ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

愛国無罪

2012-08-31 22:36:27 | 徒然の記

 丹羽日本大使の車を止め、日本の国旗を奪った数人の男女が、中国当局に特定された。

 軽微な犯罪なので、行政処分と言うことらしい。主たる根拠は、「愛国無罪」。こんなことを戯言を、恥らいも無く言ったりしたりするから、中国は日本国民の神経を、逆撫でするのだ。

 立場を変え、日本人が、中国大使の車を止め、同じことをしたら、いったい彼らは何と言い募るのか。

 歴史認識が足りないだの、軍国主義が台頭しているだの、およそ我々が、思いつきもしない文句を並べ立て、説教めいた決まり文句で、大騒ぎする。自分にだけ、都合の良いことを述べたがる人間を、わが国では下衆と呼ぶ。

 日本人の憎しみを掻き立て、厭わしい挑発をしているのは、自分たちの方だと、そろそろ反省して良い頃ではないのか。愛国無罪と言い続け、そんな暴論を振り回すのなら、過去の日本だって、すべては国への愛からやったことだ。

 戦争だって、破壊だって、徴発だって・・と、そういう話にもなるだろうに。訳の分からない、「愛国無罪」ではないか。中国政府と国民の、日本に対する怨念は、まるで黄河のように、「百年河清を待つ」ということしかないのか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中国のこと

2012-08-27 23:46:40 | 徒然の記

 「日本と中国 永遠の誤解」(文芸春秋社刊 稲垣武・加地伸幸著)、

 「現代中国を知るための60章」(明石書店刊 高井潔司・遊川和郎著)、

 「こちら北京探題」(新潮社刊 邱永漢著)、 

 「中国人の日本観」(岩波書店刊 アレン・ホワイティング著)を、読んだ。


 「われわれは覇権を求めない」「他国の内政に干渉しない」

 国連加盟を果たし、国際社会に復帰して以来、中国は常に、それを声高く表明してきた。米ソの二大陣営が対立していた時でもあり、私は中国の姿勢に凛としたものを感じた。

 ところがどうだろう、今になっても同じ言葉を発しつつ、中国は自らが覇権を求め、他国の内政に干渉する、やっかいな大国になってしまった。

 何度詫びを入れても日本を許さず、ことある毎に、侮蔑と憎しみの言葉を投げ返し、韓国や北朝鮮に劣らない、嫌な国となり果てた。過去のことがあるからと、最初は受容していても、ここまで執拗に繰り返されると、いったいどうしろと言うのかと、私の我慢も限界に達する。

 日本にも中国にも、愚かな人間がいて、武力で戦えとわめいているが、こんな時にこそ、先日読んだ井上成美の言葉を、噛み締めるべきなのだ。

 徒労に終わるかも知れないと思いつつ、自分なりに、中国との、不毛な対立の原因を掴みたいと、図書館からせっせと本を借りて読んでいる。西暦607年に、聖徳太子が、小野妹子を随に派遣したのが、正式な国交の開始で、菅原道真の建議により、遣唐使が廃されたのが西暦894年だ。

 当時の中国は文明の先進国で、日本は熱心な生徒として、教えを乞う立場にあった。この間、およそ230年。その後鎌倉、室町、江戸時代と、貿易を通じて互いの国交が続き、日本は中国の文物を尊重し、敬意を払って来た。

 この間がおよそ1030余年だった。中国との平穏な関係は、通算して1260余年となる。大国中国と日本が、決定的に対立するようになったのは、西暦1915年の「対華21か条要求」時から、1945年に日本がポツダム宣言」を受諾し、敗戦となるまでの30年間だ。

 この30年間に、中国の言ういわゆる「南京事件」があり、満州帝国の設立があり、軍国主義日本が、中国を蹂躙したすべての事件が集約されている。1978年に、田中首相が日中平和友好条約を取り交わし、中国が、北京オリンピックを開催する2008年までの、30年間。わが国は、円借款,無償援助、技術援助等の名目で、約6兆円の資金援助を行った。

 中国の近代化と経済の改革は、日本の援助で可能なった、と言われるほどの金額だった。中国の指導者たちは、この事実を国民に知らせず、日本政府も又、日本国民にこの事実を伝えて来なかった。

 利益と言う観念の無い中国人に、企業経営の根本を教えたのは、名もない無数の日本人たちだった。奇しくもこの期間は、日本が中国を踏み荒らした、忌まわしい30年間と同じ長さになる。

 アレンの著書で、私は初めてこの事実に気づいた。この30年間、わが国には好景気も不景気もあったけれど、政府は一貫して中国への支援を続けた。それなのに中国は、片手で日本からの援助資金を受け取りながら、他方の手で、わが国を弾劾するプラカードを掲げ、「侵略の歴史を忘れるな」、「日本の軍国主義の残虐さを許すな」、と叫んでいたと言うこと。

