「1984 ( 昭和59 ) 年に主張していた〈一国一前衛党論〉について、日本共産党が理論的に否定あるいは修正したことを明確に論じている同党発の文献は、現在 ( 2021年5月 ) のところ見当たらない。」
前回紹介した情報では前記のように書かれていましたが、8月10日に書いた『統一教会と自民党 』のブログの時に調べた情報では、次のように説明されていました。
「日本共産党はかって〈一国一前衛党論〉を掲げ、複数の共産党・労働者党がある国では、一つの党としか関係を持たなかった。」
「ソ連共産党や中国共産党の〈複数前衛党論(併党論)〉を、大国の共産党による外国の革命運動に対する干渉を正当化する理論だとして、強く批判。」
「1984 ( 昭和59 ) 年には、この〈複数前衛党論〉を全面的に批判し、〈一国一前衛党論〉を展開した論文を『赤旗』紙上で発表。」
『しんぶん赤旗』も同党発行文献の一つですから、「見当たらない」という説明は間違っています。私がここで息子たちに言いたいのは、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』、『Weblio 辞書』、『コトバンク』など、たくさんの情報があるけれど、鵜呑みにしてはいけないということです。
こうした情報をもとに、共産党批判のブログを書いている私を、疑問視する人がいると思いますが、これについてはつぎのような説明をします。
・公開情報を活用してブログを書くのは、間違いではない。
・だだし一つの情報源に頼らず、常に複数の情報を調べ、不明な時は不明を不明とした上で利用する。
・公開情報であるから、共産党の関係者もチェックしているはずで、大きな間違いがあれば抗議・修正要求するだろう。
・異なった情報がそのまま公開されているのは、共産党にとってどちらも間違いでないと容認されているのではないか。
共産党が抗議すべきは、公開情報サイトの運営者だと思いますので、多くの人がしているようにこのままブログを続けていきます。
前にも述べましたが、一つの国の中に分断された共産党 ( 左翼勢力 ) が存在する場合、「一国一党」の原則によって複数の共産党を認めなかったのは、スターリンが指導するコミンテルンでした。日本共産党がソ連と中国に反論していると言いますが、元々は彼らの方が言い出した原則で、時の経過で状況が変化し、コミンテルンと中国が原則を変えたのでしょう。
不破委員長になり、中国共産党との関係修復となった事情を紹介します。
「1998 ( 平成10 ) 年6月に、北京で両党会談が行われて関係回復の合意に達した。このときの合意文書では、次の条項が盛り込まれた。」
・中国(共産党)側は、60年代の国際環境と中国の「文化大革命」などの影響を受け、両党関係において、党間関係の四原則、とくに内部問題相互不干渉の原則にあいいれないやり方をとったことについて、真剣な総括と是正をおこなった。
・日本(共産党)側は、中国側の誠意ある態度を肯定的に評価した。
「これにより、中国共産党が文化大革命時の日本共産党への干渉について、非を認めた。」「関係修復後は、両党の理論交流が下記に基づき再開した。」
・日本共産党は1976年から、自分たちの思想を表す表現を「マルクス・レーニン主義」から「科学的社会主義」に変更していた。
・しかし中国共産党が掲げている「マルクス主義」と意味は同じであり、日本共産党も用語として排除しているわけではないという立場を明確にした。
・中国共産党との理論交流では、共通語として自分たちの思想を「マルクス主義」という用語にした。
やっている行為自体はいい加減なのに、こうして言葉の定義をし、論理尊重の建前を強調されると、科学的な党らしい立派な修復をしたように見えます。彼らが満足するのなら、ことさら苦情をいう必要がありませんので、情報の紹介を続けます。
「中国共産党との関係改善の影響で、不破哲三が主導した2004 ( 平成16 ) 年の日本共産党綱領改定では、次の記述が挿入された。」
・今日、重要なことは、資本主義から離脱したいくつかの国々で、政治上・経済上の未解決の問題を残しながらも、『市場経済を通じて社会主義へ』という取り組みなど、社会主義をめざす新しい探究が開始されている。
・人口が13億を超える大きな地域での発展として、21世紀の世界史の重要な流れの一つとなろうとしていることである。
新しい共産党の独裁者不破氏が、このようにして中国共産党との和解をしました。
「これは中国共産党が主張していた〈社会主義市場経済〉を〈社会主義を目指す新しい探求〉として肯定的に評価するものだった。」「他方で不破は、〈政治上・経済上の未解決の問題を残しながらも〉、という但し書きによって、中国で起こっているすべてを肯定する立場に立つわけではないとも述べた。」
言わずもがなの言い訳で締め括られていますが、マルクスは「社会主義市場経済」など述べていませんから、論理的に破綻した中国共産党との和解でした。
不破氏のことはこの程度にし、次回は現在の委員長である志位氏と中国共産党との関係について紹介します。