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ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

日経新聞社編『習近平に中国は変えられるか』 - 7 ( 野田氏と胡錦濤氏の立ち話 )

2020-03-31 22:07:27 | 徒然の記

  155ページに戻ります。2012 ( 平成24  ) の中国共産党大会で、胡錦濤・党総書記が行った演説が、紹介されています。

  ・我々は、海洋資源を開発する能力を高め、海洋権益を断固守り、海洋強国づくりに取り組むべきだ。我が国の国際的地位にふさわしい、強大な軍隊を作ることは、戦略的任務だ。

  ・国防強化の目的は、国家の主権、領土の統一を守ることにある。いかなる外部の圧力にも、屈服しない。

 いつの記事だったか中国の将軍の、

  「大国にふさわしい軍を持つのは、当然だ。」

  「他国に、とやかく干渉されることではない。」

  と発言のもとが、胡錦濤氏の演説だったとは分かりした。さらに記者は、次のように説明します。

  ・尖閣諸島を巡る日本への対応や、南シナ海の領有権をめぐる、フィリピンや、ベトナムとの摩擦の激化を背景に、中国は、海軍を含む「海洋関連部局」の、連携強化を模索している。軍と政府を挙げ、海洋進出の総合力を高めていることは、周辺国にとって、脅威となりそうだ。

 ここで私は、前回紹介した、「尖閣国有化方針」をめぐる「外事小組」の会議での、軍人の意見とのつながりを理解しました。

  ・日本、フィリピン、ベトナムのうち、どこかとの戦争はやむおえない。

 しかしマスコミは、中国軍人の言葉を国民に伝えていません。共同通信社もNHKも、報道しませんでした。

  ・南沙諸島の埋め立ては、民間が利用できる飛行場や港を作っている。軍事施設では、断じてない。

 その代わりマスコミは、中国外務省のこの「ウソ発表」を伝えていました。さらに産経記者は、日本の不幸が民主党の野田政権にもあったと教えます。

 民主党は、官僚の言いなりにならない政治を実現する。政治主導の政権運営をすると、彼らは金権腐敗の自民党から、政権を奪いました。政権の座につくと、素人集団の議員たちは、官僚の助け無しで国会答弁も出来ませんでした。醜態を見せる大臣たちの姿に、国民が失望しました。

 鳩山、菅と、二人の総理が「日米同盟」に亀裂を生じさせました。この時の状況を、記者が語っています。

  ・首相就任直前だった野田佳彦は、外務省幹部にこう告げた。私は当面、震災や財政など、内政問題に付きっきりになる。外交は、外務省に任せたい。

  ・官僚をうまく使うのが、真のリーダーだと言われ、鳩山や菅の二の舞になるまいとする思惑が災いし、日中間のトップ外交が疎かになり、関係悪化の遠因となった。

 中国が国を挙げて、海洋進出に取り組んでいる危険な時、野田氏はこうしたな失敗をしていました。国難の出発点だった尖閣問題を、自分で考えず、害務省に丸投げしたのです。氏も、鳩山、菅氏に劣らない無能な政治家だったことになります。

 氏が官僚に助言されるまま、尖閣の国有化をしたため、激しい反日デモが起こり、日本企業が標的になる、異常事態が発生しました。

  ・2012 ( 平成24  ) の9月、ロシアで行われた「APECの会議」時に、胡錦濤は野田の求めに応じ、「 立ち話  」 をした。胡錦濤は、尖閣の国有化は不法で無効だとまくし立てた。

  ・わずかに15分、日本語・中国語の通訳が不在で、英語通訳を介しての、不自由な会話だった。

 関係者の感想によりますと、意見交換でなく、胡錦濤氏からの一方的な最後通告とも言える中身だった、と言います。野田氏が外交を外務省に任せたため、中国の内情が分からず、相手の話を聞くしかできませんでした。

  ・折しも中国では、次期指導部をめぐる人事の激闘の中、不穏な空気が漂っていた。引退後に足元を救われないためにも、胡錦濤は次期トップへの影響力を確保する必要があった。

  ・もし引退後に院政が敷けないなら、家族の金銭問題で攻撃対象にさえ、なりかねない。

  ・胡錦濤は武力以外の全ての手段で、日本へ強行姿勢を取る準備を備え、野田と会った。ここで反撃しなければ、日本が増長するとの判断だった。

  「野田総理は、胡錦濤氏と、実りのない会談をした。」

  と、マスコミは簡単な報道をしました。

 外務省には、中国親派の「チャイナスクール」が、幅をきかせています。しかし日本を敵視する中国の情報は手に入れず、巨額のODA資金を言われるままに与え、軍備の増強に協力していたのですから、まさに害務省です。

 こう言う実情を知れば、野田氏も鳩山氏同様、日本の国益を損なった歴史に残る総理です。国民が民主党を見限り、自民党支持に戻った選択は正しかったと言えます。

 次回は、安倍総理が中国政府からどのように見られているか、日経記者の説明を聞きます。「武漢コロナ騒ぎ」で外出できず、時間のある方は「ねこ庭」へ足を運んでください。いっそうストレスが溜まるのかもしれませんが、もしそれでよければ・・

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日経新聞社編『習近平に中国は変えられるか』 - 6 ( 中国軍による、「オレンジ計画」研究 )

2020-03-31 12:58:52 | 徒然の記

  「中国との外交に関し、日本人には、どのような知識が必要なのか。

 今回はこのテーマに絞り、中国の特異性を紹介したいと思います。まず164ページです。

  ・存在感の大きくなった中国の、外交方針を取り仕切るのは、実は中国外務省ではない。

  ・憲法に明記されず、メンバーさえ公表されていない組織、「党外事工作指導小組」だ。トップは国家主席だが、実際のリーダーは、議長役の国務委員、外交担当、副首相級が決める。

  ・会議の出席メンバーは、外相や商務省の他、国防省や解放軍の副参謀総長級も出席する。2012 ( 平成24  ) の夏、日本による尖閣国有化方針をめぐり、「外事小組」の会議が開かれた。

 この時の会話の一部が、紹介されています。

    1.  軍の関係者

   ・日本、フィリピン、ベトナムのうち、どこかとの戦争はやむおえない。領土を守る意思を強く示すべきだ。

    2.  他のメンバー

   ・いや今は、周辺国との協調が最優先、冷静さが必要だ。

    3.   議長・戴秉国( たいへいこく  )

