■佐川泰正さんの漆器 と 湯島・つる瀬の雛霰(ひなあられ)■
10.2.23 中村洋子
★先日、肌寒い風にもめげず、
新宿御苑前の 「 龍雲庵 」まで出掛け、
「 漆宝堂 」さん主宰の、佐川泰正さんの漆器で、
ミニ懐石を味わう会に、出席して参りました。
★そのお人柄のように、佐川さんの漆器は、
“ 威張った ” ところが、微塵もなく、
しっとりと手に馴染み、とても使いやすく、
それでいて素朴な美しさがあり、私は毎日、愛用しております。
★特に、普通より小ぶりに作られた、檜のお椀は、
すっぽりと、やさしく掌に納まります。
炊きたてのご飯を、少し盛りますと、
真っ黒な漆の表面に、湯気がさっとさし、
お米の白さが、一層際立ちます。
墨絵の世界のようです。
★懐石のお料理は、味わってしまうが惜しいような、
色彩り豊かな料理でした。
「 雲子ポン酢 」 の味わいに、特に感動しました。
塩で揉み洗いした真鱈の白子を、
昆布だしのおつゆで茹でる、のだそうです。
★やや線が細く単調ともいえる、白子の美味しさに、
昆布の旨みをかぶせることにより、
奥行きのある、深い “ 重奏的 ” な味が、生まれて出ていました。
添え物の黄金色の雲丹を合わせますと、さらに円熟。
★「聖護院大根、鱈の子、巻湯葉揚げ煮、菜の葉、蕨の炊き合わせ」
も、懐石の王道を行く味わいでした。
冬の味覚と、春の先駆けとの美しい出会い。
★「もずく と なめこの雑炊」も、
洗練と繊細さの極みのような、一品でした。
出汁は一瞬、味が付いていないかと、思うほどでした。
しかし、出汁を意識させないかのように、軽く抑えてありました。
その出汁の軽い旨みの上で、もずくとなめこ、さらにお米が、
それぞれの味わい、持ち味を存分に出して踊り、
舌を、楽しませてくれます。
★最後の「甘酒」は、麹の香りがゆったりと漂ってきます。
酒粕も、合わせてあり、
その味わいは、濃密、豊潤、大人の甘酒でした。
★「もずく と なめこの雑炊」が盛られたお椀は、
佐川さんの、新作です。
普通のお椀より、高さが少々高く、
さらに、口を付けるところが、薄手にしてあり、
外側に少し、湾曲しています。
これが、佐川さんの見事な創意です。
★その結果、片手でお椀を持ちますと、薄手のところが、
エッジが張るといいますか、
親指に軽く食い込むように、当たります。
それが、実に心地好く、手で持っていることが楽しくなります。
★料理の説明をしていただきました「 龍雲庵 」の後藤紘一良先生も、
この新作椀を「とても素晴らしい」と、お褒めになっていました。
ご自身も、これを求められたそうです。
★写真のお椀が、その新作椀です。
もうすぐ、雛祭りです。
湯島「つる瀬」の雛霰(ひなあられ)を、盛りました。
もち米を煎って爆ぜさせた「はぜ」という、フカフカのお米や、
とりどりの豆に、赤、白、黄、緑色のお砂糖が、まぶしてあります。
色彩感、やさしい上品な甘さ、
江戸の香りが、伝わってきます。
(佐川さんのお椀と、つる瀬の雛霰)
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲
10.2.23 中村洋子
★先日、肌寒い風にもめげず、
新宿御苑前の 「 龍雲庵 」まで出掛け、
「 漆宝堂 」さん主宰の、佐川泰正さんの漆器で、
ミニ懐石を味わう会に、出席して参りました。
★そのお人柄のように、佐川さんの漆器は、
“ 威張った ” ところが、微塵もなく、
しっとりと手に馴染み、とても使いやすく、
それでいて素朴な美しさがあり、私は毎日、愛用しております。
★特に、普通より小ぶりに作られた、檜のお椀は、
すっぽりと、やさしく掌に納まります。
炊きたてのご飯を、少し盛りますと、
真っ黒な漆の表面に、湯気がさっとさし、
お米の白さが、一層際立ちます。
墨絵の世界のようです。
★懐石のお料理は、味わってしまうが惜しいような、
色彩り豊かな料理でした。
「 雲子ポン酢 」 の味わいに、特に感動しました。
塩で揉み洗いした真鱈の白子を、
昆布だしのおつゆで茹でる、のだそうです。
★やや線が細く単調ともいえる、白子の美味しさに、
昆布の旨みをかぶせることにより、
奥行きのある、深い “ 重奏的 ” な味が、生まれて出ていました。
添え物の黄金色の雲丹を合わせますと、さらに円熟。
★「聖護院大根、鱈の子、巻湯葉揚げ煮、菜の葉、蕨の炊き合わせ」
も、懐石の王道を行く味わいでした。
冬の味覚と、春の先駆けとの美しい出会い。
★「もずく と なめこの雑炊」も、
洗練と繊細さの極みのような、一品でした。
出汁は一瞬、味が付いていないかと、思うほどでした。
しかし、出汁を意識させないかのように、軽く抑えてありました。
その出汁の軽い旨みの上で、もずくとなめこ、さらにお米が、
それぞれの味わい、持ち味を存分に出して踊り、
舌を、楽しませてくれます。
★最後の「甘酒」は、麹の香りがゆったりと漂ってきます。
酒粕も、合わせてあり、
その味わいは、濃密、豊潤、大人の甘酒でした。
★「もずく と なめこの雑炊」が盛られたお椀は、
佐川さんの、新作です。
普通のお椀より、高さが少々高く、
さらに、口を付けるところが、薄手にしてあり、
外側に少し、湾曲しています。
これが、佐川さんの見事な創意です。
★その結果、片手でお椀を持ちますと、薄手のところが、
エッジが張るといいますか、
親指に軽く食い込むように、当たります。
それが、実に心地好く、手で持っていることが楽しくなります。
★料理の説明をしていただきました「 龍雲庵 」の後藤紘一良先生も、
この新作椀を「とても素晴らしい」と、お褒めになっていました。
ご自身も、これを求められたそうです。
★写真のお椀が、その新作椀です。
もうすぐ、雛祭りです。
湯島「つる瀬」の雛霰(ひなあられ)を、盛りました。
もち米を煎って爆ぜさせた「はぜ」という、フカフカのお米や、
とりどりの豆に、赤、白、黄、緑色のお砂糖が、まぶしてあります。
色彩感、やさしい上品な甘さ、
江戸の香りが、伝わってきます。
(佐川さんのお椀と、つる瀬の雛霰)
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