音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■東北(とうぼく)への路■ その5 リハーサル

2007-12-24 16:54:51 | ★旧・曲が初演されるまで
■東北(とうぼく)への路■ その5 リハーサル
2006/6/9(金)

★今週は、ギターの斎藤明子さん、尾尻雅弘さんご夫妻とコンサートのリハーサルをいたしました。

10弦ギター独奏曲「東北への路」は、4つの楽章からできています。

第1楽章「草の戸も住み替わる代ぞ雛の家」は、春。

第2楽章「あらたふと青葉若葉の日の光」は、新緑の初夏。

第3楽章「五月雨の降り残してや光堂」は、梅雨の季節。

第4楽章「荒海や佐渡に横たふ天の河」は、七夕の夜の句です。

季節を追って曲は進行してまいります。

斎藤さんは、軽井沢で演奏活動の傍ら、無農薬の野菜やお米を作っていらっしゃいます。

家庭菜園で作ったウドがお土産でした。

軽井沢の遅い春の香りが楽しめました。

天ぷらと酢味噌和えでいただきました。

可愛いい盛りのお子さんたちに囲まれ、まさに、芭蕉が自らの寓居を託した次世代の「雛の家」の

住人かもしれません。

演奏は実に若々しく、作曲した私が「こんな表現もあるのか」と思うような斎藤さんの音楽性が

にじみ出た、いい演奏でした。

リハーサル後、ご夫妻とお寿司を食べ、ゆっくりとお話ししました。

斎藤さんに「素敵なおばあちゃんになってからも、また、この曲を弾いてくださいね」とお願いしました。

その時は、どんな演奏になっているのでしょうか。

第3曲目は中尊寺の光堂、藤原三代の栄華の残影ですが、北の支配者の猛々しさも少し織り交ぜてあります。

ギターにはよく合うようです。

10弦ギターは、低弦が普通のギターより4本多く、低いバスの音を充実させた曲が書け、

大変に気に入っています。

6月11日の「アナリーゼ講座」では、ベーゼンドルファーのセミコンサートピアノを使用します。

通常のピアノより低い音の出る「エクステンディトキー」が4つあります。

そのキーを使わなくても、弦が共鳴することで、深く、魂が揺すられるような響きがします。

ギターやピアノは、完成された楽器、というイメージがありますが、まだまだ進化していくのでしょう。

斎藤さん、尾尻さんの二重奏「もがみ川」は、「五月雨を集めて早し最上川」「暑き日を海に入れたり最上川」。

盛夏の曲です。

来週は、いよいよ、八木千暁さんの龍笛と楽琵琶のための曲「白秋」のリハーサルをいたします。

旅の終わり、秋の曲です。

★中村洋子ホームページ http://homepage3.nifty.com/ytt/yoko_r.html

★「東北への路」チケットお申込みは...
  平凡社出版販売株式会社 中崎 まで。 電話 03-3265-5885 FAX 03-3265-5714


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