   ・当面は日本側の対応に合わせ、中国側も対応する。

 この時中国各地で起きた反日デモに対し、公安当局は抑制的に対応したと言います。北京、上海などのデモが、数十人規模で済んだのは、戴秉国の指示でした。

 しかし 平成24年の秋、野田内閣が尖閣諸島の国有化に踏み切った時、「もはや反日デモを抑制する必要はない、」と、一気に方針転換したのも「外事小組」の会議でした。

  嘘か本当か、記者の説明によりますと、中国外交の仕組みを知らない日本政府は、外相との会談を重視し、「党外事工作指導小組」との定期接触がないと言います。

  ・中国では、他国と比べ外交の地位は決して高くない。トップ25人の政治局員の中に、軍人が二人いるが、外交分野の責任者は、ゼロだ。また、軍の最高決定機関である、党中央軍事委員会の構成は、軍人10人に対し、文民は国家主席一人だ。

  ・胡錦濤時代には、政府トップの温家宝首相が知らないところで、軍事の決定がされていることがしばしばあった。中国の大国化と共に、軍内の強硬論が高まっており、外交当局が歯止めをかけることが、ますます難しくなっている。

 中国の政府内で、外交当局の影が薄いと説明されますと、思い当たる節があります。習近平氏が今回の人事で、王毅氏を外相に任命しました。王毅氏は元駐日大使だっただけでなく、学生時代日本に留学し、日本語も堪能です。氏が外相に就任した時は、日中関係改善の現れかと期待したが見当はずれでした。

 氏の発言は日中改善でなく、関係悪化を煽る、高慢な日本批判でした。記者の説明を読み、政府内での氏の立場の弱さと、軍部の強行姿勢を知らされ納得しました。

 氏は、日本の政界、官界、財界と太いパイプを持ち、第一次安倍内閣の時、就任直後の総理の電撃的訪中も演出しています。しかし氏が今の状況で、日本寄りの発言をすれば、忽ち左遷か追放です。身の安全を考えれば、軍部に合わせ強行論を言うしかありません。

 その証拠に習近平氏は、王毅氏の外相と同時に、副首相級の国務委員に楊潔篪 ( ようけっち  ) 氏を、任命しています。記者の説明によれば、副首相級の国務委員で外交担当をする者が外相の上に立つのですから、王毅氏の活躍の場はありません。

  ・楊潔篪は、尖閣諸島問題への対応で強硬論を唱え、指導部の支持を得たとされており、日中関係の厳しさは当面続きそうだ。

 これが記者の人物評ですから、尖閣への領海侵犯も、絶えることなく続くということになります。

 尖閣諸島に関する日中の争いは、大国となった中国が、大人しくしていた過去を捨て、日本を困らせるため、横車を押しているのだとそう思っていました。しかし記者たちの説明を読むと、そんな単純なものでなく、国家の生命線である海上シーレーンの占有問題であることを教えられました。165ページからの引用です。

  ・2011 ( 平成23  ) に、軍は米国との戦争に備えた、シナリオを研究中だ。それは太平洋戦争開始の20年前に、台頭する日本を仮想敵国として、米国が作った「オレンジ計画 」  の研究だ。米国はこの時点で、戦略物資を止めれば、日本の伸長に歯止めがかけられると、分析した。

  ・その後米国は、実際に石油の供給を停止し、石油を求めて日本は東南アジアへ戦線を広げ、米国のシナリオ通りに敗戦した。

  ・軍は、現在の米国が中国を仮想敵国とし、同様の計画を立てていると言っている。これを防止する戦略の一つが、中東からの石油ルートにあたる南シナ海で、制海権と制空権を、中国が維持することだと主張する。

 米国との協調を模索する外交当局に対し、軍が南シナ海で、強行路線を進める背景には、こう言う危機感があると言います。尖閣諸島のある東シナ海は、仮想敵米国を攻撃するための太平洋への出口ですから、日本国民の想像を超える事態になっています。

 しかしここで、図らずも知った「大東亜戦争」の事実でした。

  「日本だけが間違った戦争をした。」

  「日本だけが、侵略した。」

  と言う、「東京裁判史観」の間違いが明らかにされています。日本はアメリカの「オレンジ計画」により戦争の拡大を余儀なくされ、戦線を広げさせられ、彼らに翻弄され敗北したと中国が説明しています。

 息子たちに言いいます。

 日本だけが悪かったと考えるのは、やめなさい。東條元首相が軍国主義の悪玉で、侵略国家の先頭にいたと、そんな一方的な話を信じることもやめなさいと。

 次回は尖閣問題につき、事実をもう少し、日経記者諸氏に教わります。

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日経新聞社編『習近平に中国は変えられるか』 - 5 ( 「ねずみ族」と「アリ族」の蜂起 ? )

2020-03-30 13:40:09 | 徒然の記

  本は、第一章から六章に分かれています。執筆している記者数が14人なので、単純計算をすると、各章を最低二人で書いていることになり、三人の場合もあります。一人の人物が一冊の本を書く場合に比べ、テーマが重複したり、分散したり、一貫性が欠ける理由も分からないではありません。

 知らないことを沢山教えられているので、苦情ばかり言わず感謝すべきなのに、つい忘恩の学徒になる自分を反省しています。日経の記者諸氏に感謝と敬意を忘れないように心がけつつ、93ページです。

  ・中国では、都市と農村に分けた二つの「戸籍管理制度」がある。農村から都市への、人口流入を規制するためだ。したがって農村出身者は、都市の戸籍が簡単に得られない。戸籍がないと都市部で家や車が買えず、医療や教育など、都市住民が享受できる公的サービスからも排除される。

  ・地方出身者にとって、「都市戸籍」のあると無しでは、人生がまるで違うと言っても過言ではない。

 不法建造物である、地下シェルターの改造部屋に住む「ねずみ族」は、こうした状況下で生まれました。彼らの住む部屋には窓がなく、昼夜を問わず薄暗く、夏は猛烈な湿気に襲われます。こんな場所に住むのは、ネズミくらいのものですから、彼らは「ねずみ族」と呼ばれます。

 しかし「ねずみ族」より、さらに酷い環境にいるのが「アリ族」です。定職につけない若者が、同じ境遇の者たちと、ルームシェアしている場合を言います。名前の由来は、狭い部屋で、蟻のように、多人数でひしめいて住んでいるところから来ています。

 もう一度、前回の国家統計局の数字を、紹介します。

  ・都市人口は、6億9千万人、農村部は6億5千万人。都市人口のうち、約2億人が農村からの出稼ぎ者である。

 共産党政府を支持している富裕・中間所得層の人数は、都市人口の6億9千万人です。ここから農村の出稼ぎ労働者の2億人を引きますと、4億9千万人になります。出稼ぎ労働者が4億人だという別の数字を使えば、富裕・中間所得層の人数は2億9千万人です。

 つまり中国の人口13億人の内、共産党政権を指示している国民は、2億9千万人ということになります。率にして約23%です。70%を超える国民が不平と不満を持ち、独裁政権を支持していないという結果になります。

