■名曲を聴く楽しみ、パレナン四重奏団 Ravel& Debussy ■
2015.5.5 中村洋子
★今日は端午の節句、
牡丹が満開、新緑と薫風に酔いしれます。
美味しい粽もいただきました。
★先日、フランスFranceで活躍されているcellistチェリストから、
お手紙をいただきました。
私の「 無伴奏チェロ組曲 全6曲」の楽譜を手に、
Wolfgang Boettcher ベッチャー先生演奏のSACDを、
お聴ききになっている、そうです。
★「You composed something of extra-ordinary.
This music is very very fascinating.
I can concentrate on your music,
I will take it into my repertoire,
and play at next concert.」
「素晴らしい曲を作曲されました。この無伴奏チェロ組曲に集中し、
私のレパートリーとして、演奏したい」
と、書かれていました。
嬉しいことです。
★5月は「アナリーゼ講座」をお休みいたします。
今月の課題は、まず、
「Inventionen und Sinfonien インヴェンションとシンフォニア」の
全15曲を、「一つの大きな曲」として見直す作業に取り組みます。
さらに、私の作品の作曲も進めます。
その合間合間に、真に価値ある演奏を聴くという、
楽しみに浸ります。
★お手紙を下さったcellistがお書きになったように、
本当に価値ある演奏のCDを、
楽譜をじっくりと眺めながら、聴くことは、
愉悦といってもいいと、思います。
★華やかな宣伝文句、しかし、空疎な音楽フェスティバルに、
出掛ける気には、なかなかなりません。
★いま、聴いています曲は、次のようなものです。
1)Quatuor Parrenin パレナン弦楽四重奏団
「Maurice Ravel Quatuor à Cordes en fa Majeur
Claude Debussy Quatuor à Cordes en sol Mineur」
1969年録音 (WPCS 12807)
2)Bach Matthäus-Passion Günther Ramin 1952年録音
Christ Lag In Todesbanden BWV 4 1950年録音
Archipel desert island collection (ARPCD 0278-3)
3)Bach English Suite No.3,4,6 Sviatoslav Richter
1991年録音 (UCCD 9947)
★Quatuor Parrenin の録音は、音質もいいです。
Maurice Ravel モーリス・ラヴェル(1875~1937) の四重奏は、
彼が20代後半の作品ですが、第1楽章の冒頭を聴きますと、まさに、
Gabriel Faure ガブリエル・フォーレ(1845~1924)の、
弟子という印象です。
★Celloによる、4度 motifの連続した畳みかけ、
それにかぶさるように、第2violinが10度音程(1オクターブと3度)で、
同じ motifを演奏していきます。
しかし、これを単純な「重音」とみるのではなく、
「Bach的音楽手法」で、考えるならば、
どのような意味をもってくるのでしょうか?
それを考え、追求しながら聴くことが、音楽の醍醐味、
楽しみは尽きません。
★「Bach的音楽手法」を、引き合いに出しましたが、
France近代音楽の始祖は、間違いなく、
Frederic Chopin ショパン (1810~1849)です。
Chopinが、Franceで後半生をおくり、Franceを活動の場としたこと、
即ち、Bachの種をFranceに深く蒔いた、
といっても過言ではありません。
★その Chopin に続くcomposerとして、
Chabrier シャブリエ(1841~1894)、
Saint-Saëns サン=サーンス(1835~1921)、
そのSaint-Saënsの弟子で、後には親友となった、
Gabriel Faure ガブリエル・フォーレ(1845~1924)。
そのお弟子さんがRavel、というようにつながっていきます。
★例えば、 Gabriel Faure の Piano works ピアノ作品をみますと、
nocturne、 impromptu、valse・・・。
これは、 Chopin の Piano works と全く同じです。
★ Chopin とBach との関係は、
当ブログで絶えず書いてきましたので、お分かりと思いますが、
Chopin の作品の根本原理である「Bach の作曲技法」が、
五月の薫風のような青年Ravelの作品に、しっかりと根付いていた、
ということが、Ravelが大作曲家となった所以でもあります。
★しかし、どんな名曲でも、素晴らしい演奏で聴かない限り、
“心奪われる”ことはありません。
このQuatuor Parrenin パレナン弦楽四重奏団の演奏は、
お薦めです。
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