軍はどこにいるのか。

 日高氏の著作で初めて知り、世界一の軍事強国アメリカの力を見せつけられた。朝鮮戦争終了時から50年間、在韓米軍は韓国を守るため北朝鮮軍と対峙してきた。その実態について、氏が明らかにしてくれる。

 「ソウルにある在韓米軍司令部は、ソウルの中央部、龍山 (ヨンサン)のほとんどを占めている。 」「東京で言えば、東京駅から大手町、銀座にかけての一等地を独り占めしているようなものだ。」「しかし、地図には何の記述も見当たらない。」「つまり龍山の一帯は、名無しの権兵衛、地名のまったくない地域になっている。」

 「表向きには、北朝鮮のゲリラから守るためと言われているが、」「主たる理由は、ソウルの中心部をアメリカ軍が独占している事実を隠すことだろう。」「韓国の人々にしてみれば、首都の広大な一等地をかくも長い間、外国人に占拠されたままというのは、まったく面白くないことに違いない。」

 現在、北朝鮮が38度線近くに置いている軍隊は 70万人であり、しかもテポドンを持ち、核兵器を持ってしまった今となっては、在韓米軍3万7千人が待機して攻撃を待つという形は、時代遅れになったとラムズフェルド国防長官が考えていたらしい。

 米軍の韓国からの撤退については、盧武鉉大統領が要求したとかしないとか、マスコミが騒いでいたのを覚えている。ほとんどのアメリカ人が彼を嫌悪し、金正日以上に、アメリカの敵と見ている。アメリカ国内には、「いっそのこと、在韓米軍を引き上げてしまえ」という意見が強くなっている。

 アメリカ政府は、在韓米軍の待機体制が戦略的に意味をなさなくなったことに加え、北との戦闘時に米軍が人質になる危険を考え始めた。先のブログで述べたように、グアムの基地が完成した今となっては、戦術的観点から米軍を韓国に置く意味がなくなっている。氏は、これに加えて次の要因を挙げる。

 「アメリカ国防総省の私の友人は、韓国内の反米感情を真剣に懸念している。」「今の韓国人たちは、北朝鮮に強い同族意識を持っている。」「私も韓国に再三渡り、取材しており、知り合いのジャーナリストに尋ねたことがある。」「北朝鮮がソウルを攻撃したとき、韓国軍や韓国人は北朝鮮に報復の戦いを始めるだろうかと、」

 すると、ジャーナリストがこう答えた。「大勢の国民がアメリカに反感を持っている今、何か起きたら、北朝鮮にではなく、米軍基地に攻めかかることが、絶対にないとは言えないでしよう。」

 つまりアメリカは、北朝鮮へ核攻撃をする前に、人質となる恐れのある在韓米軍を韓国から引き揚げなければならない。勿論そういう理由は口にせず、軍事情勢の変化ということで実行に移すだろうと氏は言うが、事態はこのように切迫している。

 さてここで氏は、アメリカが北朝鮮を核攻撃し、崩壊させた後の処置について、更に興味深いことを語る。

 「朝鮮戦争は、アメリカが10万人以上の死傷者を出して韓国のために闘った戦争だ。」「その韓国が今、北朝鮮に対して友好的な姿勢をとり、アメリカの基地反対闘争に全力を挙げているのを見て、アメリカの国民は猛烈に怒っている。」「アメリカには、社会の第一線で働いている、当時の兵や将校たちが多数いる。」「彼らは、自分や友人たちが韓国のために命を捧げたことを、今でも覚えている。」

 「こうした国民のためにも、ブッシュ大統領は、爆撃で崩壊させた北朝鮮を、韓国に併合させることはできない。」「しかも、北朝鮮と国境を挟んでいる中国とロシアは、アメリカ独自の処置に必ず反対する。」「アメリカは、おそらく中国、ロシアとの三国による、北朝鮮軍事管理という提案をするだろう。」「この状況が、ただちに日本の危機というわけではない。」「日本の危機は、アメリカ軍が朝鮮半島から引き揚げてしまった後にやってくる。」