 ここで私は、先に読んだ近藤大介氏の『日中再逆転』を思い出しました。出版年度も同じ平成25年ですから、氏の予測の正しさを感じます。平成26年以降の中国の危機が、2つあると述べていました。

   1.   習近平と李克強の最終闘争。

 「社会主義を堅持すれば、経済が停滞し、市場経済を優先させれば、政治の民主化が必須となる。」 

   2.   もう一つの危機は、国民の蜂起

   「経済が停滞し失業者が溢れ、インターネットでの表現の自由を奪われ、現代版奴隷制度と揶揄される戸籍制度が廃止されず、環境汚染は深刻化し・・・と言うことが続けば国民のマグマは増大して、どこで爆発するか分からない。」

 列強の植民地にされないため、明治・大正時代に、日本が近代化を押し進めた時も、貧しい農村が、安い労働力の供給源となりました。細井和喜蔵の『女工哀史』や、徳永直の『太陽の無い街』で描かれる姿に似ています。世界の国が、貧困から脱し近代化する過程で、一度は通った道です。

 中国の場合は、その期間の短さと、規模の大きさが日本と比較にならず、さらに悲惨な状況になっています。日本の場合労働者の敵は常に資本家とその傀儡政府で、金に目の眩んだ無慈悲な政府を倒せば、労働者の政府ができ、ユートピアが作られるという希望がありました。

 マルクスの思想が広がり、若者たちを鼓舞・激励しました。しかし中国の場合、出稼ぎ労働者4億人を含む70%以上の国民を弾圧しているのは、頼りとすべき労働者の政府です。資本家と傀儡政権ではありません。これでは先に、希望の灯がありません。

 かってのソ連と同じで、中国のマルクシズムも、すでに破綻していることがこれで分かります。

 話をもう一度、「ねずみ族」と「アリ族」に戻します。彼らは、大中国の建設者であり、不可欠の労働力でありながら、都市への流入を拒まれている除け者です。爆発的な流入が、すでに危険な水準を超えているのは、近藤氏の書から伺えました。

 「もう一つの危機は、国民の蜂起」」という近藤氏の予測が、決して空想ではないと感じます。経団連も、中国国民の怒りのバワーを軽視し、金儲けばかりにうつつを抜かしていると、痛い目に遭います。中国国民を人間でなく、「安い労働力」としてだけ見るのを、そろそろやめる時ではありませんかと私が言いたいのはここです。

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日経新聞社編『習近平に中国は変えられるか』 - 4 ( 都市に住む富裕層と、農村の貧困層 )

2020-03-29 19:20:19 | 徒然の記

  トランプ大統領に「中国ウィルス」と名指しをされ、「コロナの細菌を持ち込んだのは、米軍だ」と、早速中国の政府報道官が反論しました。

 子供の喧嘩と変わらない次元ですが、二大強国のせめぎ合いには、安閑としておれないものがあります。いつの間にか地球をのし歩く恐竜となった中国について、今回も、頭や手や足の情報をもとに、勉強していきたいと思います。注目したのは、青字で示した次の2つの叙述です。68ページです。

 〈 1. 2011 ( 平成23 ) 年、当時の胡錦濤国家主席の発言 〉

   ・ 現行の国際通貨体制は、過去の遺物だ。( 米有力紙に明言した。 )

   ・ 西側が通貨を手段に、共産党政権の転覆を企てた。門外漢の我々も、国際金融を学んだ。 

   ・ 人民元の国際化という、「脱ドル依存」へと舵を切る。

   ・ 2012 ( 平成24 ) 年、円と人民元の直接取引を開始し、みずほコーポレイト銀行が参加した

   ・ 2013 ( 平成25 ) 年、中国・台湾間の人民元直接取引に、三菱東京UFJ銀行等、日本の3メガバンク参加した

 2017 ( 平成29 ) 年に、トランプ氏が大統領になって以来、米中戦争がエスカレートし、ペンス副大統領が、中国はアメリカの敵とまで断定した遠因が、胡錦濤氏の発言にあるのではないかと考えます。国際通貨体制がドルを基軸通貨としていることで、アメリカによる世界の金融支配が可能となっているからです。

 みずほコーポレイト銀行や三菱東京UFJ銀行など、日本の3メガバンクが中国に協調していたことを、日本のマスコミが報道していたのかどうか、金融に弱い私は記憶にありませんが、これでアメリカは日本も許していないはずです。

 二大強国の間に挟まれ、現在の日本がどのように振る舞っているのか、具体的に知りませんが、双方の顔を立てながら、曖昧戦略で時間を稼いでいるのでないかと、そんな気がしています。

 〈 2. 中国では経済成長に伴い、中間所得層が増えた。 〉

   ・ 国有企業の社員や、公務員に、富が集中する現象が生まれた。 

   ・ 世界では、中間所得層が社会変革の担いになるが、中国は異なる。

   ・ 政変が続いたため、「地位や権益を失いたくない」と、保守的に考える者が多い。

   ・ 彼らは、中国共産党の、最大の支持基盤になっている。

 国有企業の社員と公務員は「親方日の丸」の職場に安住し、お客へのサービスを忘れた人間です。昔の国鉄や電電公社の社員たちが、横柄に対応していたことを思い出すと、よく分かります。騒乱や飢餓、あるいは殺戮が続いた中国で、安定と豊かさを保証している共産党政権を、彼らが支持する気持ちが理解できます。

 しかしここでまた、記事を書いた日経記者への苦情です。「中間所得層を構成する、国有企業の社員と公務員の総数は、何人なのか。」この数字があれば、政府を支援する国民の人口比率が分かります。残りは私企業の社員と農民ですから、変動する人口が、中国の未来を予測させます。

 富裕層と中間層は都市部に住み、貧困層は農村部にいると説明していますが、「都市部の人口と農村人口」の正確な数字が書かれていません。細かなデータが説明されても、マクロの数字がないと全体把握ができません。都市部と農村の人口につき、やっと見つけた説明を、紹介します。

  ・国家統計局によると、2011 ( 平成23 ) 年での都市人口は、6億9千万人、農村部は6億5千万人で、初めて都市の人口が農村を上回った。都市人口のうち、約2億人が農村からの出稼ぎ者である。

 出稼ぎ農民数は、統計局の数字によると2億人ですが、別に4億人というデータもあります。農村から都市への人口移動の背景にあるのは、所得格差です。都市部住民の年間所得が、 2万1,810 元であるのに対し、農村部は6,977 元と、およそ 3分の1 です。

 この人口流入が、農民工と言われる低賃金労働者を大量発生させ、社会問題になっています。

 ・中国の経済成長は、農村の若者を中心とする労働力が、低賃金労働者として、都市へ供給されることによって支えられてきた。都市部では、成長の恩恵を受ける富裕層が生まれる一方で、農村からの流入者は、貧困に苦しむ。若者を欠いた農村では、成長が鈍り、都市との経済格差は広がるばかりだ。

