最近、物忘れがひどくなった。
僕はもともと迂闊で間抜けな人間なのだが、
このごろは特にその傾向が強まっているみたいだ。
この1週間で、スポーツジムで3回も忘れ物 (あるいは落し物) をした。
まず最初は、バスタオルとゴーグル。
ジムから帰ってリュックの荷物を出すと、バスタオルとゴーグルが見当たらない。
水泳をしたあと風呂に入り、着替えて帰るというのがいつものパターンなので、
風呂の脱衣場でバスタオルを忘れ、ゴーグルもそこへ置いてきたのだろう。
翌日、受付のカウンターでスタッフにそのことを伝えた。
若い女性スタッフは僕に、どんなバスタオルとゴーグルかを尋ね、
「少しお待ちくださいね」と言って奥の部屋に入って行った。
しばらくして彼女は、バスタオルをわんさと抱え持ってきて、
「バスタオルの忘れ物はすっごく多いんですよ。この中にありますか?」
「あ、ありました。これです」
自分のバスタオルには特徴があったので、すぐにわかった。
しかし、それより大事なものが…
「え~っと、ゴーグルのほうはなかったですか?」
と僕が尋ねると、
「ゴーグルは、ですね、ちょっと、こちらではお預かりしていませんねぇ」
との答えだった。ふ~む。残念。
バスタオルは出てこなくても、ゴーグルには出てきて欲しかったんだけど。
次に忘れたものは、傘だった。
バスタオルとゴーグルを忘れてわずか2日後だったので、
カウンターで「あのぉ、きのう、傘を忘れてなかったですか?」
と聞くのも、なんだか恥ずかしかった。
「あっ、また、おたくですかぁ?」 な~んて言われそうで。
しかしまぁ、そういうことも言われず (言うわけありませんが)、
傘の柄に名前を貼ってあったこともあり、すぐに手元に戻って来た。
3度目の忘れ物は、その翌日だった。
ま、忘れ物というより、落し物だけど。
この日、ジムの帰りに直接モミィを幼稚園に迎えに行く予定だった。
7月に入り、幼稚園での保育が午前11時半に終了するようになったので、
マウンテンバイクではなく、子供専用座席のついた自転車でジムへ行き、
その帰りに幼稚園に寄ってモミィを乗せて帰宅するという段取りであった。
いつもより早いめにプールを切り上げ、時計とにらみっこしながら、
風呂の後、服を着て、ドライヤーで髪を整え、リュックを背負った。
あまり早く幼稚園に着きすぎると、暑い中をじっと待たなければならない。
それを避けるため、ピッタリに到着する時間を見計らってジムを出る。
もちろん、遅れては絶対にダメなので、そこは要注意だ。
自転車置き場へ行き、自転車を出そうとした。
そのとき、ハッとした。
「え~っ? まさか」
ポケットに入れていたはずの自転車の鍵がない。
どのポケットを探しても、ない。
ロッカーの中に落ちているのかも知れない。
僕はあわててエレベーターに乗ってジムに戻った。
ロッカールームまで走り、自分が入れていたロッカーを開けた。
何もなかった。
「うわっ。えらいこっちゃ。幼稚園に遅れる!」
時計を見ると、11時25分を数分過ぎていた。
ここから幼稚園まで自転車で5分近くかかる。
しかもその自転車は、鍵が見つからない。
脱兎のごとく、とはこういう状態を指すのだろう。
僕は全速力で自転車置き場まで戻り、
自転車を邪魔にならない場所に寄せておき、
幼稚園に向かってダダ~ッと走り始めた。
運の悪いことに、この日僕は運動靴ではなく、ゴム草履を履いていた。
大きなリュックを背負い、ペタンペタンと音を立てて疾走する。
照りつける日差しにも、暑いだとかナンだとか言っている場合ではない。
「あぁ、やっぱり、時間には余裕を持つべきだなぁ」と悔いながら走った。
汗にまみれて幼稚園にたどり着いた時、11時半を3~4分過ぎていた。
園児たちがちょうど門のところへ出てきたところだった。
「あぁ、間に合った。よかった~」
へなへなとその場に座り込みそうになった。
鍵のスペアが家にあったので、昼から自転車を取りに行った。
翌日、またもジムのカウンターのスタッフに、
「あのぉ、すみませ~ん」 と声をかけたのだが、
「えぇ! またですかぁ~」 と言われそうなので、視線をそらせたまま、
「こんな形でこんな色のついた自転車の鍵を落としてなかったですか?」
と尋ねたら、スタッフは 「これですか?」 と、すぐに持ってきてくれた。
「ロッカールームの隅のほうに落ちていたそうですよ」 とスタッフの女性。
「あ、どうも、ありがとうございました」 と頭を掻きながら、鍵を受け取った。
あ~ぁ。 1週間に3回もこんなていたらくだもんね。
自分でもつくづくイヤになる。
近ごろ 「うっかり」 がひどくなったな~と嘆いているうちはまだマシだ。
しかし、こんなことを繰り返しているうちに、本当にボケてしまうのではないか?
僕は、数ヶ月前に買ったまま、まだ読んでいなかった1冊の本を思い出した。
さっそくこの本を棚から取り出し、読み始めた次第である。
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