ヨーロッパの大きな選手を相手に、小さな体で闘い続け、世界一の栄冠を勝ち取った彼女たち。選手の多くはアマチュアで、昼間は働き夕方から練習に打ち込む暮らしだと聞く。対戦相手の米国女子は国技に近い待遇を受け、レべルはプロときている。それはもう私の中で、満身創痍の「はやぶさ」が、懸命に地球を目指した一途な姿と重なる。だから、理屈抜きに涙が流れ、良くやったと拍手せずにおれなかった。
翌日の新聞を飾った彼女たちの笑顔だって、実に良かった。快挙を遂げた後なのでそう見てしまうのかもしれないが、全員が輝き、爽やかで、しかも美しかった。
官邸を訪問した彼女たちが、祝福してくれた総理に対し、全員のチームワークだけでなく、監督、家族、応援してくれた国民の皆さんのお陰だったと謙虚な返事をしていたのが印象に残る。満身創痍という点では菅総理も「はやぶさ」に負けない姿を見せているのだから、孤立した政治家としてでなく、彼女たちのようにチームワークで仕事をし、国民に感動を贈ってもらえないものか。
なでしこジャパンから「困難にあってもギブアップしない粘り強さ」を教えられたと、今更そんなことは言わないで、内閣全員、政府役人全員、地方自治体の全組織とのチームワークを再構築すると答えて欲しかった。だが、政治についてはもうよそう。
なでしこの彼女たちにはこれからがあるが、孤立した総理にはこれからがないのだ。
菅氏が単なる未練で政権に執着しているのか、国民のため踏ん張っているのか、渦中の今は判断できないが、そのうち何年かしたら明らかになるだろう。今の私に分かることは、ただ一つだ。
菅総理は粘るだけ嫌われるが、「なでしこ」は粘るほど国民に愛されたということ。