■ Mozart KV331の公開レッスンのお知らせ ■
~ KV331の自筆譜見つかる、エレガントではなく劇的な音楽だった ~
2015,8.1 中村洋子
★皆さまは、あの有名な誰からも親しまれている
Wolfgang Amadeus Mozart モーツァルト(1756~1791)の、
Klaviersonata A-Dur KV331 を、
このように弾いていませんでしたか?
★昨年秋、この曲の Mozart 自筆譜が発見され、
以下が正しかったことが確認されました。
★昨秋ハンガリーで、 KV 331 の自筆譜の一部が発見された、
という報道が最近ございました。
実用譜で、これまで慣習的に、いわゆる常識的に
“改竄”されていた数か所が、
Mozart の意図に沿ったものに、これから戻されていくでしょう。
★以前、 Beethoven ベートーヴェン(1770-1827) の
「Für Elise エリーゼのために」 について書きましたように、
日本の頑固なピアノの先生方には、直ぐには受け入れがたい・・・
とは思いますが、是非、素直にMozart の作曲意図を尊重して、
レッスンにも生かして頂きたいと思います。
★最も大きな相違点は、第2楽章 Menuetto の24、25、26小節でしょう。
従来は、24小節目下声と、25小節目下声の「cis¹」が「c¹」とされ、
続く26小節目上声1拍目「cis²」も「c²」となっていました。
★従来の「c¹」、「c²」で弾きますと、24、25、26小節、
そして27小節目までは、とても小奇麗で
エレガントな a-Moll イ短調です。
★しかし、Mozart 自筆譜の「cis¹」、「cis²」にしますと、
24、25、26小節は 「A-Dur イ長調」、
そして、27小節目冒頭でいきなり、
A-Dur の同主短調である 「a-Moll イ短調」に激変するのです。
★これにより、Mozart がなぜ24小節目に「p」、
25小節目に「cresc.」、28小節目に「f」に指定したか、
その理由が、明確に分かるのです。
★27小節目で劇的に変化した後、追い打ちをかけるように、
28小節目を「f」とし、29小節目はドッペルドミナントにしています。
そのドッペルドミナントは5音下行形で、
その下行した5音をバスにもち、
30小節目のドミナント(半終止)に着地するのです。
小奇麗でエレガントではなく、まさに、
ドラマティックな音楽に変容するのです。
★続く31小節目は、主調 A-Dur に復調し、再現部が始まります。
心憎いばかりのMozart の設計図を支えているのが、
この「cis¹」、「cis²」なのです。
それが、自筆譜で明らかになりました。
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■中村洋子 ピアノ公開レッスン
★8月26日(水) KAWAI 金沢 第11回 Invention アナリーゼ講座の終了後、
Mozart ピアノソナタ 「K.331 A-Dur 1楽章」の、
公開レッスンを開催いたします。
★このソナタは、1楽章がソナタ形式の曲ではなく、
16小節の可愛らしい主題と6つの変奏曲とから成っています。
ピアノを習い始めて間もない方も、発表会でよく弾かれ、
誰からも愛されている名曲です。
★変奏で使われる「非和声音」は、
和声を学ぶ上で、大変に重要なサンプルです。
また、一見単純に見えますが、
Mozart の素晴らしい「counterpoint 対位法」が、随所に見られます。
それらを分かりやすく解説しながら、
どのように演奏すべきか、実際のレッスン を公開いたします。
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■日時 : 8月26日(水) 午後1時半~2時半
■会 場 : カワイ金沢ショップ 金沢市南町5-9
( 尾山神社前 南町バス停より徒歩3分)
■予 約 : Tel.076-262-8236 金沢ショップ
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■講師 : 作曲家 中村 洋子 Yoko Nakamura
東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。
2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。
07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。
08年: CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。
08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
Analysis インヴェンション・アナリーゼ講座 」
全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。
09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」の楽譜を、
ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。
10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。
10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
「 Regenbogen-Cellotrios 虹のチェロ三重奏曲集 」の楽譜を、
ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。
11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
チェロ二重奏のための 10の曲集 」の楽譜を、
ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。
12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」の楽譜を、
Musikverlag Hauke Hack Dortmund 社から出版。
13年: CD 『 Suite Nr.4 & 5 & 6 für Violoncello
無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 3番 」の楽譜を、
ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。
14年:「 Suite Nr.2、4、5、6 für Violoncello
無伴奏チェロ組曲 第 2、4、5、6番 」 の楽譜を、
ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。
SACD 『 Suite Nr.1、2、3、4、5、6 für Violoncello
無伴奏チェロ組曲 第 1, 2, 3, 4, 5, 6番 』 を、
「disk UNION 」社から、≪GOLDEN RULE≫ レーベルで発表。
スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、
自作品が演奏される。
★上記の 楽譜 & CDは、
「 カワイ・表参道 」 http://shop.kawai.co.jp/omotesando/
「アカデミア・ミュージック 」 https://www.academia-music.com/academia/s.php?mode=list&author=Nakamura,Y.&gname=%A5%C1%A5%A7%A5%ED
https://www.academia-music.com/ で販売中。
★私の作品の SACD 「 無伴奏チェロ組曲 第 1 ~ 6番 」
Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー演奏は、
disk Union や全国のCDショップ、ネットショップで、購入できます。
http://blog-shinjuku-classic.diskunion.net/Entry/2208/
※copyright © Yoko Nakamura
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