 アメリカは、恩義を忘れた韓国を嫌悪し、怒りさえ覚えている。捏造の「慰安婦問題」で、日本だけが苦しめられていると思っていたが、すでに何年も前から、米国は韓国に憎まれ、攻撃されていたのだ。沖縄の基地反対運動に、韓国人が多数参加しているという話も、こうなってくると納得できる。だから米軍の韓国撤退という話は、根も葉もない噂でなく、信ぴょう性のある話だと分かる。

 「朝鮮半島からアメリカ軍が引き揚げ、中国とロシアが半島を支配することとなった場合、社会的な問題がまず起きてくることは明白である。」

 氏がこの本を出版した13年前には、半信半疑の国民が多かっただろうが、今日では迫り来る日本の危機が実感できる。好感の持てない氏であるとしても、現実の国際情勢下では、しっかりと聞きたくなる意見だ。

 「大勢のロシアマフィアが朝鮮半島に乗り込み、海岸線から日本海を超えて、日本にやってくる。」「今でも北朝鮮の小さな船が、日本から密輸をしたり、北朝鮮の人間を不法入国させたりしているが、」「ロシアマフィアの日本侵入は、北朝鮮の比ではない害を及ぼすだろう。」国名のロシアを中国と置き換えれば、まごうかたなき日本の危機が誰にも分かる。最後に、氏は中国の危険性にも言及する。

 「ロシアマフィア以上に危険なのは、中国の地下組織である。」「中国の地下組織は、北朝鮮の数百倍ものスケールで、」「麻薬や偽札、犯罪者、不法入国者を日本に送りこむだろう。」「中国の地下組織は、韓国の港を経由して、日本への侵入をやりたい放題にやるであろう。」「長い歴史の中で、日本はいつもこうした状況を恐れてきた。」

 「歴史的に、日本の指導者たちは、" 朝鮮半島の問題は日本の問題である " と 、考えてきた。」「これは韓国への内政干渉を意味しているのではなく、」「朝鮮半島の地政学的状況が、日本の安全にとって極めて重要だという意味である。」

 さてここからが、本題である。氏の意見と私の考えがぴったりと符合し、大きくズレているこの主張だ。

 「有事法案が成立した時、朝日新聞系の雑誌が、有事法案は新しい敵を作ると書いた。」「作るどころか、日本の周りはすでに、アメリカと台湾を除き敵ばかりである。」「こうした周りの国々の敵意から、これまで日本を守ってきたのがアメリカである。」「アメリカに協力し、対等の立場で同等の責任を持って自国を守っていくためには、日本は憲法を変え、日米安保条約を改訂しなくてはならない。」

 ぴったりと符合するのは、憲法改正と安保法制の改正で、大きくズレているのは氏の主張するアメリカ第一の思考だ。日本の危機を警鐘乱打する氏に共鳴しても、全てをアメリカと共にという意見には首をかしげざるを得ない。

 昨年の11月に亡くなられた平泉渉氏の動画が、今も私の脳裏に残っている。元外交官であり、国会議員だった氏は「世界のダイナミズム」という動画を自ら作り、毎回「憂国の思い」を語っておられた。昨年の5月の動画が最後のものであり、氏の遺言でもあった。氏はアメリカと中国の強大さを常に語っていたが、何でもアメリカ一辺倒になれとは言わなかった。忘れもしない氏の言葉を、再度引用したい。

 「憲法と安保の組み合わせで見たら、日本の実態は、アメリカの保護国です。」「おそらくこれは、国際社会での常識ですが、日本人はそう思っていません。」「日本は過去、欧米については研究しても、中国は軽視してきました。」「本来なら、中国については日本に任せろ、というくらいの気概を持つべきなのです。」「敗戦後の日本は、国際社会から隠居し、アメリカに頼ってきたのです。」「独立への対応も、体制も、第一国民の危機意識も無くなっています。」

 「日本は、大国である米中のはざまに位置していて、大国の動きで存亡が決まるのです。」「他の国々と連合を組まなくては、生きていけないのです。」「日本はグローバル化しないと、中国とは対抗できません。」「世界の代表として中国と対抗できる国のはずなのですから、引きこもっていてはダメなのです。」「そのためには、意思表示のツールとしての英語が、駆使できなくてはいけません。」

