音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■私の「チェロ組曲第 1番」の楽譜が、ドイツのリース&エアラー社から出版■

2010-03-16 20:34:41 | ■私の作品について■
■私の「チェロ組曲第 1番」の楽譜が、ドイツのリース&エアラー社から出版■
                       10.3.16 中村洋子


★私の『 無伴奏チェロ組曲第 1番 』の楽譜が、このほど、

ベルリンの歴史ある出版社、リース&エアラー社

「 Ries & Erler Music Publishers 」から、出版されました。


★伝統の重みに、圧倒されるような気もいたしますが、

つくづく、“ 作曲家でよかった ” と思います。

音楽という“ 世界共通の言語 ”のおかげで、

楽譜さえあれば、本場のドイツの出版社が、偏見もなく、

出版を決意する、ということです。


★私がもし、詩人や小説家のような文学者であった場合、

翻訳の厚い壁もあり、このように、直接、ベルリンで出版ということは、

ありえない、と思わざるを得ません。


★リース&エアラー社 Ries & Erlerは、1881年に、

フランツ・リースとヘルマン・エアラーにより、

設立された楽譜出版社で、

フランツ・リースは、音楽史で有名な、リース一族の出身です。


★バッハに及ばないまでも、リース一族も、

1723年にまで遡ることができる、音楽家の家系です。

イギリスの 「 ニュー・グローブ音楽辞典 」には、

4ページにわたり、一族の記述があります。


★ベートーヴェン(1770~1827)の先生として、有名でした

フランツ・リース Franz (Anton) Ries ( 1755~1846 ) は、幼少時から、

神童と謳われたヴァイオリニストで、ボン宮廷楽団の指揮者も務めました。

若きベートーヴェンが、母を亡くし、苦難に喘いでいたころ、

家族のように接し、支えた人です。


★その長男のフェルディナント・リース Ferdinand Ries(1784~1838)は、

ベートーヴェンの弟子となり、ピアニスト、作曲家、

そして、ベートーヴェンの写譜や、秘書の仕事もしたことで、有名です。


★私は、小学生のとき、世界の偉人伝「ベートーヴェン」を、

何度も読みましたが、そこで、

「リース」という名前が、たびたび出現し、

“ ベートーヴェンの後半生を助けた人 ”として、

しっかりと、その名前が記憶に、焼きついていました。


★ベートーヴェンは、彼にピアノを教えましたが、

作曲は、ベートーヴェンの指示で、

当時、著名だったアルブレヒツベルガー (1736~1809)

Albrechtsberger の下で、学びました。

その理由は、よく分かりませんが、

“ 作曲は、教えられるものではなく、自分で学ぶものである ”

という考えによるものかもしれない、とは、

私の、個人的な感想です。


★フェルディナントは、ベートーヴェンの「ハ短調 ピアノコンチェルト」を、

自らのカデンツァで初演し、成功を収めました。

この出版社の創設者であるフランツ・リース(1846~1932)は、

このフェルディナント・リースの弟の子、即ち、甥に当たります。


★フランツ・リースの設立した出版社から、フンパーディンク(1854~1921)、

プフィッツナー(1869~1949)や、

ヴァイオリン教則本で有名な カール・フレッシュ(1873~1944)などが、

世に出ています。

2代目のロベルト・リースは、戦前のドイツ音楽出版社界での重鎮でした。


★私はこれからも、作曲に励むと同時に、アナリーゼ講座を通して、

「 普遍性をもった音楽 」の読み取り方、楽しみ方を、

ご一緒に探求していきたい、と思います。


★バッハの音楽が、なぜ、いまに至るまで、世界の人々に、

愛され続けているのか、

それは、地域の民俗音楽ではなく、

普遍的価値をもっているからです。

日本人でも、その楽譜だけで、彼の音楽を読み取り、

味わい、楽しみ、表現(演奏)することができるのです。


★ドイツの別の出版社からも、最近、

私の『 3台のチェロのための曲集 』を、出版したい、という、

お手紙をいただきました。

もっとも、嬉しかったことは、「 I like them 」(あなたの作品が好きです)

と、書かれていたことです。

なんと、率直な言葉でしょう。


★私は、なんといっても 「 I love BACH 」 です。

      
                        (早咲き桜)
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