NHKがBSニュースで、中国の報道番組をそのまま全国に、と言うより全世界に発信した。
中国側のニュースは、次の通りである。
「尖閣諸島の領海を、日本の右翼団体の船が侵犯してきたので、わが国の公船が、これらの船を領海外に追い払った。」
これは中国の身勝手な主張で、中国国内向けの報道だ。テレビ画面には、日本の漁船を追いかける中国公船の姿が映し出された。ちっぽけな日本漁船と大きな公船が、白い航跡を引きながら、航行していた。
事実をそのまま伝えるのがマスコミの役目とは言いながら、日本の領土である尖閣の領海を、自国のものとして報道する中国のニュースを、NHKはそのまま流したのか。
「中国政府は国内向けに、こうしたねつ造を報道しています。」
せめてこの一行でも、注釈をつけることはできなかったのか。
尖閣問題に関して、日本と中国は交戦状態にあり、国民が重大な関心と怒りをも持って見ている。それなのに国民の信頼するNHKが、敵対国を利するニュースを注釈もなしに報道した。
これではNHKが、尖閣は中国の領土ですと認めたことになり、国益を損なう。
しかも中国が使っている映像は、NHKが撮影したもので、NHKが自ら中国側に渡していたものだという。注釈どころの話ではない。中国公船が、日本漁船を追跡する画像があるから、何も知らない中国国民にアピールする。
この映像は、確かに中国が撮影できるものではない。領空侵犯として攻撃される恐れの無いNHKの手による映像で、NHKだからこそ撮れた航空写真だった。
こうなると、中国の情報戦争に、NHKが積極的に協力したという話になる。昨日、鳩山元総理の尖閣に関する談話の感想を聞かれ、菅官房長官が、開いた口がまだ塞がりませんと答えていたが、今回受けた衝撃はこれに匹敵する。
私はブログで、朝日新聞をたくさん攻撃してきたが、NHKは「日本の良識の府」と信じて来た。だが今回の行為は、売国・背信・ねつ造・利敵行為と、そのいずれの面からしても、朝日新聞を凌駕する。
中国側の言う「日本の右翼」とは、沖縄の漁船に乗った「チャンネル桜」の人びとである。
右と左で区分すれば、「チャンネル桜」は右側に位置しているが、私たちが、産経新聞を右翼と呼ばないのと同じ意味で、これらの人びともまた、「横暴・過激」な右翼とは一線がある。
NHKは公共放送の使命からしても、中国の言う「右翼」という言葉に対し、訂正や抗議をなぜしないのだろう。
更にこのニュースでは、チャンネル桜の水島社長と、田母神氏と、松浦氏の顔写真が出されたと言う。顔写真が世間に出回れば、本人たちに身の危険が迫ることもあるが、NHKは考慮していない。自衛隊の将軍だった田母神氏なら、死は覚悟するところだろうが、他の二氏は一般の国民だ。国民を守るのが、公共放送の使命ではないのか。
私は今、大きな衝撃と失意に陥っている。
朝日新聞は来月から購読中止にできるが、NHKはそういかない。法律で受信料の支払が義務づけら、私の意思で止めることができない。「私の信頼するNHK」だったという、これまでの経緯からしても、いったいどうすれば良いのか。
暫く頭を冷やして考えてみよう。
熱射病の蔓延する、この熱い夏の真っ盛りに、朝日新聞ならまだしも、NHKにこんな目に遭わされようとは、予想だにしなかった。
いや、これはNHKの中の一部の不心得者が起こした失敗で、多くの社員たちは、日本を大切にしていると、まだそう考えずにおれない。そうでなければ、私たちの受信料から、社員たちに平均一千万円もの年収が支払われていることの、意味がない。
万が一、もしものこと、これがNHKの体質だというのなら、自民党の諸先生たちは国会で厳しく追求すべきではないのだろうか。