 これが三千年の歴史を有するという、礼節の大国のすることなのか。私には、もう言葉も出ない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

井上成美の伝記

2012-08-15 12:34:46 | 徒然の記

 本書は、米内光正、山本五十六とともに、阿川弘之氏が書いた三部作の伝記の一つだ。

 伝記と言えば、本人を賞賛する読み物と相場が決まっていて、先に読んだ石原莞爾や、大川周明、北一輝もそうだったが、作者が力んでいる分だけ、興味を削がれるようになっていた。

 だが、阿川氏の伝記はどれも、主人公を通常の人間として描いているところに、特色がある。本人の長所と短所が、公平に叙述され、他人に知られたくないであろう私事も、遠慮なく書かれている。

 三人の共通項は、対英米戦への反対姿勢であり、陸軍と海軍の違いがこんなに大きかったのかと、この本で初めて知った。阿川氏は、かって海軍士官だったから、海軍に評価が甘いと言う傾きはあるのだろうが、それにしても陸軍の下克上、神懸かりな精神主義の過激さは、そのまま日本の弱点だったとよく分かった。

 先日山本五十六を読み、今度は井上成美を手にしたが、この本は理屈抜きに面白かった。当人が真面目であるほど、傍目には愉快でならないと言う、あの面白さだ。

 戦争へと突き進む日本で、英米との戦争に異を唱えるのは、今日で考える以上に勇気のいることだ。いつ殺されても良い覚悟で、生きていた彼を、単に面白がっていてはいけないという、躊躇いもある。

 本には沢山の逸話があるが、海軍兵学校の校長として、学生たちに行った講義が、当時の彼のすべてを語っている気がするので、記述しておきたい。武田信玄の遺訓から引用した、人が陥り易い三つの過ちというものだ。

   1. 分別ある者を悪人とみること。  2. 遠慮ある者を臆病とみること。
 
   3. 軽躁なる者を勇剛とみること。
 
 これはそのまま、当時の日本人への警鐘であり、自らの正しさを確信する根拠でもあったと、私は理解している。つまり、

 1. 段違いの国力の差がある米国との戦争は、やがて日本を破滅させると言う分別を持

  つ自分を、悪人とののしるのは間違っている。

 2. 破滅の戦争へと国を導くことを、躊躇する者を、臆病者と非難するのはとんでもな

  いこと。

 3. 陸軍みたいに、根拠無しに威勢の良いことをやたら公言し、無謀な闘いへと国民を

   駆り立てるのは、剛勇であるはずがない。

 こうして書き出してみると、三点の戒めは、現在の我々にも、尚強い警鐘を鳴らしている思いがする。米国や中国・ロシアへの対応、原発への向き合い方、憲法改正への舵取り、政党政治への取り組み方法・・など、重要課題への心構えを、真剣に語られているような気がしてならない。

 何時ものことながら、自分のことを棚に上げ、勝手なことを言わせてもらえば、テレビや新聞というマスコミ、そこに従事する人間たちは、特にこの三点を、反芻してもらいたいものだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

なでしこの汚点

2012-08-03 11:27:02 | 徒然の記

 「なでしこジャパン」が、日本中の目を惹きつけたのは、選手たちのひたむきさと、爽やかなプレーだった。

 懸命にボールを追う彼女たちの姿は、どこへ消えたのか。南アフリカとの試合は、信じられない展開になった。攻め込む時間があるにもかかわらず、ボールを横に流し後方へ戻しと、無意味なパスを続けて私をうんざりとさせた。

 試合後の佐々木監督の会見で、無気力な試合が、彼の指示だと知った。

 勝てば、今後の試合の条件が日本に不利になるからと、得意らしく説明する彼に、失望した。バトミントンで無気力な試合をしたと、中国や韓国などが失格になったが、「なでしこジャパン」も、同じ状況だったかと知る。金メダル獲得のためなら、手段を選ばないと言うやり方は、「なでしこジャパン」には似つかわしくない。

 女子サッカーが五輪にある限り、私の心の中には、今日の試合が、「なでしこ」の汚点として刻まれるだろう。輝く金は魅力ある賞だが、国民からの失望を受けてまで、手に入れる価値があるのだろうか。新聞もテレビも、日本に都合が良いことなら黙っていると言うのでは、情けない限りだ。

 キラリと光る爽やかな正論で、佐々木監督の愚行を批判して欲しかったが、どうやら無いものねだりだったか。

 無様な試合をしたくなかったはずの選手たちに、私は強く同情する。会社で働いていた頃、私も上司の指示に逆らえなかったから、組織の中の歯車の気持ちが分かる。和を尊ぶ縦社会の日本では、正論が何であれ、上には異を立てられない。

 せめて組織外の私が彼女たちに代わって、監督への苦言を呈してやりたい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする