今日のエンドロール

10点満点の採点つきで年間約120本。観る前も観たあともクスッと笑えるレビューをお届けします。

疾走 5

2006-02-01 01:03:51 | タイムリーヒット
確かに走っちゃいるけど…。

SABUさんは好きな監督の一人、そして重松清も好きな作家の一人だ。どちらも新作が出たと知ると本を買い、劇場に足を運ぶ俺だけに期待はしていた。でもだいぶ昔に読んだあの「黒重松」なドロドロ世界をどうやって表現するのか?疑問もあった。

結果を言ってしまうと、水で薄めた激辛カレーのような作品だった。
原作の重厚でどんよりした世界観のままではとてもエンターテインメントにはなりようがない。そこでエロやグロいシーンをカットしたりして薄めてはいるけど、そこに少年の行動の裏づけがあったりするので話がよくわからなくなってしまっている。
さらに若いお客さんを呼びたかったのか、「最近よくニュースになる」グループの兄ちゃんを主役に起用していたけど、ビックリするくらいヘタ。ドラマの中のセリフならまだしも、あんなに下手で観客を萎えさせるナレーションは初めて聞いた。演技は初めてらしいが理由になるレベルじゃない。あれはギャラ泥棒、未成年飲酒よりタチ悪いわ。
そして結局できたのは、理由なく転落していく少年の寂しげな逃避行&恋物語。公式サイトを見たら重松さんが褒めてて驚いたけど、それはベースが全て頭の中にあるからこそ。映画だけみても薄っぺらい上澄みしかわかりませんよ、あれじゃ。

それでも劇場をでたら落ち込んでしまい、ちょっとの間誰とも話したくない気分になったのは、薄めてもまだ存在感のある原作の力強さのせいなんだろうか?

自分の作品の中で主人公をひたすら走らせ続けてきたSABU監督だけど、今まではこんな暗い道じゃなかったはず。次回作では写真の彼あたりを走らせてほしいけど、ジャニーズとの付き合いが濃いのがちょっと気になる。
コメント
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