5. 平成21年鳩山内閣 平成22年管内閣での動き
平成22年1月、都内で行われた「日本防衛装備工業会」主催の会合に、鳩山内閣の北沢俊美防衛大臣が出席しました。「日本防衛装備工業会」とは初めて聞く名前ですが、日本の軍需産業が参加する団体名だそうです。
以下、ウィキペディアの説明を紹介します。
・会合で北沢防衛大臣が、次のように発言した。
・そろそろ「武器輸出三原則」の基本的な考え方を見直すことも、あって然るべきと思う。
・平成22年末にまとめる「新防衛大綱」において、「武器輸出三原則」の改訂を検討する
・見直しの内容は、「日本でライセンス生産した米国製装備品の部品の米国への輸出」と「途上国向けの武器売却」
同年の2月に、鳩山首相が主催する「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」の初会合が、首相官邸で行われました。ウィキペディアが、会合での鳩山首相と北沢防衛相の発言を紹介しています。
〈 鳩山首相 〉
・防衛体制の見直しには、継続と変化の両方が必要だ。タブーのない議論をして欲しい
〈 北沢防衛相 〉
・装備産業の基盤整備をどう図るかを議論してほしい、また武器輸出三原則の見直しを議題とするよう求める
しかし連立を組んでいた社民党の反対で、話が進まなくなります。この間の事情を、簡単ですがウィキペディアが説明しています。
・武器輸出三原則の見直しは、新防衛大綱に反映されるとされ、鳩山由紀夫首相の後任である菅直人首相も一旦は了承したものの、国会での連携を目指す社民党の反発が障害となり、新防衛大綱への盛り込みは先送りされた。
その後どうなったのか知りませんが、息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々に知って頂きたいのは、反日左翼政党も政権を取れば現実路線になるという事実です。国防に関する限り、昔も今も反日左翼政党は理想的「護憲派」を標榜し、お花畑の国民の支持を集めていますが、過去を知ればこんな状況です。
青井氏のような左翼学者に扇動され、「平和憲法を守れ」「全ての戦争に反対」「人殺しの武器輸出を許すな」と、左翼政党は相変わらず叫んでいます。国民の支持は1%台しかなく、政権を取る心配がない彼らは、無責任なスローガンを止めません。かって社会党の党首だった村山富市氏が首相になった時、「自衛隊は合憲である」と、政治家として常識的な発言をしました。
社会党は党是として自衛隊の違憲を主張していましたから、村山氏の一言で支持者が離れ、野党第一党から転落し、現在の社民党になりました。選挙では党首も落選する有様で、いつ消滅してもおかしくないほどの凋落ぶりです。
反日左翼政党の「平和憲法を守れ」の大合唱は、政権党でないからできる無責任な主張ですが、一定数の支持者がいるため党勢が維持されています。支持率だけに腐心する岸田首相の悪政が、彼らを勢いづかせていますが、国民に愛想を尽かされた自由民主党が下野したら、日本はどうなるのでしょう。
社会党の首相だった村山内閣、民主党の政権だった鳩山、菅、野田内閣が日本の国益のため一体何をしたのか。結局国民は金権腐敗と知りながら、自由民主党に多数を与え、安倍内閣、菅内閣、岸田内閣と続いています。愛国心の欠如した岸田内閣が続けば、反日野党を含め一蓮托生で日本が崩壊へ向かいます。
政治の貧困と混乱を招いた責任は、国民にあるという人もいますが、「ねこ庭」から見える景色は違います。一番の責任は、国民の負託を忘れ派閥の利益を守ろうとする自由民主党の政治家にあります。
話が変わりますが、日本を酷評するオランダ人の特派員記者・カレル・オルフレン氏がいます。彼は日本の外国人特派員記者クラブの会長をしていた人物で、「ねこ庭」の過去記事で何度か取り上げたことがあります。不愉快な言辞が多いので「ねこ庭」で評価していませんが、時には参考になる意見を言います。
今回はシリーズのまとめとして、彼の言葉を紹介します。息子たちと訪問される方々へでなく、国民の負託を忘れた自由民主党の議員への紹介が目的です。
・憲法は、国の政治の究極的、かつ実際的な指針でなければならない。達成できない、高尚な理想のプログラムであってはならないのだ。
・護憲派と呼ばれている、知識人の一派がいる。彼らは一部のマスコミには、持ち上げられているが、護憲派は、憲法問題について討議の用意をするだけで負けへの第一歩と、考えているらしい。
・皮肉なことにどんな現実的な観点から見ても、日本の左翼は、その護憲運動全体を通じてとっくに負けているのだ。
・第九条は多くの人に愛されると同時に、多くの人に忌み嫌われている有名な条文である。
・この条文は愛や憎しみを生んだだけでなく、現在の事態をジョークに近いものにするため、大きな役割を果たして来た。
・この条文は、軍隊を決して保持しないと決めている。ところが、軍隊はある。しかも、世界で三番目に金をかけた軍隊なのだ。
「ねこ庭」の過去記事から、18年前の氏の著書の意見を怒りと共に紹介しています。
・この条文は、責任あるメンバーの一人として、国際社会への参加を期待される国に対し、実現不可能なことを要求している。
・戦争を行う権利を放棄する国は、国としての主権をみずから放棄しているということなのである
・第九条は、おそらくアメリカ占領軍の最大のミスだろうと考えるのを、恐れないで頂きたい。
・日本人の第九条支持の根底には、純粋に理想主義的な考えがあること、賞賛に値する思いから生まれて来たものであることを、私は信じる。」
・しかしそれはやがて、人間の本質や政治のリアリティーに関する、歪んだ見方につながっていき、長期的には政治にダメージをもたらし、思いとは正反対の結果に至る恐れさえある。
長くなっても紹介しているのは、氏への怒りもあります。マッカーサーがこの憲法を日本に押しつけた時、オランダは米国とともに、日本への復讐裁判に加担していました。抜き差しならない勢力として、反日左翼を育て、政治の不毛の種を蒔いたのは、戦勝国オランダもアメリカと共に共犯者です。
・この平和憲法は、戦争にもいろいろな種類があるという事実を無視している。そのため日本人には、正当化できない戦争と、正しい動機のある戦争とを、区別する必要がなくなっており、このことが、非現実的な世界観を生んでいる。
まだ続きますが、ここで紹介をやめます。他国の特派員如きにここまで言われる不甲斐なさを、「ねこ庭」は自由民主党の議員諸氏へ向けます。オルフレン氏が述べていることを、「ねこ庭」ではとっくの昔に知っていますし、訪問される方々も知った上で苦しんでいます。自由民主党の議員諸氏も知らないのでなく、知っているのに実行しないのです。
国民の選良としての誇りと使命感を忘れた彼らが、弱小野党との政争に明け暮れているから、亡国の「憲法」に手をつけません。敗戦後の自由民主党の議員の多数は、保守の魂である愛国心を忘れ、国民と国土を守る覚悟を失いました。
多数はそうですが、自由民主党の中には少数の愛国者がいます。大手マスコミと肝心の自由民主党が無視していますが、「護る会」に所属する議員諸氏がそれです。「ねこ庭」は彼らに期待をかけ、支援していきます。
まとまりのない話で終始しましたが、訪問された方々に感謝しつつ、今回のシリーズを終わりと致します。