 若者が住んでいるのは、市内各所にあるマンションの地下4階に作られた、核シェルターの一角です。石造りの部屋は、核シェルターの一部を改造した違法建造物で、広さは15平方メートル、家賃は月額約6,300円だそうです。こうした地下室に住む若者たちは「ねずみ族」と呼ばれています。人口2千万人の北京市内に、2百万人近くいるそうです。

 彼らは、元々から都市部に住む国有企業の社員や公務員と同様、中国経済を発展させた国民です。恐竜となった強大な中国と、縁の下で支えてきた庶民との格差を、もう少し調べ、日本を考える一助にできたらと思います。

 本日はここで一区切りとし、明日も「ねずみ族」( 農民工 ) について報告します。

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日経新聞社編『習近平に中国は変えられるか』 - 3 ( 巨大自動車市場・中国 )

2020-03-28 23:00:19 | 徒然の記

  今回は、中国の「 2大経済閥」のもう一つである「機械工業閥」の紹介です。

 こちらは、江沢民氏の支配下にあり、「江沢民閥」と言っても過言でありません。この説明の難点は、江沢民氏に重点を置き過ぎ、閥を形成する企業の名前や活動内容が、何も語られていない処です。日経新聞の記者にも、間抜けな人物がいるのか。それとも、石油閥に力を入れ過ぎて、気力が続かなかったのでしょうか。

 58ページの説明を、紹介します

  ・「石油閥」に匹敵する経済閥が、江沢民直系の、「機械工業閥」といえる。江沢民は第一機械工業省、ロシアの自動車工場で働いていた技術者だ。

 初めて知る経歴ですが、ロシアの工業省の中にある自動車工場なのか、両者は別々のものなのか、この記事では「第一機械工業省」とロシアの関係が不明確です。以下の文章も省略が多く、説明になっていませんがそのまま転記します。

  ・中国は、年2千万台の世界一の自動車市場で、イタリア・ランボルギーニ ( 日本では7千万円 ) の超高級車でも、トップの売り上げで利権は大きい。

 年2千万台が販売台数なのか、生産台数なのか分かりませんが、それ以上に意味不明なのが、「トップの売り上げ、利権は大きい。」の文章です。

 なんと比べてトップなのか、利権が大きいとは何を語っているのか。よくもこれで、経済紙の記者が勤まったものです。

 ネットで検索し、日本のメーカーの日本国内での販売台数を調べてみました。令和元年のデータで、赤字は中国での販売台数です。

    1.   トヨタ  155 万台    ( 162 )                 5.   日 産            57 万台       ( 155 )    

    2.   ホンダ    72            ( 155 )                  6.   マツダ            20                (  23 )    

    3.   スズキ          70                                   7.   スバル             13                (  3 )    

    4.   ダイハツ      66                                     8.   三 菱             10               ( 14 )    

 年2千万台というのは6年前の数字で、ネットで調べた販売台数は、令和元年ですから、そのまま比較できませんが、中国市場の大きさは予測できます。

 トヨタ以下、メーカー5社の販売台数を合計しますと、512万台となり、2千万台の約4分の1を占めています。

 貧民層がいても13億の人口ですから、メーカー各社が中国を重点市場としている理由が分かります。3月12日の千葉日報によりますと、コロナ騒ぎにかかわらず、トヨタとホンダが生産再開を始めたということでした。日本国内の騒ぎがどうなろうと、自社の利益を優先する企業の姿が見えます。

 話がそれましたので、本に戻ります。まだ58ページです。

  ・「機械工業」関係の江沢民の部下が、「全国政治協商会議」主席だった買慶林だ。1990 ( 平成2 ) 年代、大型密輸事件に彼の妻が関わるが、江沢民の傘の下で、地位を守り切る。

  ・だが、同じように妻が犯罪を犯した薄熙来は、すでに失脚した。力の落ちた江沢民が、自らに近い薄熙来を守りきれなかった、との解釈もできる。

  ・「機械工業閥」の後継者は、今回、政治局常務委員になった兪正声だ。高齢にもかかわらず、上海市トップから昇格した。

  ・同じく張徳江も常務委員入りしたが、彼も江沢民に近く、機械工業系の人脈の周辺にいる。

 「機械工業閥」の内容は分かりませんが、二大経済閥の一つですから、大きな利益集団であることは想像できます。習近平氏登場の背景では、元主席の江沢民氏と、前主席の胡錦濤氏の暗闘が繰り広げられていました。

 こういう中国の政治家たちを相手にするには、安倍総理のような、掴みどころのない政治家でないと太刀打ちできません。ですから私には、「森友問題」や「総理の花見会」が、取るに足りない些事と見えてしまいます。中国や北朝鮮や、韓国の実情を知っていながら、国会で総理を追及する野党の議員たちをつい軽視してしまいます。

 しかし今回発覚した昭恵夫人の「花見会」は、とんでもない失態です。総理が今日の緊急記者会見で、「武漢コロナ」制圧のため、国民に不要不急の外出や宴会の自粛を求めている時、事もあろうに取り巻きの馬鹿者を集め「花見」をしていました。

 これでは総理の、国民への訴えが台無しとなりますし、野党から責められて当然です。今回で何度目の、昭恵氏の愚行でしょうか。

 「この国難の時、妻も管理できない人間の話を、誰が聞くのか。」

 「日本のため、総理の使命を全うする気なら、自分の身の回りのケジメをつける方が先でしょう。」

  言いたくもなります。

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日経新聞社編『習近平に中国は変えられるか』 - 2 ( 「石油閥」と「機械工業閥 」 )

2020-03-28 15:58:42 | 徒然の記

  中国の巨大国営企業と、政権幹部との関係が詳しく語られています。日本の銀行や政治家の名前も出てきます。息子たちに伝えたいと思うのですが、複数の記者の説明が錯綜し、うまくまとめられません。

   1.   巨大国営企業の名前と業種、規模、

   2.   国営企業に関係する政権幹部の名前と政権内の役職

 個別の詳細が語られても、企業全体の説明が省略されているため、大枠が把握できません。恐竜の手や足や頭など、各部位が詳述されても、恐竜の全体像が掴めないという話に似ています。

