今回は『ウィキペディア』でなく、アメリカの週刊誌『ニューズウィーク』( 日本語版 ) の2020 ( 令和2 ) 年6月2日号の記事を紹介します。同社は主に政治や社会情勢などを扱う週刊誌で、ニューヨークに本社があります。
< 支援者の寄付金を不正に流用してきた──だけではない。いま韓国で、正義連(前身は挺対協)が内紛と不正運営疑惑に揺れている。衝撃の暴露があぶり出す神聖化された組織の深い闇とは >
「挺対協」は日本への攻撃だけでなく、気に入らなければ韓国政府も攻撃し、国連でも日本の反日NPO と連携して、世界中をかき回す団体ですから、不祥事となれば米国の週刊誌もトップニュースの扱いです。コメントを入れる必要がないほど、詳細で分かりやすく書かれています。
「慰安婦問題は、今も日韓の重要外交課題の1つだ。その解決のために両政府が試みた数々の政策に対して、強大な影響力を行使してきた韓国の慰安婦支援団体が最近、内紛と不正運営疑惑に揺れている。」
「事の発端は、元慰安婦の李容洙(イ・ヨンス)による突然の告発だった。自分を含む元慰安婦たちを支援してきた「日本軍性奴隷問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)による寄付金の使途が著しく不透明で、かつ自らはその恩恵を受けていないと、団体のトップだった尹美香(ユン・ミヒャン)に反旗を翻したのだ。」
面白いことに米国の週刊誌が取り上げているように、日本のマスコミは大きく報道していません。私は千葉日報の小さな記事で、動きを知っただけでしたので、同社の記事をありがたく思いました。
「この暴露を契機に正義連の不正疑惑が次々と明らかになっている。」
・数百万円相当の寄付金を、1日でレストランでの飲食に使ったと過度に粉飾して帳簿に記載
・「元慰安婦の憩いの場」として購入した不動産物件は、当初の目的で使われることがほぼなかったのに、管理費として尹の父親に数年間で約650万円が支払われた
・「正義連」発足後も、前身の韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)が以前の名義で政府から補助金を受けていた
「元慰安婦の支援を目的とした一介の市民団体に、なぜこれほどの不正会計や横領の疑惑が持ち上がったのか。事実だとすれば、それを可能にした要因は何だったのか。腐敗の構造を探ると、カネと権力とワンマン体制を備えた「政治団体」の輪郭が浮かび上がってくる。」
余計なコメントをするより、記事をそのまま紹介する方が息子たちにも、「ねこ庭」を訪問される方々にも正確に伝わりますので、しばらく紹介を続けます。
「不正会計疑惑が起きた1つの要因は、市民団体を含む非営利法人に対する韓国の緩い会計制度だ。」
「韓国・寄付文化研究所の資料によれば、非営利法人に関する韓国の法制度は〈後進国レベル〉で、〈30〜50年前の法律が適用されている〉。公益法人会計基準が2年前にようやく制定されたが、なぜか寄付金で運営される非営利法人は、情報の公開義務や外部監査の対象から外れる団体が多い。そのため、寄付金の使途を詳細に把握できないことがある。」
「非営利法人の会計に詳しい公認会計士の崔浩潤(チェ・ホンユン)は、〈国税庁のウェブサイトに公開される非営利法人の年間の予算書や決算書は、一部でしかない〉と話す。寄付者はそれが全てだと思っているだろうが、そうではない」
「一方、正義連の呉性希(オ・ソンヒ)人権連帯処長は、不正会計疑惑をこう釈明する。」
「韓国の非営利法人の労働環境はどこも劣悪だが、私たちは(保守勢力から)名誉毀損で訴えられたりして業務が増える。そうした状況で人手不足も相まって、会計ミスがあったことは認める。」
「〈会計ミス〉だけで全ての疑惑が説明できるかは、家宅捜索に入った検察が明らかにするだろう。ただ、問題は会計制度だけではない。正義連とその前身の挺対協が、その強大な政治力ゆえに活動や存在が聖域化したことが背景にある、との指摘がある。」
「昨年、著書『反日種族主義』で一躍脚光を浴びた韓国の李栄薫(イ・ヨンフン)元ソウル大学教授は、5月11日、新著の出版記者会見で、〈挺対協の運動は神聖不可侵の権威として君臨してきた〉と語った。実際挺対協は、過去にはその政治力を遺憾なく発揮し、日韓の慰安婦政策に介入してきた。」
長い記事の紹介になりますが、我慢して読んでいただきたいと思います。大事なことは〈挺対協〉の乱脈不正だけでなく、この団体と密接に提携し、反日攻撃をして来た日本のNPO団体の存在です。
