ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

2022年10月15日。ウクライナ侵攻から235日目

2022-10-15 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2022年10月15日。

 厳しかったコロナによる日本への入国が規制が緩和され、円安の影響もあって、訪日外国人観光客が増えたと今日の日本のテレビのニュースで報道されていました。有名観光地での外国人観光客への街角インタビューで、ロシア人観光客が写っていて、マスクをしていたけれど笑顔で、「日本のアニメや漫画が好きだからよく見ていた風景があって興味深い。」『ナルト』とか『ドラゴンボール』とか・・・と話していました。
 私の心が狭いのでしょうが、見ていて気分が落ち込みました。
 理由はいろいろありますが、まずこれをウクライナ人が見たらどう思うのだろう?と考えたからです。今のウクライナ人は観光どころではありませんよ。ずっと命が危険にさらされているのに。
 次に、インタビューで答えていたロシア人は男性で、年齢は取材されているわけではないので分かりませんが、動員対象にはなっていないの? と疑問を感じました。対象外の人? もしかして在日ロシア人なのに「訪日した外国人」だとして報道されたのかと勘ぐってしまいました。 
 もう一つの理由はロシア人に日本外務省は観光ビザを出しているのに、ベラルーシ人には出していないことです。

 ウクライナ人避難民を受け入れている日本。
 ロシア人には戦争当事者なのに、観光ビザを出す日本。
 日本とロシアの外務省の間には、外交官の国外退去命令の応酬がありました。このような険悪な関係になっているけど、ロシア人には観光ビザを出すのは、それだけ経済効果のためにロシア人に日本へ旅行に来てほしいということですね。
 じゃあ、ベラルーシ人には観光ビザを出さないのはなぜ? 外交面でベラルーシと日本の間には外交官を国外に出すという事例は(今のところ)起こっていないのに、ベラルーシ人には観光ビザは出さない理由は、コロナの感染がベラルーシでは収まっていないからだそうです。ロシアは収まっている国だから観光ビザをあげられるんだそうです。
 ではベラルーシでコロナが収まっていないと判断している根拠は何? ベラルーシの病院の内部事情に日本政府は詳しいのですか。ちなみにもう3ヶ月以上、ベラルーシ政府から国内感染者数の公式発表はありません。

 今年の12月実施の日本語能力試験ですが、ウクライナは日本大使館がキーウに戻ってきたものの、9月が申込締切なので、受験者募集そのものが中止されました。ウクライナで今年は日本語能力試験は行われません。
 ベラルーシはそもそも12月は試験がなく、1年に1回、7月のみです。
 ロシアは、日本語能力試験の公式サイトを見たら、もう半年以上、12月の試験は「実施するか検討中」と表示されています。9月の過ぎてもう10月も半ばなのに、はっきり「中止」と決定しておらず、「検討中」のままです。
 ロシア人の観光客に日本のビザをあげるぐらいなら、12月にロシアでの日本語能力試験を実施してください。と国際交流基金に言いたいです。ロシアで実施されるとはっきり決まれば、ベラルーシ人もロシアへ越境受験に大勢行きますよ。ベラルーシはもう3年連続中止なんですから。
 
「(侵攻を受けた)ウクライナでは日本語能力試験は戦時下でとてもできないんですよ。それを差し置いて、(侵攻した側の)ロシアやベラルーシで試験の実施はできないでしょう。」
と言って、自分の生徒を慰めていましたが、今日、ロシア人が観光ビザをもらって、日本で楽しく旅行している姿をニュースで見て、考え方が変わりました。
 日本は侵攻した側であるロシア人が日本旅行できる可能性をあげ、ウクライナ避難民を気の毒にと国内に受け入れているのに、ベラルーシ人に日本語能力試験受験の機会すらくれないんですか?
 せめてロシアで今年12月の試験を実施してほしいです。ベラルーシ人が受験しにロシアまで行きます。
 
 
 国際原子力機関事務局長は、ザポリージャ原発の職員がロシア国営原子力企業ロスアトムとの新たな雇用契約を結ぶよう強制されていることを明らかにしました。


 ロシア軍が合同部隊に参加する名目でベラルーシ領内に入り、ゴメリ地域に集結しているそうです。
 もっとも、合同部隊に配属されるロシア兵は約1000人とされているので、全体からするとわずかです。
 ベラルーシ軍兵士のほうが多く、主流です。
 ゴメリ地域に集まっているということはこれから、ウクライナの北側の国境地帯で陣取るということですが、ここで国境を越えてウクライナに侵攻すると、非常に大きな問題となります。ベラルーシにとってです。

 ベラルーシ国内で活動する民間の軍事情報監視団体「ガユン」は昨日、ベラルーシ軍の旧ソ連製T72型戦車が14日だけで少なくとも22台、ロシア国境方向へ運ばれるのが確認されたとしています。過去1週間でロシアに向けて運ばれた同型の戦車は計67台。そんなにロシアに戦車が不足しているのでしょうか。
 それでいてロシア軍はベラルーシで合同部隊を結成しようとしていますが、兵士の頭数は揃えても、戦車はベラルーシに残っているのでしょうか。


 ロシア国防省は今日、ベルゴロド州に位置する西部軍管区の演習場でテロがあったと発表しました。犯人は独立国家共同体(CIS)のいずれかの国出身の2人とみられていますが、一部報道ではタジキスタン出身の男性二人のようです。
 ロシア国防省はこれをテロ攻撃と発表していますが、実際にはウクライナにおける特殊軍事作戦へ参加する志願兵の訓練中(火災時の消火訓練をしていたそうです)に発生しているので、無関係のタジク人がここにいたというのは考えられません。この二人も志願兵だった可能性が高いです。
 犯人2人は部隊の人員に向かって自動小銃を乱射。11人が死亡し、15人が重軽傷を負いました。ロシア軍からしたら貴重な人材ですよ・・・。
 犯人はその場で「反撃により排除」されたとしていますが、要するに射殺されたということですね。
 犯人の数は3人で、そのうち2人は射殺され、1人は逃亡中という情報もあります。
 どちらにせよ、気が狂った人の単独の犯行ではないので、予め計画していたことのように思われます。
 テロなどではなく、志願兵として訓練場まで来たものの、いざ前線へ送られたら戦死する可能性が非常に高いことに不安になり、タジク人同士で脱走しようと計画して、失敗したというのが真相のような気がします。

 
 タジキスタンと言えば、昨日タジキスタン大統領がカザフスタンで開かれたロシアと中央アジア5カ国の首脳会議で、ロシア大統領に対し、
「旧ソ連時代のように中央アジア諸国を扱わないでほしい」「旧ソ連時代、中央アジアの小国は(ソ連指導部から)関心を向けられていなかった」「ロシアはタジクを食糧面や貿易面で支援してくれているが、その半面、対等な態度も示していない」「多額の資金援助はいらない。われわれを尊重してほしい」
とロシアは旧ソ連時代のような小国軽視の政策をとるべきではないと訴えました。
 勇気があるというか、今だからこそ発言できる内容なのか。ベラルーシに住む者として胸に刺さる言葉です。

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