 13億人を支配する大国ですから、企業と政治家が複雑に絡み合い、関係する人物が親密になったり裏切ったりで、簡単にいかないと言う事情もあります。

 それでもなんとか、中国政治と利権の関係を把握したいと思うのは、尖閣領海への侵犯行為や、激しい中国の反日政策との原因を、息子たちに伝えたいからです。

 まとまりに欠けるのを承知の上で、必要部分の紹介を試みてみます。55ページから、始めます。

  ・中国共産党大会で決まった中央委員会の人事には、人脈を長く追うと、興味深い事実が分かったと言う。

  ・経済利権を共有する人々が、個々の人間関係をテコに派閥を作り、人事をろう断する。

  ・代表は、石油閥と機械工業閥だ。二大経済派閥の動きは、中国の政治史を如実に映す。

 ここで話が一気に、1929 ( 昭和4 ) の毛沢東時代まで戻り、余秋里氏の説明になります。

 氏は、中国最大の大慶油田が発見されたとき、石油工業相として開発にあたり、「中国石油工業の父」と呼ばれます。その後、国家計画委員会主任や、国家エネルギー委員会の主任を歴任します。

 当時の彼の懐刀と言われたのが、曽慶紅氏でした。氏は、東シナ海の油田開発での日中摩擦にも関係し、「中国海洋石油総公司」での実力が認められ、出世します。

 やがて氏は、江沢民氏の側近として頭角を現し、1989 ( 昭和64 ) 年の天安門事件後、いきなり江沢民氏が総書記になり、北京入りをした時、唯一の側近として行動を共にします。

 1997 ( 平成9 ) 年に政治局員候補に昇格し、2002 ( 平成14 ) 年常務委員となり、「石油閥」のまとめ役を引き継ぎます。

 次の説明が興味深いので、そのまま紹介します。 

  ・反日教育を進めた江沢民だが、その下で「対日関係」を仕切ってきたのが、彼 ( 曽慶紅 ) だった。彼は日中関係にも興味を抱き、日本政界の実力者だった野中広務氏と、親しかった。

 自民党中にいる「獅子身中の虫」と、私が酷評した野中氏は、こんな処で「中国海洋石油総公司」と、江沢民氏につながっていました。中国寄りの意見を表明したり、共産党の機関紙「赤旗」に投稿し、安倍総理の批判をしたりする理由が、一つ分かりました。

  ・曽慶紅はすでに引退したものの、キングメーカーとして、再び、耳目を集めている。

  ・彼は今回の人事で、胡錦濤の押す李源潮を退け、「中国石油化工集団 ( シノペック ) 」の張高麗を、滑り込ませた。習近平を、次期トップに推薦したのも彼だった。

  ・張の出身母体である「シノペック」は、原油の大半を中東やアフリカから輸入し、マラッカ海峡を通過している。

  ・中国経済の命運を握る同海峡の、制海権を強化するため、海軍力の強化に積極的と見られる。

  ・中国政府関係者は、釣魚島 ( 尖閣の中国名  ) を含めて、海洋権益で妥協することはないとの見解を示す。「石油閥」の台頭は、中国の政策にどう言う影響を与えるのか。

 日本のマスコミの報道だけ読んでいますと、中国の状況が掴めませんでしたが、マレー半島とスマトラ島の間にあるマラッカ海峡は、日本にとって重要な海洋ルートであるだけでなく、中国にも同様な生命線でした。中国の軍事強化の理由も分かりました。

 私たちが中国の軍事行動を警戒している以上に、彼らも警戒している訳ですから、火種となっている尖閣の領有問題が、簡単に解決しないと分かりました。黙っていれば、沖縄も中国領だと、言い出しかねない危険な状況も見えてきます。

 と、ここまでが、「石油閥」の説明です。今回はここで一区切りとし、次回は「機械工業閥」の説明をいたします。

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日経新聞社編『習近平に中国は変えられるか』 ( 「毛沢東へ帰れ 」)

2020-03-27 16:13:02 | 徒然の記

  日経新聞社編『習近平に中国は変えられるか』( 平成25年刊 日経新聞出版社 ) を、読み終えました。

 題名だけ見ますと、習近平氏を中心に書かれているのかと思いますが、そうでなく、当時の中国の、政治、外交、軍事、経済、反日政策等について、幅広く説明する本でした。

 出版前年の平成24年5月から、約一年かけ新聞に連載された「中国シリーズ」を元に編集したと言い、著者は一人でなく、14名の中国駐在記者の名前が紹介されています。

 先に読んだ、近藤大介氏の著『日中再逆転』( 平成25年刊 講談社 ) を、思い出しながら読みますと、理解が深まりました。近藤氏は習近平氏を、李克強氏と比較し、時代遅れの無能な政治家として語ってていましたが、そうでない事実も知りました。

 江沢民氏の上海閥や太子党、共青団という派閥の間を生き抜き、トップの地位を獲得するのは、凡庸の人間には無理です。今回特に習近平氏を褒めていませんが、我慢強く、しぶとい人間であるのは間違い無いようです。

  ・安倍総理が、中国人の全面入国禁止措置を取れなかったのは、中国で大儲けしている日本企業の圧力だった。すでに世界企業となった日本企業の組織、経団連からの妨害だった。

 前回私は、「武漢コロナ」問題に関する政府の対応に、こういう推測を述べましたが、本書を読み終え、あながち間違いでなかったという、確信を得ました。紹介を進めていけば、この点に触れるだろうと思いますので、今は取りあげません。

 それよりも、ここまで克明な中国分析記事を書き、日経の記者たちがよく国外追放にならなかったと、そちらの方が不思議です。連載記事だった頃の「中国シリーズ」を知りませんが、もしかすると本にする時、相当の加筆、修正がされたのでしょうか。

 今から7年前の、第二次安倍内閣の時の出版ですが、野田内閣での尖閣国有化問題もあり、日中関係が最も悪化していた時期ですから一層その感があります。

 301ページしかありませんが、記者たちの渾身の記事なので、どこから始め、どこを割愛するか頭を悩ませます。こういう時は、次の基準で決めています。

   1.  息子たちに、伝えるべき大事なことに絞る。

   2. 「ねこ庭」を訪問される方々に、紹介したい重要事に絞る。

 二点を忘れないようにすれば、どんな大著でも紹介できます。その代わり、内容の取捨選択が私ですから、独断と偏見があります。最初の頃は臆病でしたが、今は開き直っています。どんな学者でも、独断と偏見から脱却できないでないか、という居直りです。「温故知新」の読書が、それを教えてくれました。

  第一章の、「習近平・李克強体制の発足」から始めます。13ページです。

  ・2012 ( 平成24 ) 年11月15日、の人民大会堂。共産党大会で選ばれた、新中国指導部の7人が、記者団らのお披露目の席に登場すると、驚きと失望が交錯した。

 10年ぶりの指導部交代の裏にある、3大派閥の熾烈な駆け引きの舞台裏を記者が語ります。

   1.   「上海閥」・・元国家主席の江沢民らを中心とする、党長老たちの派閥 

   2.   「共産主義青年団 ( 共青団  ) 」・・前国家主席の胡錦濤の出身派閥

   3.   「太子党」・・現国家主席の習近平ら、党幹部の子弟の派閥

  ・党最高指導部、政治局常務委員では、7人のうち、習近平を含む実に6人が、何らかの形で江沢民につながる人物だ。

  ・胡錦濤に近い「共青団」出身者は、序列二位の、克強だけ。胡錦濤の当初案にあった、李源潮、汪洋らの名前が消えたのは、胡錦濤の影響力拡大を嫌った長老からの猛反発だった。