「1991 ( 平成3 ) 年に、慰安婦が日韓の外交問題化してから8年後の1999 ( 平成11 ) 年、未来志向を掲げた金大中(キム・デジュン)政権が発足。そのリベラルな姿勢で日本との外交関係を改善した金には、慰安婦問題の解決にも大きな期待が寄せられたが、結局何も成し遂げられなかった。」
「挺対協ら女性市民団体が、歴代大統領夫人と強いパイプを持ち、金大中のファーストレディーだった李姫鎬(イ・ヒホ)もその「圧力」から自由になれず、夫も影響を受けたからだとされる。」
「1995 ( 平成7 ) 年、挺対協は日本の民間人から、元慰安婦らに対する償い金を募った「アジア女性基金」にも深く関与する。基金に反対の立場だった挺対協を含む女性団体は、償い金を受け取った元慰安婦らを激しくバッシングし、この事業を頓挫させた。」
「そもそも挺対協をはじめとする女性団体は、反日組織ではない。戦争における女性に対する犯罪の解決という、より大きな目的を掲げた活動団体だ。ベトナム戦争で韓国軍兵士が現地人女性を性的に蹂躙した問題に対しても強烈な批判を続けている。韓国の保守層から敵対的にみられるのはそれ故だ。」
「ただ〈女性の権利〉を掲げ、大統領でさえ抑制の利かない不可侵な存在になれば、監視の目は緩む。本人たちの意識も変わる。」
「こうした批判に対して正義連の呉は、〈全く違う。私たちは(リベラル政権だった)盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代でも、元慰安婦のための保護施設を探すのに苦労した〉と、その影響力を否定する。」
「だが、2015 ( 平成27 ) 年に締結された慰安婦をめぐる日韓合意が、文在寅(ムン・ジェイン)政権誕生後に「破棄」された背後にも、挺対協の影響力があった。(そもそも挺対協が「正義記憶財団」と統合したのは発言力を高めて日韓合意に対抗するためで、2018( 平成30 )年1月に尹は、大統領府に招かれている)。挺対協自身に認識がなくとも、結果的に韓国政府の外交に多大な影響を及ぼしている。」
「腐敗の構造」を埋める最後のピースは尹の支配欲かもしれない。」
「興味深いのは、今回この問題を指摘したのが正義連の「スポークスマン」とも言える左派系の、ハンギョレ新聞だったことだ。」
「5月18日付の記事で、ハンギョレは尹の団体運営手法を辛辣に批判している。山奥に住む元慰安婦にわざわざ会いに行った、挺対協発足当時の尹の労苦をいたわりつつも、いつしか組織を占有し〈事実上の丼勘定で運営してきた〉と指摘。さらに〈他人を信頼しておらず、情報も共有していない〉など、尹のワンマン体制を暴露した内部関係者の話も伝えた。」
「元慰安婦の李が、このタイミングで尹に反旗を翻したのは、尹が4月の総選挙で国会議員に当選したことが引き金になったとの見方がある。不正会計や情報隠蔽に耐えていた李が、尹の選挙に「利用された」と憤慨したからだ。」
「日本からの援助を優先するため、慰安婦問題は朴正煕(パク・チョンヒ)の軍事政権時代には伏せられていた。いわば韓国政治の闇だが、それが明るみに出たのは1987 ( 昭和62 ) 年の民主化後、鬱憤に耐えられず声を上げた元慰安婦たちの告発によってだった。」
「そして今度は、彼女たちを支援してきたはずの尹が、不正で権力を手にしたと元慰安婦に告発される──。まさに歴史は繰り返す、だ。」
ほぼ全文を紹介しましたが、私が違和感を覚えるのは次の叙述です。
「そもそも挺対協をはじめとする女性団体は、反日組織ではない。戦争における女性に対する犯罪の解決という、より大きな目的を掲げた活動団体だ。ベトナム戦争で韓国軍兵士が現地人女性を性的に蹂躙した問題に対しても強烈な批判を続けている。韓国の保守層から敵対的にみられるのはそれ故だ。」
『ニューズウィーク』は、〈挺対協〉の不正経理について批判していますが、「慰安婦」そのものについては否定していません。疑問も呈していません。〈挺対協〉は間違いなく過激な反日団体ですが、その認識はなく、認識の必要も感じていません。同団体がベトナム戦争時の「ライダイハン」事件を強烈に批判していたとは、聞いたことがありません。
もし『ニューズウィーク』の報道が正しいとするなら、日本のマスコミはこの事実を日本国民に正しく伝えていなかったことになります。そうだとすれば、口の悪い人が言う通りわが国のテレビと新聞は、文字通り「反日の腐れマスコミ」となりますが、果たしてどうなのでしょうか。
この疑問も含めて、安倍総理への「鎮魂歌」です。いかに大きな反対勢力と戦い、戦いの半ばで凶弾に倒れたかと知る人が増えます。次回はまた、本題に戻りますが、短気な方は遠慮なくスルーしてください。