6月23日の日本語版朝鮮日報に、「原子力基本法の改正」に関する記事があった。
6月15日に衆議院を通過し、成立したものだと言う。驚かされたのは、記事の中身である。この改正により、日本は、核兵器開発の一歩を踏み出す準備を整えた。昨年末に日本は、「武器輸出三原則」を修正したので、武器輸出と共に、他国との武器の共同開発が可能になったと、説明している。
今回、原子力基本法の目的の中に、これまでになかった、「わが国の安全保障に資するため」、という文言が追加されたことから勘案すると、日本の核開発への意向が明確になった・・・と、こういう内容だった。
わが国の新聞は、「原子力基本法の改正」を、記事にしたのかもしれないが、こうした観点からの報道は、まったくなかった。核アレルギーの日本では、朝鮮日報のような報道ができないとしても、韓国や中国で、これほど深刻なニュースとして受け止められている事実を、何故国民に知らせないのかと、疑問が湧いてくる。
韓国や中国の報道が、偏向しているというのなら、そういう解説つきで記事にすれば良い。無視できない隣国のことであるなら、日本に関する偏向や誤解や曲解にき、そのままの事実を報道すべきでないのか。日本に都合の悪い情報には、目をつぶり、口をつぐむのなら、何のためのマスコミかと言いたい。
新聞社やテレビ局が、大切な事実を取捨選択し、国民に伝えているのだとしたら、こういうやり方を、「情報操作」と言うのではないか。国民に有益な情報か否かの判断を、マスコミ各社がしていると言うのなら、余計なおせっかいである。
日本語版の中国の報道を、見るがいい。
日本のマスコミも、負けず劣らず偏っていると、知らされるでないか。わが国のテレビや新聞は、中国の軍備増強について強い論調で報道するが、自衛隊の軍備増強が、中国でどのように報道されているかは、伝えない。
ここでは引用しないが、興味のある人は、中国の報道を見れば良い。インターネットで即座に検索できる。政府と歩調を合わせてやっているのか、それとも自主規制で、言われる前に気を回してやっているのか。私が言いたいのは、わが国のマスコミは「不作為の作為」というやり方で、情報の操作をしていると言うことだ。
しかもそれを、国や国民のため、正しくて良いことと、思い込んでいる節があるから、余計始末が悪い。これこそ、「小さな親切、大きなお世話」だ。