 胡錦濤氏は常務委員の人選では、長老に一歩譲りましたが、実際に政治を動かすラインは、きっちり抑えていると言います。つまり、トップ25に当たる党政治局員や軍の要職には、「共青団」出身者と氏の側近が占めています。

  ・一連の人事からは習近平が、党内各勢力の駆け引きをさばきながら、最低限のバランスを保とうとしているのが分かる。習近平は意外と人事がうまい、との評判さえ出ている。

  ・だだ中国は今、様々な社会問題を抱え、大きな転換期にかかっている。バランスを重視するあまり内向きになり、実行力に欠け抜本的な改革に着手できなければ、中国の漂流が始まる。

 これが、習近平氏が登場した時の状況です。あれから8年で、習近平氏は江沢民氏の力をそぎ、胡錦濤氏の仕掛けた罠を潜り抜け、任期無しの終生国家首席になります。中国の「改革開放政策」は、胡錦濤派の李克強首相が主張しているので、協力せず独自の道を掲げました。

 それが毛沢東へ帰れ、漢民族の栄光を取り戻せ」という、復古主義となります。氏の今後は、次の言葉が語っていると、私は思います。ここで、近藤大介氏の評価と重なります。日経の記者たちも、無条件に習近平氏を持ち上げておらず、氏が「衆人一致の切れ者」でないことが、分かります。

 「老革命家らの、縁故による密室人事で選ばれた、習近平。」

 「彼に、13億人を束ねる実力があるのか。世界が注視している。」

 先を急がず、今回の紹介はここまでと致します。

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千葉日報の記事から見える日本の風景

2020-03-25 18:36:13 | 徒然の記

 今回は、「千葉日報の記事から見える日本の風景」という表題で、3件の報道を紹介いたします。

  1.   3月19日 「国民へ現金給付検討」  「一人 一万二千円以上想定か」

  2.   3月19日 「野党が森友検討チーム」 「佐川氏の再喚問要求へ」

  3.   3月20日 「WHOなどに150億円」  「政府  影響力強化狙う」

 「武漢コロナ」に翻弄され、学校閉鎖、イベント中止、宴会中止、渡航自粛と、世間が大騒ぎしている時、政府と野党が、国民のため何をしているのか、3件の記事がよく表しています。

  1. と 3. は、政府の誰が主張したとしても、最終決定は総理ですから、「安倍氏の愚かさ」の証明です。2. は、反日野党たちの決定ですから、「野党の愚かさ」の証明です。

 どの記事も、何か立派な決定らしく書かれていますから、3件とも、いわば「共同通信社の愚かさ」の証明です。」

 愚かしい政府、野党、共同通信社の姿を、そのまま千葉県民に伝える千葉日報は、何と評すべきか。贔屓の郷土紙は批評を飛ばし、順序に従い、共同通信社の記事を紹介します。

 〈 1.   3月19日 「国民へ現金給付検討」「一人 一万二千円以上想定か」〉

  ・政府、与党は、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う、緊急経済対策の柱として、国民に現金を配る「 現金給付 」を、検討していることが分かった。

 リーマンショックの時、政府は3兆円を用意し、全国民に一人平均一万二千円を給付したので、今回はそれ以上になるだろうというものです。こんな一過性の給付金が、本当に景気対策になるのか。疑問でなりません。

 3兆円というまとまった金額なら、バラまかなければ、もっと有効な使い道があります。続発した災害のため、依然として復興していない道路や市街区が、全国にいくらでも残っています。

 風呂の湯に、一匙の砂糖を溶かしても、「砂糖水」にならないのと同じ理屈で、全国民に少量の金を均等に配っても、「満足感」にはつながりません。まして「外出禁止」「宴会禁止」で、買い物にもマスクが離せない今日、どこで金を使えというのでしょう。テレビなどを見ていますと、

 「弱い老人や子供に、優しい手を差し伸べよう。」とか、

 「一人ひとりに寄り添う、暖かい政治が求められている。」

 などと、野党の政治家たちまでが、金のばらまきを訴えています。

 私も76才なので、彼らの言う弱い老人なのでしょうが、こんな訳の分からない金を、少しくらい貰ったからといって、政府の優しい手は感じません。

 「貴重な税金を、もっと有効に使う頭がないのか。」

 と、かえって腹立たしくなります。こんな虚しいバラマキ政治で、国民が喜ぶと考えるのなら、これこそ人気取りのための「ポピュリズム」であり、与野党共に愚かしい姿ではありませんか。

 〈 2.   3月19日 「野党が森友検討チーム」「佐川氏の再喚問要求へ」〉

  ・立憲民主党など、野党4党は18日、「森友問題」を担当し、自殺した財務省職員の妻が、佐川元国税庁長官と国を提訴したことを受け、「森友問題」の再検討チームを発足させた。

 亡くなった職員のご夫人が裁判を起こしたことには、それなりの理由があるのでしょうが、国難とも言える時に野党がまた前に出て、政争の愚にする必要がどこにあるのかと、言いたくなります。

 「武漢コロナ」への対応が、後手後手に回っていると政府を攻める彼らが、収束の気配も見えないこの時期に、また邪魔をするのかと呆れます。愚かしい野党は、日本のために何の役にも立たない、「役立たず党」です。

  〈 3.   3月20日 「WHOなどに150億円」 「政府  影響力強化狙う」〉

  ・政府は新型コロナをめぐる、国際貢献の一環としてWHOなどの複数の国際機関に、約150億円を拠出する方針を決めた。

 WHOについては、金のある中国が発言力を強め、中国寄りの発表をしていると、日本国内だけでなく欧米諸国からも批判の声が出ています。ということで、中国以上の金を使えば、日本の発言力が増すというのが政府の狙いです。菅官房長官の説明によりますと、150億円の内50億円は、WHOへの拠出金に決めたと言います。

 これを知ったWHOの、あの愚かなテドロス事務局長が、ジュネーブの記者会見で、早速次のように賞賛しています。

 「日本政府の対応は、安倍首相自らが先頭に立った、政府一丸の取り組みだ。」

 側近の誰かの進言だとしても、GOサインを出した安倍氏を、恥ずべき日本人として軽蔑します。中国が金の力でWHOを自由にしているからと言って、日本が同じことをするのでは、「同じ穴の狢」です。むしろWHOにはビタ一文出さず、テドロス氏の罷免を働きかけるべきでしょうに。