 政治家はもちろんのこと、経済界の人間も学者も、そして国民も、自己主張する他国の人間に負けないよう、日本語でなく、英語で渡り合えるようになることの重要性を訴えておられた。単に英語が喋れるだけの日本人でなく、自己主張できる意見と知識を持つべしと、氏は訴えておられた。平泉氏の、国を思う熱い心に私は涙を誘われたが、日高氏の多弁には胸を突かれるものがない。

 それでも、自分の知らないことを教えてくれた先輩対し、共鳴する意見を一つだけ著書から引用し、三回にわたったブログを終わるとしよう。

 「たしかに日本人は、自らを守るだけの力をすでに持っているが、肝心なものを持っていない。」「自らを守るという、意思である。」

 

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アメリカは、北朝鮮を核爆撃する -2

2016-09-14 17:50:48 | 徒然の記

  日高氏の説明によるとアメリカの基本戦略は、「核兵器を持たない国に対しては、核兵器を使わない。」というもので、アイゼンハワー大統領以来暗黙の原則となっているという。

 アメリカが金正日を核兵器で攻撃しようと考えている理由を、氏が二つ挙げる。「一つは、金正日が核兵器を持ったので、核兵器で攻撃することに、アメリカが良心の呵責を何も感じなくて済むようになったこと。」「今一つは、北朝鮮が行っている、テロリストへの支援をやめさせるには、核兵器の使用が最も効果的だと考えていること。」

 2001年9月11日の同時多発テロ事件以来、ブッシュ政権とアメリカ国民は、テロへの激しい敵意を燃やしている。

 「ブッシュ政権は、北朝鮮が重要だから戦うわけでなく、北朝鮮とテロリストとの関わりを憎み恐れているから戦うのである。アメリカの兵士の血と汗に値しない国であるがゆえに、核攻撃が一番安全で、効果的だと思っている。」

 アメリカ国防政策委員会の議長だったリチャード・パール氏が、日高氏に次のように語っという。

 「北朝鮮は、そのうち自分の重みで崩壊する。北朝鮮は、アメリカが攻撃する前に無くなってしまうはずだ。」

 当時こうした予言は珍しくなく、国防総省やホワイトハウスの関係者は、北朝鮮の自己崩壊を信じていたらしい。ところが今になっても崩壊しないため、米国の政府関係者が次のように語り始めた。

 「いまだに北朝鮮が存在しているのは、日本のパチンコマネーが北朝鮮に注ぎ込まれているからだ。」「北を爆撃する前に、ブッシュ政権が行わなくてならないのは、パチンコマネーや株など日本からの資金を止めてしまうことだ。」

 平成14年頃、米国でこのような議論が起こっていたことを初めて知った。パチンコマネーのいかがわしさは、14年も前から問題視されていたのだ。

 ブッシュ政権首脳は、この事実に猛烈な怒りを燃やし、北朝鮮からの亡命者を含む関係者から、調査を開始したという。氏がNHKの元社員なのでどこまで本当の話なのか、確認する術がないが、まんざら嘘でもなかろうと、本の叙述を引用してみよう。

 「小泉政権の協力がなければ、不正な資金を北朝鮮に送ったり、技術を横流ししている政治家や、企業を捕らえることができない。」「北朝鮮に通じている政治家といえば、小泉政権に対立しているグループである。ブッシュ大統領が人質の救出に協力すると言ったのは、テロとの戦いに日本の協力が要ったからである。」

 はっきりと書かれていないが、小泉首相が北朝鮮を訪問したのは、アメリカ側の協力と了解があったからだと、氏は言う。当時の小泉首相は、国民の人気が高かったものの、自民党内は勿論野党からも攻撃され、政界では孤立した政治家だった。

 だから、パチンコマネーにからむ、不正な政治家の逮捕に協力する力もなかったし、その気も持っていなかった。今になって分かることだが、郵政改革にしろ、拉致問題にしろ、小泉首相の強い愛国心から出たものでなく、国民の興味と関心を引くものなら、なんでも良かったのだろう。ポピュリスト政治家らしい、その場かぎりの人物だった。

 平成23年の資料で年代が合わないが、ネットで調べた情報を参考までに引用しておこう。この中に、北朝鮮の犯罪に手を貸す政治家が含まれているのかどうか、それは知らない。

