ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

2022年10月14日。ウクライナ侵攻から234日

2022-10-14 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2022年10月14日。ベラルーシでは今日は母の日です。

 ベラルーシ野党リーダー、チハノフスカヤ氏はベルギーで記者団の取材に対し、
「全世界がウクライナ国民と団結している今この時に、ベラルーシ軍がこの戦争に参加するなど想像できない」
と述べました。
 というニュースを読んで、少し安心していたら、ベラルーシの独立系メディアはベラルーシ大統領が極秘に国民を動員する方針を決めたと伝えました。
 ・・・このように日本語のニュースになっている状況では全く「極秘」になっていないと思うのですが、読んだ途端、こちらの体の具合が悪くなりかけました。
 今日ベラルーシ外相は、ロシアメディアのインタビューで、
「対テロ作戦体制が国内に導入された。」
と述べました。
 導入の理由として「複数の近隣諸国がベラルーシを侵略しようとしている情報がある」などと主張。
 これは前々から繰り返しベラルーシ政府が主張していることです。本当なのかどうかは大事ではないのです。こういう発言を何のために繰り返しているのかが重要なのです。

 対テロ作戦体制が導入されると身元確認のための逮捕や盗聴、あらゆる通信の制御など幅広い権限が治安部隊に与えられるとみられます。
 確かに対テロ対策になりますが、反政府派の一般人の監視もしやすくなります。

 カザフスタン大統領は今日、首都アスタナで行われたロシアと中央アジア5カ国の首脳会議の席上で、旧ソ連圏での国境に関する問題は、
「もっぱら平和的な手段で解決されるべきだ」「友好と信頼の精神で、さらに国際法の原則と国連憲章の順守によって解決されねばならない」
と発言しました。

 アスタナでは今日、旧ソ連諸国でつくる独立国家共同体(CIS)の首脳会議も行われ、ロシア大統領は、第二次世界大戦終結から80年となる2025年に「ナチズムに対する団結」をCISが宣言するよう提案し、各国の同意を得ました。
 また「旧ソ連の諸国民がナチスから人類を救った」と主張し、ウクライナ侵略(特別軍事作戦)を「ネオナチとの戦い」だとしており、各国に軍事行動への理解を求めようとしたようです。

 クリミア大橋への爆破以降は、ナチズムというより「テロとの戦い」と方針転換しています。ある意味このほうが単純明快で国民の理解も得られやすいですね。
 ベラルーシも同様に「対テロ作戦体制が国内に導入された。」と今、外相が発言しているわけです。
 ノルドストリーム・パイプラインのガス漏れもテロだそうですし。

 ベラルーシが「ウクライナがこっちに攻めてきそうなので、国境地帯に兵を置く。」と言うと(言うだけで)ウクライナ側はベラルーシ国境地帯に軍を配置しないといけません。
 そうするとウクライナの北側にも軍を送ることになるので、東や南の兵力が弱まってしまう。それは予備兵30万を補強したロシアにとって優位になるから、ベラルーシはロシアを助けたことになる、ということだと思います。
 こういう形でもいいから、ロシアを支援するよう、ベラルーシは要請されているのかもしれません。

 ただ、私はいつも思うんですが、今はもう21世紀ですよ。冷戦時代、映画の見すぎだったのかもしれませんが、私は第3次世界大戦というのは、核兵器やその他高性能の科学技術の高い兵器で行われるようになるので、軍事技術の高い国が戦争で勝つ、そして、兵器の発射ボタンを押すのが戦争の新しい形になると思っていました。
 つまり大勢の兵士が手に銃を取って、戦車にのって移動するということはもうしなくなると思っていました。
 それなのに今でもやれ、20万人動員した、もうすぐ30万人になる、軍服が足りないなどと報道されるので、ああ、結局兵士の数で勝敗とは決まるものなのか、戦争は・・・などと驚いています。

