ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

2023年2月24日。ウクライナ侵攻から1年

2023-02-24 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
  2023年2月24日。
 ロシアがウクライナに侵攻してちょうど1年です。
 ベラルーシのメディアは特にこれといった特集番組は報道していません。
 ただ、この1年で、8万4000人のウクライナ人がベラルーシに避難してきたと報じています。
 日本へは2000人超ですね。
 そこへこんなニュース。昨日付の毎日新聞から。
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 ロシアによる侵攻を受けたウクライナから逃れた学生たちと、前橋市内で日本語学校などを運営する学校法人との間で学費を巡るトラブルが起きていることが、関係者への取材で判明した。一部の学生らは「事前に一定期間は学費無料と説明されていたのに、その期間内から支払いを求められた」と主張。一方で、学校法人側は「(そうした)契約も約束もない」などとしている。一部の学生は既に東京都内の学校に移るなどしたという。
 学生らに住まいとして市営住宅を提供し、一部への教材費補助を決めている前橋市もこのトラブルを把握。学校法人との話し合いに疲れて心身の不調を訴える学生もいるとして、精神保健福祉士や保健師を派遣している。
 この学校法人は「ニッポンアカデミー」で、運営する日本語学校などで2022年5月以降、ウクライナから避難してきた学生の身元保証人になり、計約40人を受け入れている。
 複数の学生によると、来日前に学校法人の関係者から日本語学校や専門学校の案内をメールで受け取った際、行政の支援を前提に「学費は無料」などと書かれていたという。無料期間は「1年」や「半年」と伝えられたとしている。
 しかし学校法人側は9月、学生の来日時期にかかわらず学費を請求すると連絡した。10月に説明会があり、配布された資料では理由について「(当初の案内は)最大の支援の可能性として提示した内容で、契約でも約束でもなく、意向」などとしている。
 学校法人側は学費の支払いについて、学校に入金▽学校法人理事長が代表を務めるNPO法人の活動資金として入金▽ウクライナ大使館または日本赤十字社へ学生名義で学校を通じて入金――のいずれかを選ぶ案を提示した。
 ある学生は10月分から半年の学費として約30万円を求められたといい、別の学生は「学生証ももらっていない状態なのに、学校法人から学費を払うように何度も求められ、精神的に疲れた」と話した。
 また資料では、学生らがこうした内容を口外しないように求めており、「仮に、それ(学校の立場に対する配慮)を守れないとするならば、保証人としての立場も返上しなければならない」などと記されている。
 これに対し、一部の学生は東京都内の弁護士法人に所属するウクライナ人弁護士に相談。弁護士によると、これまでに聞き取りに応じた16人はいずれも「一定期間は学費無料と説明された」と話したといい、「第1陣は1年、第2陣は半年、それ以降は3カ月などと言われたようだ」としている。
 学校法人の理事長はこれまでの毎日新聞の取材に「無料にすると言った覚えや契約、約束もない」と説明。学校法人の関係者が来日前の学生らとメールでやり取りをしたことは認めつつ「学生には前橋市などから支援金が支給され、アルバイトも紹介した。十分に自立しており、有償は当然だ」としている。
 前橋市は22年4月、個人で避難してきたウクライナ人に学費30万円などを支援する方針を表明。しかし、その後は「日本語学校が身元保証人となる場合の支援金は10万円を上限とする」とし、学校法人にも説明したという。この方針について、理事長は「前橋市が30万円を支援すると言って、それを果たさない方が問題だ」と話した。
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 そして今日付のNHKのニュース記事の抜粋です。
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「NIPPONACADEMY」の清水澄理事長は24日夕方、県庁で記者会見を開きました。
 この中で「はるかに裕福な人で自立ができているにも関わらずそれ以上の支援を行えば“こじき”になってしまう。自立という部分について具体的な説明が足りなかったかもしれないが、避難民としての常識的な判断がもう少しできるかと思っていた。ただ、残念ながら一部の人はできていなかった」と述べました。
 一方、清水理事長は会見で「ウクライナの人たちの支援の状態は、はっきり言って難民貴族だ。ものすごく真面目にやっていて頭の下がる人もいるが、お金を払わないで牙を向ける学生もいる。『牙を向けた学生の言い分が正しい』となっている社会の現状はおそろしい」と述べました。
 清水理事長はこの発言の真意について記者団から問われたのに対し「ウクライナの学生は家賃や税金、渡航費もただの中で、アジアの人たちはみんな自分でお金をまかなっている。アジアの人と比べたら、お金を持っているのは事実だ」と述べました。
 学生たちの相談に応じてきた東京の弁護士法人の村尾龍雄弁護士はNHKの取材に対して学生の一部がすでに東京の語学学校に移ったり身元保証人を変えたりしたことを明らかにしました。
 そのうえで「ロシアによる侵攻で傷つけられ日本を頼って来日した学生たちがなぜこのような目にあうのか、とても許しがたい。学生たちから法律上の依頼があれば対応していきたい」と話していました。

