もういい加減にトイレから離れなければならないと思いながら、PCの前に座るとまたトイレのあれこれが頭の中を飛び回り、他のことが浮かんでこない。なんとも困ったことである。夜中にトイレの夢を見て、おねしょでもしたらえらいことだ。
おねしょといえば、自慢するわけではないが、僕は小学生の半ばまでおねしょをしていた。
「ほんまにもう困った子や。いつになったら、なおるんやろなあ~」
と、母が深いため息をつきながら、おしっこに濡れた敷布団を眺めていた。
まあ、そんなことはどうでもいいのですが。
パリ旅行から帰って、何やかやと整理をし、ブログも5月中ずっとその旅行記にかかりっきりで、ようやく一段落ついた。この辺で話題も一新したいのだが、どうしてもまだトイレについて書き足らないことがあるような、すっきりしない(残尿感?)気分であるが、それはそれとして、きょうは新聞や出版物の「誤記」について書いてみたい。
10年ちょっと前まで、6年間、僕は広報の仕事に携わっていた。
僕が勤める市の人口は13万人ほどで、世帯数は5万余り。各家庭に配布される広報も5万部以上印刷されるわけである。しかしまぁ、刷り上って納品されてから、誤記とか印刷ミスなどが見つかった場合は真っ青になる。字の間違いなど小さなミスは知らんぷりを決め込むが、行事の日時や場所を間違うと大変である。一度、確定申告の日時と場所を、担当員が前年の記事の内容をそのまま使うという大きなミスをしたときは、目の前が真っ暗になった。「お詫びと訂正文」を5万部刷って、各町会長さんに「申し訳ありません。もう一度これを配布してください」と平身低頭でお願いをして回った。えらい紙の無駄使いをしてしまったものだ。「まったく、公務員はたるんどる」と、市民に痛罵されても仕方がない不始末であった。
あるときは「年金に関する電話相談コーナーを設けました」という記事を出した。その電話番号が、実際の番号と下一桁が間違っていた。間違ったその電話番号は、市民であるAさん方の番号といっしょだった。
広報が各家庭に届いた日、さっそくAさんから苦情の電話がかかってきた。
「今朝からうちの電話が鳴りっぱなしや。何やと思たら、年金の相談やて。広報になんでうちの電話番号が書いてあるねん。どないしていくれるねん!」
超特急でその家に走り、お詫びの言葉もなく、ただ頭を下げて、その人の怒りの収まるのを待つのみであった。
住民生活に直結する広報であるが、作っているのは素人の職員である。
それなりに研修を積んだり、業者からアドバイスを受けたりはするが、なかなかノーミスを貫くことは難しい。印刷物を発行するというのは本当に大変なことであることを、広報にいるときは身に沁みて感じたものである。
東京都のある区政だよりの2月号にこんなのがあった。
新星人 区内に9千人(どこの星からやってきたのだ? 9千人も)
こんな見出しがつくと、写真の晴れ着姿の20歳のお嬢さんたちが気の毒だ。
しかし、こういうのを見ると、他人事とは思えない。
プロの作る一般新聞も、よく間違いをしている。
毎日のように訂正分がスミのほうにごく小さく掲載されている。
ま、プロも人間である。完璧というものは、めざしていても叶うものではない。
こんな見出しがあった。
「殴られ重体の老人死ね」(上毛新聞)
殴られて重体だった老人が死んだという記事であろう。
しかし「死ぬ」が「死ね」となっている。「ぬ」と「ね」を間違えた。
殴られ重体の老人、死ね
怖ろしい見出しである。びっくり。
4月に新入社員たちが社会人として第一歩を踏み出したときの見出しに、
期待と不安を脳に とあった。
まあ、脳で期待と不安を感じるのも間違いじゃないでしょうけど…。
次は札幌で、これも老人が車にはねられた。その時の見出しは
札幌 はねられてお年寄り というものだった。
お年寄りがはねられたことは何となくわかるが、
「はねられた拍子に年寄りになったんか?」
な~んて「深読み」する人もいるのである。
凝った見出しは誤解を生むので、ここは素直に「札幌 お年寄りはねられる」でしょうね。「はねられてお年寄り」って、なんだか「飛んでイスタンブール」っていう感じで、歌の題名みたいだぞ~ん。
誤解を生む見出しといえば、いろいろあります。
よく、「らも」という言葉が使われます。
「党員らも賛成」とか「役員らも辞任」とかね。
故中島らもさんが逮捕されたとき
「中島らも逮捕」という見出しが踊った。
中島さんという人と、ほかに誰かが逮捕されたのかと…。
しかし、誤記も笑いごとでは済まないことがあります。
昔、「明治大帝」を「明治犬帝」と誤記した大新聞があり、社長以下すべての幹部が辞職したということである。
最近では静岡新聞が、「英皇太子」のことを「英臭太子」と書いたが、こちらのほうはお咎めなし。英国の皇族は、漢字読めないもんね。
ちょっとアダルト系ではこんなのがある。
サッカーのカズの談話→「僕は入れるだけ」
一橋大の能楽研究会に関する見出し→「女子大生がシテ」
政界の見出し→「やったか」と各党「ほんの入口」と幹事長
ちょっと考えすぎですか。失礼しました。
…と書きながら、やっぱりトイレの話が気になる。
またも、最後はトイレで締めくくり。新聞誤記とは全然関係ありません。
パリ道中記では書かなかったけれど、あるレストランで食事を済ませ、帰り際にトイレの場所を尋ねると、店の女性が「こちらです」と案内してくれた。「メルシー」と入りかけたら「ぱれぴれぷれぴれぴれれれれ!」と中からマダムが叫んだのであやうく腰を抜かすところだった。マダム、鍵くらいかけておいてよ~ん。
その話は、昨日のyukariさんからいただいたコメントを読んで思い出したのだ。
お腹を抱えて笑ったので、もう一度ここでご紹介したいと思うのですが。
そのコメントによると、yukariさんは、昔、新幹線のトイレの中で…
鍵をかけ忘れて…あぁ~、これ以上僕には書けない。書けません。
まだお嫁入り前のレディなのに、そんなことを僕が書いたらセクハラぢゃ。
昨日のyukariさんのコメント、まだお読みでない方はぜひ…。
メチャクチャ笑ってしまいますよ。
本当に、yukariさんって人は、笑わせ名人です。
ではyukariさん。
明日、大手前病院でお会いしましょう。