 「総理、やっていることが逆でしょう。」

 私は言いたいと思います。反日野党は、「森友検討チーム」などを作る暇があったら、WHO問題で総理を追及すれば、国民の支持が得られたでしょうに、彼らにはこんな知恵も働きません。

 「武漢コロナ」騒ぎで、自宅待機の私が、郷土紙「千葉日報の記事から見た日本の風景」です。

 中でも、3.の 記事が一番愚かだったと無念でなりません。

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堺屋太一氏著『大変な時代』 - 10 ( アメリカが送り込んだ「ジャパンハンドラー」 ? )

2020-03-21 15:58:27 | 徒然の記

  155ページです。日本は官僚が統制する管理社会で、国民は生活の全てを縛られ、何も自由にできないと言うのが、堺屋氏の持論です。

 国民は気がついていないけれど、日本は世界にも類まれな管理社会で、社会主義国と大差がないと説明します。5年前に、ベンジャミン・ミルフォード氏の著書『ヤクザ・リセッション』を読み、「ねこ庭」で紹介しました。カナダ人の特派員で、日本駐在の記者でしたが、日本を酷評していました、

  「日本は役人とマスコミに支配された、官僚社会主義国家だ」

  「日本は、政・官・業・ヤクザに支配された、腐敗国家だ。」

  「日本の矛盾は、その腐敗構造にあり、」「それは、民主主義が機能しないところまできてしまっている。」

  今でもベンジャミン氏は、日本のどこを見ていたのかと疑問を抱いたままです。堺屋氏の叙述は、カナダ人記者のような侮蔑はありませんが、よく似た意見です。

 アメリカを称賛し、日本を批判する氏の意見を紹介します。

  ・自由競争は、個人にも組織にも、創造性と、個性を発揮する機会を与える。アングロ・アメリカ経済でいう自由競争とは、まさしく、ルールのないプロレス型だ。

  ・新規参入は、原則として無制限。航空会社でも、小売業者でも、コンビュータ・メーカーや、ソフトウェアの会社でも、次々と新規企業が生まれる。

  ・社員も流動的で、今日はA社の主任技師が、明日はB社の開発部長になることも珍しくない。組織としても個人としても、新陳代謝が激しく、技術開発と経営刷新は大いに進む。したがってそこには、様式美というものは育ちにくい。

 様式美については、少し説明が入ります。

 氏は日本の経済社会を「相撲型」と言い、米国経済を「プロレス型」と説明しています。伝統としきたりの多い相撲界は、他国の誰もが参入できる世界ではありません。髷をゆい、廻しをしめ、決められた形でしか、勝負ができません。飛んだり跳ねたり、蹴飛ばしたり、噛み付いたり、勝手な攻撃はご法度です。

 このままでは金儲けにならない相撲は、国技として国の支援を受け、国民は存続に協力するための、高い入場料を払っているというのが、氏の意見です。これに対する自由なプロレス界を、氏はアングロ・アメリカの経済社会と、対比させます。

  ・そこには、様式美と言われるようなものは育ちにくい。新規参入が自由で、消費者 ( 観客 ) の選択で盛衰が決まる。アングロ・アメリカ型の自由競争では、価格の引き下げこそが、競争に勝つ道だ。

  ・このためには、常に常識が破られる。つまり価格破壊が、常態化する仕組みになっているのだ。

  ・昭和54年に、金融や航空の自由化が始まった結果、アメリカの金融業界や、航空業界は戦国時代に入った。ローコスト戦争の結果、多くの企業が淘汰されている。

  ・自由化以来10年にして、最大の企業であったパンアメリカンは、消滅してしまう。お客に対する商品の種類も急増、低価格の運賃なら、以前の数分の1まで下がっている。

  ・もちろんこれとて、コスト割れで売られているのではない。航空会社が知恵を絞り、コストを引き下げた結果、それでも引き合うようになったのだ。それで引き合わない企業は、倒産してしまう。自由競争には、ローコスト競争がつきものなのだ。

 氏は、企業に一生を捧げる社員の生き方を、世界に類を見ない「企業型人間」と批判します。年功序列賃金、終身雇用、手厚い福利厚生施設などは、「大競争時代」に相応しくない、ハイコストの無駄な制度と槍玉にげます。

 ここで氏と瓜二つの思考を持つ人物、竹中平蔵氏の顔が浮かびます。

 堺屋氏は平成10 年の小渕内閣と平成12 年の森内閣で、政策ブレーンとして働き、竹中氏は、平成13年の小泉内閣で辣腕の経済閣僚として働き、平成17年以降の安倍内閣では、経済政策のブレーンとして活躍しています。

 二人の意見が政策に取り入れられ、「移民法」や、「各種公益事業の民営化法」などの悪法が次々と立法化され、今の日本があります。「年功序列賃金」も「終身雇用」も、社員への手厚い「福利厚生施設」も、みんな消滅させられました。

 経営者と従業員のための会社が無くなり、会社は株主に高配当をするだけの組織となりました。正社員が減り、代わりに派遣、パート、アルバイト社員といった低賃金の社員が増えました。

 働いている人間は、政府の言う「職業選択の自由」を与えられた代わりに、「解雇される自由」と「首切りの自由」の対象となる不安定な暮らしを手に入れました。社員を酷使する「ブラック企業」が増え、結婚したくても若者には貯蓄がなく、日本はますます少子高齢化社会となり、「大量の移民」を必要とする条件を整えつつあります。

 堺屋氏は亡くなりましたが、竹中氏は今も健在で、安倍内閣で活躍しています。移民を受け入れる大手人材会社の会長でありながら、政府の委員を兼務しています。マスコミや多くの政治家が忖度し、名指しの批判を避けていますが、息子たちの代わりに言います。

  ・息子たちの暮らしを、先の見えないものにしたのが、この二人です。堺屋太一氏と、竹中平蔵氏の名前を忘れないようにしなさい。

 反日・左翼の者たちが戦後74年間、言いたい放題をしたこれまでを思えば、「ねこ庭」の片隅で、私が独り言を呟いたとして、それが何だと言うのでしょう。

 〈 ねこ庭の独り言    〉

  ・アメリカには、根強い反日勢力がある。( 主として、ウォール街 )

  ・ アメリカ政界には、彼らに支援された根強い反日勢力がある。( 主として、民主党政権内 )

  ・  根強い反日勢力は常に日本を警戒し、台頭する日本を押さえ込む。

  ・  根強い反日勢力は、日本の保守政治家、学者、官僚の中に親派を送り込んでいる。

  ・   堺屋氏と竹中氏は、そうして送り込まれた親派の一員ではなかろうか。

 これは「ねこ庭」の推測であり、「独り言」です。息子たちは自分の頭と手を使い、事実を検討してください。「ねこ庭」を訪問される方々は、各自の判断でお読みください。

  ・安倍総理はアメリカの圧力があるため、竹中氏の起用を拒めない。

 そんな噂を耳にしたことがありましたが、まんざら嘘でなかったのかと思えてきます。同時に安倍氏の責任の大きさも、浮かび上がります。

 「美しい日本を取り戻し、戦後政治の総決算をする。」と国民に約束した氏が、アメリカの力に屈したとなれば、自民党にはあと誰がいるのか。既に「左翼思想」にひれ伏している反日野党に期待できない国民は、この先どうすれば良いのか。

