年末の掃除は、順調に進んでいます。
家内と二人、あうんの呼吸で分担し、日数をかけて済ませました。こんな書き方をしますと、仲の良い夫婦が掃除に精を出していると見えますが、現実は少し違います。
互いに耳が遠くなったのか、頼んだことが伝わらず、聞いたことも間違ったりで、近ずくと喧嘩になりますので、互いに離れて作業をします。何時からこうなったのか、もう覚えていません。
「どっちかが先に死ぬのだけど、一人になったら困るな。」
「どうして?」と、家内に聞かれると、
「一人になったら、喧嘩ができなくなる。」
喧嘩の相手をしてくれる家内は、何びとにも代え難い大切な伴侶です。本気でそう思っていますが、結局は彼女の機嫌を損ねてしまいます。・・年をとると、どうもいけません。話がすぐ横道に逸れ、本題を忘れてしまいます。
今年最後の「ねこ庭」は、掃除機の話です。
「軽くて使いやすく、八十の老人でもラクラク掃除ができます。」
「だから私は、母に買ってあげます。」「母は、今年九十才です。」
テレビの宣伝で有名な女優さんに勧められ、家内はすぐに買いました。ダイソン社の掃除機です。ところがこれが、大嘘の誇大広告で、国産の掃除機と変わらない重さです。
今日はこの掃除機を引っ張り回して、部屋の掃除をいたしました。私はまだ七十三才なのに、クタクタになっています。
「俺は、九十になったら、とてもこんな掃除機使えないよ。」
今回だけでなく、掃除のたびに家内に言います。
「ホント、よく言うよね。九十のお母さんに買ってあげるなんて。」
家内も閉口していますので、こんな時は意見が一致します。
「なんて名前の人が、宣伝してたの ?」
「名前は忘れたけど、有名な女の人だった。」
掃除機のダイソンはイギリス製で、粗悪品ではありません。吸引力も抜群ですが、有名な女優さんが勧めたように、九十才のお母さんでもラクラク使えるなど、これはもう大きな嘘です。
コードレスでないため、長いコードを引きずりながら、部屋から部屋へ移動するので、冬でも汗だくになります。もしかすると、その女優さんのお母さんは、自分の部屋だけしか掃除をしないのかも知れず、それなら九十才でも、なんとかやれる気がします。
「駅から歩いて、15分。」「便利で、お買い得な物件です。」
不動産屋の広告は悪質で、実際に歩くとたっぷり50分かかったりします。もともと不動産屋の宣伝はいかがわしいと誰もが思い、頭から信じる人はいません。現地を確かめず購入するバカな人もいませんから、それでいいのです。50分なら買わないと断れますし、50分でも気に入ったら買います。
でも掃除機は、現物に触れず注文します。テレビを見ている主婦は、会社の名前と、有名女優の宣伝で決めます。
最近の風潮では、テレビの宣伝が悪いのでなく、買う方に責任があるように言われます。簡単に信じる方に原因があり、念には念を入れ、注意深く賢くなりなさいと、傲慢なマスコミはそんな口ぶりで視聴者に対応しています。
で、私は、掃除機を使うたびに、企業の広告塔となった、この有名な女優さんのことを思い浮かべます。たとえ顔は分からなくとも、「お金のためとはいえ、罪な宣伝をするものだ。恥ずかしくならないのだろうか。」と、憎っくき彼女に苦情を言います。
そしていつも同時に、なぜか吉永さゆり氏の顔が浮かんで参ります。
何時からこういう連想をするようになったのか、家内が掃除機を買った以後だと思いますが、正確に覚えていません。掃除機を勧めた女優さんは、お金をもらって、「企業の広告塔」をしています。多少良心の呵責を感じるのかもしれませんが、それは彼女の仕事です。
吉永さゆり氏は、「共産党の広告塔」をしています。赤旗に登場するだけでなく、他の大手新聞やテレビなどで、つねに共産党の代弁をしています。
私と同年代の男には、「サユリスト」という痴れ者が多数いると聞きますが、信じられない話です。美しいとか聡明だとか、女らしいとか、いろいろな褒め言葉で語られますが、彼女が共産党の「広告塔」と知って以来、一切の感情が消えてしまいました。
「戦争は、二度とやってはいけません。」
「平和憲法を守りましょう。」
「人間を大切にする社会を作りましょう。」
などと、彼女は語りかけます。共産党のいうことを聞いていたら、どんな社会になるのか、吉永氏は真剣に考えたことがあるのでしょうか。共産主義で作られた国には、すでに崩壊したソ連、やがて内部崩壊すると言われている赤い中国、核開発に血道をあげている北朝鮮があります。
国民の4分の1とも言われる170万人を虐殺した、ポル・ポトのカンボジアや、秘密警察が国民を監視する密告社会だった東ドイツなど、まともな国は一つもありません。
それでも、鉄のカーテンの時代でしたら、マルクス主義が輝いていました。贅沢三昧の金持が、弱い労働者を低賃金でこき使う資本主義全盛の頃、聞こえてくるのは社会主義国家への賛辞ばかりでした。
多くの学生や若者たちが、「搾取のない、平等な社会」に憧れ、命の危険も顧みず、社会主義活動に身を投じました。私や吉永氏が学生だった頃は、そういう状況でしたから、氏が共産党に憧れた気持も理解します。
しかしソ連が崩壊し、中国や北朝鮮の実情が分かるようになった現在でも、吉永氏が「共産党の広告塔」をしているのが理解できません。ダイソンの掃除機なら、気に入らなければ買い替えられます。何万円かの損失を覚悟すれば、別のメーカーの掃除機が買えます。
ところが、「国」はそんな風にいきません。いったん社会主義国となって仕舞えば、言論封殺や公安による監視が国民を縛り、虐殺と弾圧の政府が現れます。「九十才の母」どころか、年令に関係なく、国民全体が一つの思想へ強制されます。
吉永氏は、そんなことは何も考えないのでしょうか。賢そうな顔をして、優しげな笑みを浮かべ、どうして「共産党」の思想を広めるのでしょう。何のために「お花畑」の日本人を増やす手伝いをするのでしょう。
掃除機を勧めた女優さんは、職業として宣伝をしていますが、吉永氏も共産党からお金をもらい、仕事として宣伝活動をしているのでしょうか。氏も女優ですから、お金さえ貰えば、どんな役でも演じてみせると、そんな考えで頑張っているのでしょうか。
それとも氏は、世間で言われているほど聡明でなく、氏自身が「お花畑」の住民なのでしょうか。「戦争は嫌だ」と叫んでいれば、この世から戦争がなくなり、平和な世界が来ると、本気で考えている「平和憲法教」の信者なのかもしれません。
「企業の広告塔」に騙されてはいけませんが、「共産党の広告塔」にも、騙されてはいけません。
これが今年最後の、「ねこ庭」のテーマです。「企業の広告塔」という表題をつけながら、内容は「共産党の広告塔」でしたから、訪問される方に対し心の痛みを覚えます。しかしこの表題は、ダイソンの女優さんや吉永氏に比べると、まだ許されるのでないかと、そんな気がする私です。
あすもう一日ありますが、今年の「ねこ庭」は今日で終わりとします。偏見と独善の「ねこ庭の独り言」と、一年間懲りずにおつき合いを頂き、ありがとうございました。
来年また、元気でお会いしましょう。
どうぞ、良いお年を !