 「パチンコ・アドバイザー議員」として、自民党と当時の民主党の議員名簿があるので、順不同で列挙してみる。

 1. 自民党議員 

 中川秀直 山本有二 野田聖子 木村太郎 岩屋毅 田中和徳 後藤田正純 高木毅 松浪健太

 坂本哲志

 2. 民主党議員

  羽田孜 鹿野道彦 古賀一成 小沢鋭仁 池田元久 古川元久 山田正彦 中川正春 

 海江田万里 小林興起 山岡賢次 牧義夫 中山義浩 生方幸夫

 これらは、悪名高いパチンコ業界から政治献金をもらい、業界の便宜を図った議員の名前だ。スネに傷持つ本人には分かるのだろうが、米国が目当てにする不正疑惑議員が誰がなのか、私には分からない。

  世間の誰もが知っていて、私だけが無知だったのかもしれないが、やりきれない話だ。「政治は最高の道徳である。」など、どこにそんな国があるのかと問うてみたくなる。悲しみの中にいる拉致被害者の家族のことについて、ほとんどの政治家が、真剣に取り組んでいないことが分かる。

 日高氏を、魂の抜けた評論家と私が言うのは、こうした事実を語る氏の言葉に日本を思う熱い心がないからだ。冷静な優等生が、眼前の複雑な事象を解説する、得意そうな口吻しか届かない。

 こうなってくると、氏の在籍している「ハドソン研究所」について知りたくなってくる。

 米国の安全保障と国防政策を研究するシンクタンクの一つで、ワシントンに所在し、1961年(昭和36)の創立以来、米国内の各界から重要視されている。米国の未来学者、軍事理論家であるハーマン・カーン氏が創立したと書いてある。

 カーン氏は「21世紀は日本の世紀である。」と予言し、「軍事的にはアメリカ、経済的には中国の影響下に置かれる」と予想しているらしい。

 秘密主義の研究所なのか、所在地、組織、運営メンバー等、詳しい内容は公表されていない。要するに、日本は未来永劫独立国になれず、米中の属国のままだと言う研究所に、日高氏が首席研究員として職を得ているということだ。職業の自由は日本にもあり、米国にもあるのだからとやかく言わないが、日本人ならいつまでもいる場所であるまいと、そんな気がする。

 あちこち寄り道するので、今回も長くなり、予定の課題が述べられなくなった。残りの安保法案と憲法問題については、次回にしよう。

 この本も叔父の遺品だが、韓国・北朝鮮の歴史の真実から、一挙に北朝鮮の爆撃の本へ行くのだから、温厚な叔父も、隣国の自己主張に我慢が出来なくなったのだろうか。気持ちは理解するけれど、日高氏の著作は回答を示すというより、一層の混迷へと叔父を導いたのではなかろうか。

 このところ、誰も待っていないブログを、ずっと書き続けている。息子たちが死後に読んでくれると期待しているが、本当のところ当てにしていない。もしかするとこのブログは、別の世界へ旅立った叔父の魂に向かって、私が一方的に語りかけているだけのものかもしれない。

 それならそれで、一向に構わない。あちらの世界との対話なら時間のことを気にせずに済む。ブログが長くなろうと、何回続こうと、叔父はあぐらを組んで笑いながら、こんな私を見ているのであろう。

 

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アメリカは、北朝鮮を核爆撃する

2016-09-13 23:24:48 | 徒然の記

 日高義樹氏著「アメリカは、北朝鮮を核爆撃する」(平成15年刊 徳間書店) 読了。

氏は昭和10年に名古屋市に生まれ、東京大学卒業後にNHKに入社している。ニューヨーク、ワシントンで勤務し、後にハーバード大学客員教授、ハドソン研究所で首席研究員をしている。以前テレビで見かけた顔だが、現在氏が存命なのかどうか知らない。

 NHKが、あまり国益を考えない報道機関だと知って以来、NHK関係者と聞けば、身構えてしまう癖がついてしまった。ことに、「お言葉報道」で、新聞協会賞を受賞するなど茶番劇の当事者を演じてからというもの、軽蔑せずにおれなくなった。

 読後の感想を具体的に述べる前に、日高氏の全体としての印象を語っておこう。意外だが、氏は改憲論者で、自国防衛の重要性を主張する点で、私と一致する。しかし徹頭徹尾親米派で、日本人としての魂の抜けた評論家だ。現実的な論点を展開する割には、肝心の魂が失せているという、優秀な、典型的東大生の一人だった。