 っもし、ベラルーシ軍がウクライナ領内にまで踏み込んで攻撃を公に始めたら、国際的な批判を浴び、NATOがぽランド経由で介入してくる可能性があります。ベラルーシは後ろから突かれているようなものなので、とてもロシアの言うとおりにウクライナに派兵することはできません。兵力、軍事力ともにロシアの助けにはならないし、NATO軍には軍事力で太刀打ち全くできません。援軍をロシアに頼んでも、ロシアはベラルーシを助ける余裕はないでしょう。ロシアは当てにならない状態で、ベラルーシが軍を積極的に動かすのは非常にリスクが高いです。
 
 ベラルーシでも予備役兵の「動員」が始まった、という噂が流れましたが、実際には、予備役兵になれる条件の男性について、徴兵所が呼び出して、有事の際にすぐに連絡できるように、住所が変更になっていないかといった確認作業にすぎませんでした。
 「赤紙」が来たと徴兵所に行って、恐る恐る「ベラルーシでも動員が始まるんですか。」と尋ねたら「ベラっルーシでは動員はない。」と説明を受けたそうです。

 前からベラルーシでは法律が決まっています。もし、動員のための徴兵を回避すると、それに対する罰は、2 年から 7 年の懲役刑。今のロシアの法律より罰則がましですね。
 また動員ではなく通常の兵役義務(18歳から27歳の男性が対象)を回避すると、罰金刑、または逮捕、あるいは 2 年間までの自由の制限、または同じ期間の懲役を規定しています。
 兵役義務を逃れるためにわざと自傷行為をする、仮病、文書の偽造などを行った場合、5 年以下の自由制限または懲役によって罰せられます。

 ロシア大統領は「(目標の)30万人のうち22万2000人が既に動員済みだ」とアスタナでの会見で述べました。
 今後2週間で30万人完了させる予定だそうです。
 さらに「追加動員は計画されていない」とも述べ、総動員を行うのではないかという予想を否定しました。

 ウクライナとの対話に「われわれは常にオープンだ」と発言しましたが、これも「ウクライナから折れて歩み寄ってきたら、停戦の話し合いをやってもいいよ」という態度です。ウクライナ大統領が、話し合いなんて無理だと頑ななたいどであるのが、よくない。(ロシアは正しい。)と言いたいのでしょう。
 またロシア大統領は「ウクライナを破壊することを(軍事作戦の)目標に掲げていない」とも主張しました。私はそんな冷血ではないというイメージづくりの発言かもしれません。
 占領してロシア領にしました、でもその地は爆撃でボロボロ、これから経済力の落ちたロシアがどうやって復興していくのでしょうか。

 ロシア大統領は記者団に対し、「今は大規模な攻撃の必要はない。今は他の仕事がある」と語りました。よかったです。これからもテロ撲滅のために、どんどんウクライナ爆弾を落としますよという発言よりずっとよいものです。
 ほかの仕事って何でしょうね。
 ロシア大統領によれば。「彼ら(ウクライナ)は徐々に終わりを迎えている」そうなので、大規模爆撃などしなくていいという考えなのかもしれません。


 イケアはロシア国内で雇用している1万2000人の従業員のうち1万人を解雇しました。
 また、フランスの食品大手ダノンは14日、乳製品と植物由来製品部門のロシアからの撤退を明らかにしました。事業は第三者に譲渡するとしていますが、相手は明らかにされていません。ベラルーシで売られているダノンのヨーグルトはロシアの工場で作られて輸入されていたので、これからベラルーシでも食べられなくなりそうです。雇用などはベラルーシには影響ありません。


 動員の後、ロシアからカザフスタンへ100万人が出国・移住したという情報がベラルーシで流れています。どれぐらいこの数字が正確なのかは分かりません。また、男性だけの数字ではありません。
 

 ロシアのベルゴロド市の変電所がウクライナ軍による攻撃を受け、火災が発生したと同州知事が発表しました。市内では大規模な停電が発生しているそうです。

この記事についてブログを書く
« 2022年10月13日。ウクライナ... | トップ | 2022年10月15日。ウクライナ... »

ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報」カテゴリの最新記事