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 コロナのせいで、日本語学校は経営が苦しくなっているのです。
 ベラルーシで細々と日本語を教えている私のところにも、「学生さんに案内してほしい」と入学勧誘のメールが日本にある日本語学校から届くのです。
 HPを見たら、定員100人のところ、30人しか学生がいない日本語学校もありました。
 一応、この日本語学校は授業料はこれぐらいですよと生徒に話してあります。が、平均的な収入しかないベラルーシ人では学費を捻出できません。
 今回ニュースになっている日本語学校も、ウクライナ避難民が入学してきたら、前橋市が授業料を出してくれる、つまり収入が増えると最初は浮足立ったのではないでしょうか。
 とにかく戦争から遠く日本へ避難してきたウクライナ人に日本の学費を払えというのは無茶です。

 今、日本に避難しているウクライナ人はやっぱり帰国するか、それとも長期滞在を念頭に置いて、就職などに本腰を入れるか判断を迫られている人も多いと思います。
 後者の場合、日本語ができないと就職が難しいので、日本語の勉強をしないといけませんが、日本語学校に行くのは効果的です。そのあたり、地方自治体などが学費を出して、避難者支援としてほしいです。まあ、地方自治体によってはいろいろ難しいのでしょう。だったら、ウクライナを支援すると表明している日本政府が負担すべきですよ。日本は武器をウクライナに供与できないのだから、せめて避難民の日本語学習支援をすればいいのに。
 日本人のすぐ隣に日本語のわからない無職の外国人が住んでいる社会より、日本語を日常生活レベルで理解できて、真面目に働いている外国人が住んでいる社会のほうが、日本人にとっても得なのに、と思います。もう少し政府がしっかりしてほしいですね。地方自治体に負担を丸投げしているから問題になるのでは?と思います。
 日本とウクライナは友好国なのでしょ?

 それにしても、この日本語学校の理事長の発言ですが、他のメディアでは、ウクライナ避難民を乞食扱いしていて「(アジアからの留学生と比べるとウクライナ人避難民は)自立ができてる人がそれ以上やったら乞食でしょ」「避難民に対しての理解が甘かった」などと話しています。
 避難民に対しての理解が甘かった、じゃなくて、儲け話だと思ってた自分の考えが甘かった、のまちがいでは?
 避難先の国の言葉を真面目に勉強しようとしている外国人の存在は、逆にありがたいものだと思うのですが。日本に住んでても日本語を勉強しようとしない外国人だって大勢いますよ。
 (あーあ、侵攻から1年目の節目の日にどうして、日本発のこんなお粗末な報道記事を読んでるだろう、私・・・と思いました。)


 ウクライナにおける包括的で公正で永続的な平和を訴え、ロシア軍に対して即時完全無条件撤退を改めて求める決議案を国連総会が採択しました。
 賛成141、 棄権32、 無投票13、 反対はたったの7か国でロシア、ベラルーシ、北朝鮮、エリトリア、マリ、ニカラグア、シリアです。
 ウクライナ側がロシア侵攻による犠牲者への黙とうを呼び掛けると、ロシア国連大使は異議を唱え、「すべての犠牲者のために」と加えてから黙祷が捧げられました。

 前線に立つロシア兵士の中には病気休暇を得るために自分の足に銃を撃ち、恐怖と家族に入る補償金のために自死を選ぶ人もいるそうです。


 中国は、ロシアとウクライナの双方に対し「互いに歩み寄り、できるだけ早期に直接対話を再開することを支持する」と表明し、全面的な停戦を目指すよう呼び掛けました。
 ロシアが使用をちらつかせる核兵器について「使用や威嚇には反対すべきだ」と表明。生物化学兵器についても「いかなる国がいかなる状況においても、研究開発や使用することに反対する」との考えを示しました。

 ロシアが、中国企業とドローンの購入をめぐり協議しているとドイツメディアが報じたことについて、中国政府は「紛争地域に対するいかなる武器販売もしない」と軍事兵器の提供を否定しました。ドイツがフェイクニュースを流していると主張しているのと同じことですね。
 中国も国際社会の中であまり信用がないのですが、今後どのように出るか気になります。

 
 ポーランド大統領は今日、同国が保有するドイツ製の主力戦車レオパルト2を保有国として初めてウクライナに引き渡したと明らかにしました。