ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

なでしこジャパン

2011-07-20 12:40:31 | 徒然の記
 なでしこジャパンの優勝は、宇宙探査機「はやぶさ」以来の快挙だ。

 ヨーロッパの大きな選手を相手に、小さな体で闘い続け、世界一の栄冠を勝ち取った彼女たち。選手の多くはアマチュアで、昼間は働き夕方から練習に打ち込む暮らしだと聞く。対戦相手の米国女子は国技に近い待遇を受け、レべルはプロときている。それはもう私の中で、満身創痍の「はやぶさ」が、懸命に地球を目指した一途な姿と重なる。だから、理屈抜きに涙が流れ、良くやったと拍手せずにおれなかった。

翌日の新聞を飾った彼女たちの笑顔だって、実に良かった。快挙を遂げた後なのでそう見てしまうのかもしれないが、全員が輝き、爽やかで、しかも美しかった。

 官邸を訪問した彼女たちが、祝福してくれた総理に対し、全員のチームワークだけでなく、監督、家族、応援してくれた国民の皆さんのお陰だったと謙虚な返事をしていたのが印象に残る。満身創痍という点では菅総理も「はやぶさ」に負けない姿を見せているのだから、孤立した政治家としてでなく、彼女たちのようにチームワークで仕事をし、国民に感動を贈ってもらえないものか。

 なでしこジャパンから「困難にあってもギブアップしない粘り強さ」を教えられたと、今更そんなことは言わないで、内閣全員、政府役人全員、地方自治体の全組織とのチームワークを再構築すると答えて欲しかった。だが、政治についてはもうよそう。

 なでしこの彼女たちにはこれからがあるが、孤立した総理にはこれからがないのだ。
菅氏が単なる未練で政権に執着しているのか、国民のため踏ん張っているのか、渦中の今は判断できないが、そのうち何年かしたら明らかになるだろう。今の私に分かることは、ただ一つだ。

  菅総理は粘るだけ嫌われるが、「なでしこ」は粘るほど国民に愛されたということ。
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老いたスター

2011-07-04 05:54:19 | 徒然の記

 今も十分若いのだが、それでも、もっと若かった頃、歌謡曲をよく聴いた。

 レコードを買えない貧乏人の子だったから、ラジオから流れる歌を聴くだけだった。美空ひばり、石原裕次郎、島倉千代子、三橋美智也、ペギー・葉山に、村田英雄と、いくらでも名前が出て来る。

 ひばりの「東京キッド」や「花売り娘」などは、小学生の頃から聞いていた記憶がある。民謡で鍛えた三橋美智也の、高く澄んだ声は、切ない響きが心を捉え、歌謡曲ベストテンで毎週トップになっていた。歌が碌に歌えなくても、可愛い顔や仕草で人気を得るアイドル歌手などは、後に来るテレビ世代の産物だ。

 容貌がいまいちだった三橋美智也は、テレビが主流となるにつれ影が薄くなり、ラジオ時代の寵児だった彼を知る私は、今も同情の念を覚える。だが、何時ものことながら、本題はこれではない。

 NHKのやることには、たいてい共鳴しているが、どうにも納得できないものがあり、それがこの「老いたスター」だ。最近は、番組を工夫する手間を省いているのか、やたら「懐メロ」の特集するようになり、毎回往年の大人気歌手が登場し、得意の歌を披露する。

 かっての美声が出なくなり、声量も無くなり、ごまかしながら歌うため、なんとも無惨な舞台と成り果てる。輝いていた時を知るだけに、その姿は、見るに忍びないものがある。老いた歌手に依頼するNHKもNHKだが、出演する本人たちにも、プロの自覚が欠けているのではないか。

 「どんな人にも、生活があるからね。お金が必要なのよ。」妻は歌手たちに理解を示すが、NHKの出演料の安さは日本一なので、金銭ずくで出ているのでないと、私は考えている。

 キラびやかだった過去ヘの未練と、まだやれるという自己過信。高価な衣装を新調し、笑顔のステージを勤めているが、NHKの出演料では大赤字に違いない。大スターとはいえ、大部分は、私と同じ俗世の凡人だろうから、テレビ出演の誘惑を断わるのが、きっと難しいのだろう。

 「懐メロ」なら中高年が誰でも喜ぶと、NHKは大して検討もせず、やっているのでないかと、ひと言云いたくなる。これまで特に意識していなかったが、人には誰も、「大事にしているスターの映像」というものがあり、そこに、自分の生きた時代を刻んでいる。

 つまり、歌に夢中になるしか、楽しみを知らなかった子供時代の自分や、貧しかった敗戦後の日々の暮らし。それでも、明るく笑っていた周囲の大人たち、両親の姿と・・。思い出せば切りがない。放送のプロなのだから、NHKは、視聴者である国民の心を、もっと考慮すべきではないのだろうか。

 それともNHKには、凄腕のフロデューサーがいて、安逸に流れる国民へ、警鐘を鳴らしているのか。

 「沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす」。

 老いたスターの実例を見せ、この世の無常を知らしめているのか。だとしても、そんなことは、誰にも分かっているし、老いた歌手の実例はむごすぎる・・・。八つ当たりが伝わるのかどうか、知らないが、NHKに不満をぶつけていれば、ウップンが晴れるというのは、やはり有り難い。

 そうなると、NHKには文句を言うのでなく、むしろ感謝すべきなのか。

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