 本書には他にも示唆に富む主張が多々ありますが、全て日本人の魂を失った、元高級官僚の意見です。題名通りの、「大変な時代」を、彼らが作っています。氏の著書への判定は、反日・左翼学者の書を超える、二重丸の「悪書」です。

  腐った残飯と野菜クズに混ぜ、ゴミステーションに捨てるのが一番でしょう。

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堺屋太一氏著『大変な時代』 - 9 ( 東大総長大河内一男教授の弟子 )

2020-03-20 15:17:13 | 徒然の記

  昭和10年生まれの氏は、昭和20年の敗戦時、氏は10才、小学校の3年生です。

 わざわざ生年月日を確認するのは、どうして氏のように聡明な人物が、日本の歴史を否定するようになったのかと不思議になるからです。

 当然ながら、日本否定の思考に反比例し、アメリカへの評価が高くなります。アメリカは合理的で、個人を束縛しない自由な国で、やる気のある人間には平等に機会が与えられると語ります。

 日本に関しては負の面に注目し、批判と否定を繰り返しますが、アメリカ社会を蝕ばむ深刻な黒人差別問題や、極端な貧富の差、あるいは個人同士が常に争う訴訟社会であることなど、負の側面には目を向けません。

 幕末以来、大東亜戦争の敗北から今日まで、氏は日本の歴史を知らないのでなく、むしろ生半可でない知識を持っています。著書の中で、何度も過去の日本を語り、不透明な現在社会と対比します。終始論理が整然としているので、息子たちが読めば納得してしまいそうです。

 手っ取り早い例を、54ページから引用します。

  ・昭和10年代の日本の悲劇は、日本の軍事官僚、革新官僚が、優秀だと信じたことから始まった。

  ・当時彼らは、満蒙は我が生命線と叫んでいた。国民は彼らの言を信じ、求められるままに軍事予算を増やし、統制官僚と治安警察の権限を与えた。昭和の初めの日本人ほど、官僚に対して従順だった国民は世界の歴史に珍しい。

 こうした批判の意見は、反日・左翼学者と同じで、90%の事実と、10%の捏造です。全部が嘘でないため読者は警戒心を無くしますが、しかしこの意見が、果たして正しいのでしょうか。

 ・ 昭和の初めの日本人ほど、官僚に対して従順だった国民は、世界の歴史に珍しい。」

 平成、令和の日本人も、官僚への従順さは変わりません。

 官僚である氏が総理に進言し、「移民法」を成立させた時、荒れ狂ったデモ行進の一つでもあったでしょうか。世界の歴史に珍しいなどと言う意見は、どんなデータから出てくるのでしょう。

 いい加減な意見を思いつくまま並べても、多くの国民が、氏の著書を買って読んでいるのはなぜか。氏を、優秀な官僚と信じ込んでいるからでしょうに。

  ・しかし彼らの言った 「生命線」を維持しようとしたことが、国家そのものを滅ぼしてしまうことになり、多くの国民の生命と、莫大な財産を失わせた。

  ・しかも終戦後、満蒙が失われてからの日本経済の大発展を見れば、満蒙は何ら生命線でなく、ただの利権と権限の場に過ぎなかったことは明らかだ。

 人間が持つ思想次第で、歴史は変わります。

 「東京裁判史観」を信じ、アメリカを正しいとする氏には、戦前の日本が間違いだらけに見えるのです。満州事変当時の軍人の横暴さと、傲慢さについて、私も眉をひそめますが、同じ批判をしても私と氏には違いがあります。

 日本の軍国官僚が暴走し極論を主張したと言うのなら、当時他国が暴走し、極論を叫んでいた事実も、述べなくてはいけません。当時の国民が、世界史に残るほどの従順さだったと、氏はどこで判断したのでしょう。「満蒙は生命線である」と言う意見には、当時の国際情勢で妥当性があったから、国民が賛成したのではないでしょうか。

 戦後の日本はアメリカの強い影響下にあり、「日本だけが間違った戦争をした。」と、すっかり世間の思潮が変わってしまいました。敗戦後に変節した学者たちの意見を根拠にし、何も言えなくなっている軍人と政治家を攻撃するのは、容易いことです。ブログの第2回目で、氏の経歴を調べたは無駄でありませんでした。

    ・経済学部で、大河内一男教授(後の総長)に師事

    ・学部で3番目の成績で、卒業した

 氏の「東京裁判史観」が、どこで身についたのか。東大総長大河内一男教授への師事という事実の中にあります。大河内氏は、反日・左翼教授で「獅子身中の虫」の親玉の一人です。

  堺屋節が続きます。

  ・もちろん、昭和の初めの軍人や官僚が、全員無能であったわけでも悪人であったわけでも無い。彼らの最大の欠点は、組織への狭い忠誠心にこだわり、権限を放棄する勇気を失い、組織人として、最も重要なガバナビリティ ( 被統治能力 ) を、欠いていたことである。

  ・そしてその根本的な原因は、被統治能力欠如に対する、罪悪感を感じないと言う倫理の頽廃であった。世の中に、権力者の倫理的頽廃ほど恐ろしいものはない。

 そっくり同じ言葉を、私は氏に返したいと思います。東大は卒業しても、戦後日本を支配している「東京裁判史観」から卒業できないまま、日本を否定する氏は、自らの倫理観の頽廃を恥じなければなりません。

 「ローコスト革命が日本を救う」などと言い、大量の移民受け入れ政策を総理に進めた氏は、「満蒙はわが生命線」と叫んでいた軍人とどこが違うのでしょう。むしろ軍人は、国を守り、発展させると言う愛国心があるだけ、氏より増しです。

 氏には最初から最後まで、経済 ( 金儲け ) の話はあっても、日本への愛国心はどこにもありません。

   1.   八百万の神様を信じ、先祖を敬い、和を大切にする日本人の寛大さ。

   2.   自分の国は、自分で守ると言う日本人の、誇りと自主自立精神

 敗戦後の日本が無くしたこの二つについて、全く触れない氏が、産経新聞に定期的寄稿をする人物のだったと、私は今も信じられません。そろそろ嫌になってきましたが、まだ54ページです。次回は息子たちのため、氏がアメリカを称賛をしている具体例を紹介します。

 読みたく無い方は、スルーしてください。貴重な時間を無駄にしてはいけません。   

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