昨日、夏期休暇をもらって1日家でくつろいだ。
午前中、モミィを連れて散歩しているとポケットの携帯電話が鳴った。
「もしも~し」と僕。
「もしも~し。あぁ、どうしたん? さっき役所に来たら、休んでいるということやったから。どこか、からだの具合でも悪いの?」
知り合いの、1歳年上の市議会議員さんである。
「いや、どこも悪くないですよ。夏休みをもらってゆっくりさせてもらってます」
そう僕が答えると、相手は、
「なんで? なんで休むわけ? きょうは一杯飲みの約束した日やろ」
「え…???」
「24日に行こうと言うてたがな。あの話、忘れたんか?」
「24日でしょ? 覚えてますよ、ちゃ~んと」
「ほんなら、なんで休んだりするの? 夜だけ出てくるのか?」
「あのねぇ」と僕は携帯を握りなおした。
横で、2歳9ヶ月のモミィが、
「でんわやでぇ。でんわやでぇ。だれからやろねぇ。だれからやろねぇ」
と、ぴょんぴょん跳ねながら、一人大声を張り上げている。
この子は、地声が大きいのである。
その姿を目で追いながら「何を言うてはるんですか?」と僕は続ける。
「きょうは23日ですよ、23日。飲み会は、明日ですがな」
ゆっくりと、はっきりと、相手にわかりやすいように、そう言った。
「うっ………」
と、言葉が途切れ、5秒ほど沈黙があった。
「もしも~し」と僕が声をかける。「24日は、明日ですよ~ん」
「ほんまか…? 今日は24日と違うのか…? ほんまか…?」
電話を切ったあと、突然僕は不安になって携帯の日付を確認した。
間違いない。今日は7月23日である。
まったく、人騒がせな議員さんである。
お昼はモミィを連れて、妻と3人で近くの和風レストランへ行った。
「昼膳」が豪華な割には値段が安いので、店はほぼ満席であった。
僕らが出るころは、椅子に座って待っている人たちもいるほどだ。
平日の昼にこういうところへ来るのは初めてだけど、周りを見ると年配の女性グループが多い。このおばさんたちは、こうして普通の日に、おしゃべりを楽しみながら、豪華な昼食を食べているのだなぁ。夫は今ごろ、社員食堂で500円の定食を食べているのかも知れないっていうのに。
「昼食は 妻がセレブで 俺セルフ」というサラリーマン川柳があったっけ。
午後からは、モミィは、病院へアレルギーの定期検診に行った。
僕は、先週の3連休用に4本のDVDを借りており、お通夜やお葬式があってまだ2本を見ていなかったので、午後からそれを見た。
1本は「孤独な嘘」というタイトル。ジャンルは、サスペンス。
いきなり自転車に乗った男性が何者かの運転する車にはねられて死んでしまうところから映画が始まったので、「ふむ。なかなか、スピーディな展開になりそうだ」と、心弾ませて見た。しかし、そのあとは夫婦のいさかいとか、妻の浮気とか、夫の葛藤とかの描写に終始し、何だかわけがわからないうちに映画は終わった。
「な~んだ、これは?」
どこがサスペンスなのだ。ツタヤは、作品のジャンルを間違ったところにこのDVDを置いていたのではないか。ちっともサスペンスじゃなかった。見終わったあと、カックン、となった。
次の1本に期待をかけた。
「隣人は闇に潜む」というタイトルの、これもサスペンス(のはずだ)。
ティム・ロビンスが不気味な役を演じた「隣人は静かに笑う」という映画と間違えそうなタイトルである。
しかし、これも…
「隣人は闇に潜む」というわりには、隣人はいきなり主人公の家族の前に顔を出して、いかにも怪しい言動をする。特に、美人の妻のほうに近づいてくる。ちっとも闇に潜んでいない。だいたい、タイトルがいけない。隣人が善人を装いながら家族に接近し、最後に襲いかかってくる…ということは、タイトルを見たら一目瞭然である。あとは、その隣人が、どう本性を暴露していくかというプロセスを確かめていくだけである。いや、ひょっとしたら、隣人を悪者に見せかけて、実はそうではなかったという「あっと驚くどんでん返し」が最後に待っているのかも知れぬ、とわずかな期待をかけてはみたが、ラストは「な~んだ、やっぱり」的な、平凡な終わり方であった。隣人が死に、パトカーが駆けつけてきたところで「ジ・エンド」という使い古されたパターンの映画であった。
しかし、まあまあ、そんな感じで…
のんびりと夏期休暇を過ごした昨日の僕なのでありました。
深夜、東北地方でまた大きな地震があったようです。
さっき、知ったところです。
被害を受けられた方々に、心からお見舞いを申し上げます。