■銀座「山野楽器」3F楽譜売場で、≪ベーレンライター平均律「解説書」付≫を特集■
2017.11.15 中村洋子
★北国では初雪の便り、山々には初冠雪、
次々と、冬の便りが聞かれます。
★銀座「山野楽器」本店3F、楽譜売場で、
私が「解説書」を書きました
≪ベーレンライター原典版「平均律第1巻」解説付き楽譜≫が、
平台で大きく、展示されています。
「解説書」のサンプルも手に取ってご覧になれるよう、
準備されています。
★私の著書の≪クラシックの真実は大作曲家の「自筆譜」にあり!≫や
≪ベーレンライター「ゴルトベルク変奏曲 :クラヴィーア練習曲集第4部≫
日本語解説付も、同様に展示されております。
銀座にお立ち寄りの際は、どうぞご覧ください。
★「霜の花」という、美しい日本語があります。
私が作曲しました「無伴奏チェロ組曲第2番第4曲」は、
「霜の花」を、頭に浮かべて書きました。
この言葉は、真っ白に積もった霜のはかない美しさを、
花に譬えています。
★この楽譜は、
「Musikverlag Ries & Erler Berlin リース&エアラー社」から、
出版されていますが、当然、日本語の表記はありません。
ただ、表紙はもの珍しいのか、漢字がデザインとして使われています。
http://shop.rieserler.de/product_info.php?info=p2917_suite-nr--2-fuer-violoncello-solo.html
http://www.academia-music.com/html/page1.html?s1=Nakamura%2CY.&sort=number3,number4,number5
http://www.academia-music.com/shopdetail/000000154722/
★「霜の花」をそのまま訳しても、ドイツ人には何のことか
分からないでしょう。
英語で「Frosty Flowers」としても、同様に意味をなしません。
そこで、いささか情緒には欠けますが、
「Frostige Nacht - Frosty Night」と、しました。
これが最も直截な訳といえましょう。
★霜が降るのは、しんしんと冷えた夜。
翌朝、美しい霜の花が咲き、朝日に輝きます。
それもつかの間です。
★是非、楽譜を見ながら、CDをお聴きください。
http://diskunion.net/diw/ct/list/0/72362809
http://diskunion.net/diw/ct/detail/1006437641
★出版された楽譜、それも自分の作品を手書きで写す、
ということは、なかなか面白い体験です。
★Bachは65年の生涯で、出版された曲はごく僅かでした。
これにつきましては、私の平均律第1巻「解説書」の
18ページを、お読みください。
★Bachが生前、自らの意思で出版した
「Goldberg-Variationen ゴルトベルク変奏曲」は、
「Manuscript Autograph 自筆譜」が行方不明です。
同じく生前出版の「Italienisches Konzert イタリア協奏曲」も、
自筆譜は失われています。
二つとも、彫り師Engraverに渡した「自筆浄書譜」が、
不明ということです。
★作曲家は、自分の曲が出版されますと、安堵するものです。
たとえ自筆譜が不明でも、出版物により、その作品は確実に
生き残るからです。
★Bachがそうであったかは、断定できませんが、
出版により、その作品の生命が保証されたと、思うことは、
間違いではないでしょう。
★そのような見方からしますと、生前に出版されなかった
「Wohltemperirte Clavier 平均律クラヴィーア曲集」の自筆譜を、
Bach本人、そして息子たち家族やお弟子さんたちは、
出版されるまでの約50年間、
どんな思いで大切に扱っていたかは、想像に難くありません。
★その自筆譜にこそ、平均律の心髄が宿ることは、
言うまでもないことです。
それをどう理解し、演奏や鑑賞に活かすかを、
今回出版されました、私の「解説書」に詳しく、書きました。
★私は、生活環境にクラシック音楽がほとんどない環境で、
育ちました。
しかし、1980年代ごろまでのNHK/FM放送は、現在と異なり、
クラシック音楽に対して、畏敬にも似た尊敬と愛情をもった方々が、
担当されていたと、思います。
クラシック音楽の放送時間もとても長く、歴史的な名演奏なども
熱意ある解説とともに時折、放送されていました。
それらを聴くことで、知らず知らずのうちに、
クラシック音楽の基礎的知識が、身についていきました。
服部幸三先生の「バロック音楽の楽しみ」や、
河本喜介先生の、フランス歌曲に対する、
愛情溢れたお話は、いまでも懐かしく、耳に焼き付いています。
★しかし、最近はどうでしょうか?
孫引きを淡々と読み上げるだけの、若い解説者のお話からは、
「クラシック音楽はなんて素晴らしいのだろう!」という、
情熱や感動は伝わってきません。
取り上げられる演奏家も、“いま売り出しの”という類ばかりです。
現代の若い世代の方々は、“どう勉強していいのか”
分からないのではないかと、心配になります。
★クラシック音楽の魅力に、目と耳と心を奪われ、
もっと深く知りたい、学びたいという方に対し、
「独学」、つまり「自力」で、
平均律の勉強法が習得できることを願い、
私は平均律第1巻「解説書」を、書きました。
★ここで書きました、「自筆譜の読み方」を、ご自分で応用され、
是非Bachの圧倒的な、音楽の豊かさを味わっていただきたい、
と思います。
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