 こういう点をシッカリ胸に刻んでおけば、知らないことを沢山教えてもらい、秋の夜の読書には有意義だった。まず、グアム島のアメリカ軍基地についてのレポートは、知らないことだらけだった。

「グアム島は、アジア大陸に最も近いアメリカの領土である。」「だが領土というだけで、州には昇格していない。」「グアム島の住民たちには、アメリカの州が享受している各種の権利が、全く与えられていないといってよい。」「グアム島は、アメリカ軍が誰に気兼ねすることなく、自由に使える場所なのである。」

「アンダーソン基地には、5000メートルの長い滑走路が二本と、何本かの誘導路が作られている。」「世界にある、アメリカ軍のどの基地よりも広い。」「それこそ見渡す限り、地の果てまでの基地である。」「南北がほぼ百七十キロ、幅十数キロの島であるが、北端に空軍基地アンダーソン、南の端にアガナ海軍基地がある。

「以前は設備らしい設備はなく、警備も全くないような場所だった。」「だが今や、厳重な警戒体制がしかれ、補給基地建設が急ピッチで進められている。」「アメリカ軍は全力を挙げてグアムの補給体制を強化しているが、」「これが完成すれば、アメリカ軍にとって最も重要な基地になるはずである。」

 観光地のグアムに、こじんまりとした米軍基地があるのだとばかり思っていたが、事実は大違いだった。「グアム島はアメリカ領で、外国の新聞に非難されるいわれもなければ、」「反戦グループのデモを受ける心配もない。」「アメリカのインテリグループもいないから、国内の反政府勢力の動きを心配する必要もない。」

 なるほどそうだったのかと、納得したが、これから先が凄い。

 「アメリカ海軍はアガナを根拠地として、潜水艦隊を南シナ海から東シナ海、そして日本海へ出動させ、北朝鮮の海軍に対抗することにしている。このグアム島が、今や北朝鮮攻撃の最前線基地となっている。」

 空軍の爆撃部隊も、海軍の原子力空母も集積し、戦争の拠点をハワイから移そうとしているのだから、生半可な基地ではない。氏の説明によると、この基地が完成すれば、韓国駐留の米軍も日本の基地にいる米軍も使わず、戦争遂行が可能となるらしい。こうなると、沖縄の海兵隊の移動という話だも現実のこととして受け取れる。

 興味を惹かされたのは、北朝鮮に振り回されたアメリカの大統領の失敗談だ。日本の外務省がだらしないと、不満を募らせている自分だが、米国まで踊らされたと知ると考え直したくなる。

 「アメリカは北朝鮮に対して、外交交渉で軍事力の拡大を阻止しようとしてきたが、完全に失敗してしまった。」「そもそも二十年以上も前の1979年、当時のカーター大統領が、北朝鮮が核兵器製造能力を持った時、これを徹底的に排除できなかったことから始まっている。」

 「カーター大統領は完全に北朝鮮に翻弄され、核兵器やミサイルの開発続行を許してしまった。カーター大統領とそのブレーンが、外交能力を全く持っていなかったことに原因がある。」「北朝鮮どころか、軍事問題全般について、およそ理解していなかった。大統領は北朝鮮に警戒心を持っておらず、金日成が何をやっているか知ろうともしなかった。」

 「もっと無様だったのは、クリントン大統領だろう。」「1994年に約束に反し、北朝鮮が核開発をしているのを知り、爆撃しようとしたが、ソウルを火の海にするぞと脅され止めてしまった。開発を止めるという北朝鮮の空約束を信じ、石油50万トンを毎年タダでやる約束をした。」

 「五十万トンといえば、北朝鮮の一年間の石油使用量の40%にあたる。北朝鮮はクリントン大統領を騙しながら、着々と核兵器の開発を続けた。」

 話し合いで物事を決めようとする、人道的平和主義の大統領の時、アメリカの外交は大きな失敗をしているような気がしてならない。カーター氏は勿論だが、クリントン氏もそうだったし、現在ではオバマ氏がそうである。国際社会では、相手を信じることからはじめると、その理想主義はたいてたい悪辣な暴力の行使に負けてしまう。綺麗事で済まそうとすると、相手は武力で事態を拡大してゆく。国際社会の厳しい現実を受け入れられないのは、日本の外務省だけでなかったということか。

