ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

2023年2月15日。ウクライナ侵攻から358日目

2023-02-15 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年2月15日。
 ミンスクは雪が溶けてきました。
 対ウクライナ国境地帯で勤務していたベラルーシの国境警備隊員が凍結したドニエプル川の上にいたところ、氷が割れて1人の隊員が水中に落ち、それを助けようとした隊長もいっしょに溺死する事故が起きました。

 昨日のバレンタインデーのニュース。
 日本からベラルーシのゴメリに住む女性宛に送られてきた小包の中に「向精神薬トローチ200個が入っていた」とミンスクの中央郵便局税関当局が発見。
 小包の中には他にも化粧品、医薬品、お菓子以外の食品も入っていたそうです。
 キャンディーのパッケージを見た職員が、不審に思い検査したところ、
 向精神物質であるN-メチルエフェドリンが含まれていることが明らかになりました。
 ベラルーシの刑法によると、違法性薬物の越境、運搬、輸送は最高4年間の禁固刑または最高7年間の懲役を課せらる可能性があります。

 さて、このトローチなのですが、税関当局がパッケージの画像をネット公開しています。
 それを見たら、第一三共ヘルスケアの「ペラックスイート」ブルーベリー味のトローチでした。
 第一三共ヘルスケアのHPを見たら、特徴として「せきの症状を改善するdl-メチルエフェドリン塩酸塩、殺菌成分セチルピリジニウム塩化物水和物等を配合し、せき、のどの痛みに効果を発揮します。」とあります。
 N-メチルエフェドリンとdl-メチルエフェドリン塩酸塩はどうちがうのか?と思って調べてみました。
 このN-メチルエフェドリンが何なのかはっきり分かりませんでしたが、エフェドリンは覚醒剤の原料になるそうで、含有量が10%を超えて配合されたメチルエフェドリンは覚せい剤取締法の対象になります。
 エフェドリン自体は漢方薬の麻黄に由来していて、気管支拡張剤として利用される側面もあります。
 その薬効をよりマイルドにした誘導体がdl-塩酸メチルエフェドリンで、気管支拡張剤や風邪薬として使用されています。
 それでこのトローチにも含まれているというわけですね。
 しかし、それがなぜ違法性薬物として取り締まられることになったのか。
 個人的にはこのエフェドリンを「マイルド」にしたdl-塩酸メチルエフェドリンという表現がどれぐらいマイルドになっているのかという点ですが、化学に弱い私には分かりません。

 ニュース記事によると、今回の小包の中にこのトローチが200粒入っていたということです。
「ペラックスイート」は1箱24粒入りなので、8、9箱を一度に発送したということでしょうか。
 第一三共ヘルスケアのHPによると、12粒中に含まれるdl-塩酸メチルエフェドリンが37.5mgなので、計算したら、200粒で625mgです。
 覚醒剤の原料となりうるエフェドリンを「マイルド」にしたdl-塩酸メチルエフェドリンを625mg摂取したら、人体はどうなるのか? いわゆるラリった状態になるのか? ・・・とうちの子(医大生)に尋ねたのですが、「別に症状なんか出ない量。そもそも一気にのど飴200個も食べられる?」とあきれ顔。
 というわけで、日本のみなさん、のど飴でオーバードーズしようとしても効果は得られません。
 たぶん一度に大量に送ったので、ベラルーシで不審に思われたのでしょう。
 そして「マイルドな」dl-塩酸メチルエフェドリンが大量に含まれていたことから、ベラルーシ側が検査したらN-メチルエフェドリンが出てきたという結果が出て、「覚せい剤が日本からベラルーシへ送られてきた。」というように聞こえるニュースになって広がる・・・ということになりました。
 日本人の私からすると、日本の会社が覚せい剤をのど飴に混ぜているわけないでしょ。と思いますし、おそらく送った人は善意で日本のど飴をベラルーシ人に郵送したのに、法律違反の疑いまでかけられ気の毒です。受取人側の女性が警察の取り調べを受けるんでしょうか。のど飴が送られてきただけで。

 私のこの記事を第一三共ヘルスケア関係者が読んで気を悪くされたら申し訳なく思います。
 ただ、ベラルーシへ何か物(特に口にするもの)を送るときは、内容に気をつけるほうがいいです、と日本陣向けのこのブログで言いたいです。
 のど飴を送っただけで、覚せい剤取締法違反になる可能性があります。
 それと内容だけではなく数量にも気をつけてください。一度に同じ種類のものをたくさんつめて送ることは避けたほうが無難です。