 簡単に終わろうと思っていたのに、今回もうまくいかなかった。米国が見ている日本について、衝撃的だった事実を述べるスペースが無くなってしまった。

 拉致問題、安保法案、憲法等、肝心なことが残っている。それともう一つ、どうして氏がべったりの親米派なのか・・・・・、残念ながらこれも明日にしよう。

 

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平成18年刊 別冊「正論」

2016-09-11 22:30:43 | 徒然の記

 亡くなった叔父が、「在日コリアンの歴史」(民団編集 教科書副読本)と一緒に、買い求めていた「別冊 正論」を読んだ。

「反日に打ち勝つ! 日朝・日韓歴史の真実」と銘打たれたこの雑誌には、沢山の学者や評論家が寄稿している。その中から、叔父が読んだであろうと思われる記事を中心に目を通した。

 高崎経済大学教授の八木秀次氏の論文が、私の無知蒙昧に一番光を当ててくれた。韓国が教科書でどのように自国の戦後史を教えているのか、特に日本との関係でどんな教育をしているのか。

 嘘が沢山混じった反日の教育だとは聞いていたが、ここまで酷い内容とは知らなかった。こうなると、現在の韓国人が日本を責めている根拠は、事実を踏まえた理論ではなく、たんなる感情論に過ぎないことになる。お前が嫌いだ、お前が気に入らないという相手とは、真面目な議論が成立しないし、話せば理解し合えるという到達点も、最初から無い。

 八木氏の叙述をそのまま引用する方が分かりやすいし、ショックも大きいから、面倒がらずに転記してみたい。一連の反日博物館を見学するため、平成17年に氏が韓国訪問をした際の報告でもある。

「日本と韓国との間の歴史認識の溝は、我々の予想以上に深いのかもしれない。」「慰安婦の強制連行や創氏改名、あるいは竹島の帰属問題とか、そのような個別の歴史的事象のことでなく、」「韓国側が有している、歴史の大きなストーリーが、われわれ日本人には、」「到底受け入れることが出来ないものであることに、由来するのだ。」

「どうも、韓国の公式史観では、1919年(大正8年)の3月1日、すなわち三・一独立運動で、」「大韓民国は独立したが、日帝の弾圧によって、海外に亡命政権を作った。」「その亡命政権は、独自の軍隊を持ち、大東亜戦争が始まると、」「日本に宣戦布告し、韓国は独立戦争を戦った。」

「そして、日本の敗戦とともに、韓国は戦勝国になった。」「と、このようなことを、言っているようである。」「韓国が日本と独立戦争を戦い、戦勝国になったなどという話を、」「日本人は聞いたことが無い。」「しかし韓国では、これは古くから、いわば常識と言っていいもののようである。」

 氏も驚いたかもしれないが、私はもっと驚いた。叔父の遺品の「在日コリアンの歴史」に、似たような記述があるが、さすがにここまで明確に書かれていなかった。在日のための教科書副読本なので、日本人の目に触れる可能性があるから、露骨な捏造ではばれてしまうと、曖昧に書いていたのだろうか。

 こんな歴史の大嘘は、日本人だけでなく、世界だって相手にするはずがない。黄文雄氏が、「韓国人の独立運動なんて、台湾のそれに比較すべくもない。」と言っていた意味が、これで分かった。

 あるいは大戦後に、韓国がサンフランシスコ条約の戦勝国に加えてくれと頼んでも、米国など連合国から無視されたと、そんな話の意味もこれで分かった。

 しかし当時の李承晩大統領は、この大嘘の史観を韓国の戦後史の土台に据え、反日教育の出発点とした。八木氏の文章を、再び引用してみよう。

「日帝が太平洋戦争を起こすと、大韓民国臨時政府は日本に宣戦布告し、」「連合国軍とともに、独立戦争を展開した。」「韓国光復軍は、中国各地で中国軍と協力して戦い、遠くインドやビルマ戦線まで進み、イギリス軍とともに対日戦闘に参加した。」

「韓国光復軍は敵の後方を攪乱するなど、さまざまな特殊戦で戦果を収めた。」「アメリカに住むわが同胞たちも、アメリカ軍に参加し、独立運動に立ち上がったりすることもあった。」「わが民族の積極的な独立戦争は、各国に知られ、世界列強は、韓国の独立運動に関心を持つようになった。」

 あの戦争の間、日本人は韓国軍との戦闘など耳にしたこともないし、そんな軍隊が存在したことも知らない。それどころか、日本軍の中には朝鮮人の将軍や佐官たちがいて、日本軍を指揮し、連合国軍と死闘を繰り広げていた。まともな日本人なら、こんな馬鹿げた話を聞く耳など持っているだろうか。 

 韓国の独立は日本が敗戦した結果の、棚ぼた式のものだったというのが、世界各国の常識なのに、なんと、この虚構が韓国の歴史教育だ。戦後70年にわたり、朝野がこぞって、こうした教育をするのだから、韓国人の反日ぶりが生半可なものでないことが、よく分かった。

 日本ではこの間、反日日教組が、「日本は悪かった。」「日本は間違っていた。」「中国や韓国では、残虐の限りを尽くした。」と、自虐の歴史を教えていたのだから、両国の歯車が奇妙な調和をもたらしたことになる。韓国では国民が皆日本へ威丈高になり、日本では全国民が卑屈に反省するようになった。このままでは、明日の日本は真っ暗闇でないか。

 そのうえ天皇陛下までが、自ら皇室の伝統破壊を始めておられるし、国民がよほどしっかりしないと、やがて祖国消滅の辛酸を舐める定めとなる。

 八木氏の記事の次にショックを受けたのは、二人の韓国人の対談記事だった。拓殖大学教授の呉善花(オ・ソンファ)氏と、韓国の作家・評論家である金 完燮(キム・ワンソブ)氏は、共に日本の統治を肯定し、韓国では反逆者扱いであるらしい。

 まず金氏の発言を抜粋してみる。長いけれど、大切なことなので我慢して転記する。

「昨日ネットに接続したら、ある韓国の女の子のメッセージがあり、数分チャットをしました。」「彼女は、私の本を変だと言うですね。」「韓国政府が捏造した反日の歴史を教えていて、自分たちの学んだ歴史がみんな嘘だとしたら、」「日本はどうしてそれを、黙っているのか。」

「私の本が真実なら、日本が黙認しているのはおかしい。」「韓国政府に抗議してくるはずなのに、抗議してこないということは、」「日本も侵略を認めているということではないか、というのです。」「この子の反応は、至極まともだと思います。」

呉氏の応答・・・・・。「日本人が、本当に韓国・北朝鮮との良好な関係を築きたいと考えるのなら、」「あんなに簡単に、謝罪してはいけないのです。」「真の友情を求めるのなら、歴史に関わる誤解は解かなくてはならない。」

「日本人が安易に謝罪するのは、所詮韓国も北朝鮮も大して重要な国でない、」「本気で付き合いたい相手でないと、無意識にせよ思っているからでしょうか。」「それが謝罪と裏腹に、見下したような態度にも映る。」

金氏の応答・・・・。「韓国にとって、日本は重要な国ですが、日本にとっての韓国はそれほど重要でない。」「日本人は、韓国のことにそれほど神経を使わず、興味も持っていない。」「それが現実なのかもしれません。」

 韓国を嫌悪している私は、二人の会話を複雑な思いで読んだ。日本の親韓派や親北派は、それこそ相手国にべったりで、相手を持ち上げ、卑下することしかできない愚か者が多い。しかしこの二人は、知日派であるが、親日派ではなく、祖国を思うが故の知日だ。

 政治家も外務省も、経済界の実力者たちも、二人の話に耳を傾けるべきでないのだろうか。名も無き庶民である私たちは、日常生活の中で「いわれなき朝鮮人蔑視」を止める努力が必要だろう。

 しかし、これは相当に難しい。昨今の韓国・北朝鮮の悪口雑言は、蔑視無くして聞けないものが多い。それでも呉、金氏のような人物がいるのだから、こういう人々を手掛かりに、誤解を解く努力をすべきか・・・・。しかし、現状では、私自身がその気になれない。

 叔父は、どんな気持ちでこの本を読んだのだろうか・・・。なんだか今夜も、眠れない夜になりそうだ。

 

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