ベラルーシの部屋ブログ

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車いす女性のミスコンテスト、初の世界大会 優勝はベラルーシの女子大生

2017-10-08 | ベラルーシ文化
車いす女性のミスコンテスト、初の世界大会 優勝はベラルーシの女子大生

【10月8日 AFP】ポーランドの首都ワルシャワ(Warsaw)で7日、車いす女性のミスコンテスト「ミス・ウィールチェア・ワールド(Miss Wheelchair World)」が初めて開催され、ベラルーシ出身の学生、アレクサンドラ・チチコワ(Aleksandra Chichikova)さん(23)が優勝した。

 車いす女性による世界規模のミスコンは今回が初めて。決勝には18か国から24人が参加し、工夫をこらした振り付けとともに民族衣装やイブニングドレス姿を披露。最終的に大学で心理学を学んでいるチチコワさんが第1回ミス・ウィールチェア・ワールドに選ばれた。2位は南アフリカのレボハン・モンヤチ(Lebohang Monyatsi)さん、3位は地元ポーランドのアドリアンナ・ザワジンスカ(Adrianna Zawadzinska)さんだった。栄冠に輝いたチチコワさんは、自分の中にある不安や恐れと闘うことが大切だと語った。

 コンテストの目的について、大会の共同創設者で審査委員長も務めるカタルジュナ・ボイタシェク・ギナルスカ(Katarzyna Wojtaszek-Ginalska)氏は「車いす女性のイメージを変え、彼女たちがその側面だけで判断されないようにすることだ」と述べ、世界の多くの地域では車いすはまだぜいたく品であることもこのコンテストを通じて知ってほしいと付け加えた。ボイタシェク・ギナルスカ氏自身も車いす女性だ。

「ミス・ウィールチェア・ワールド」は、ポーランドを拠点とするNGO「オンリーワン・ファウンデーション(Only One Foundation)」の主催で行われた。

 参加女性はそれぞれの国でのコンテストで優勝した女性だが、国内大会が行われていない国ではオンリーワン・ファウンデーションが指定したNGOが選考した。参加者らはワルシャワで8日間にわたりリハーサル、写真撮影、会議出席、訪問などぎっしり詰まったスケジュールをこなした。

 初開催となった今回の大会ではアンゴラ、ベラルーシ、ブラジル、カナダ、チリ、フィンランド、フランス、グアテマラ、インド、イタリア、メキシコ、モルドバ、オランダ、ポーランド、ロシア、南アフリカ、ウクライナ、米国の女性たちが決勝に進んだ。(c)AFPBB News

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よいニュースですね。アレクサンドラさんの笑顔が素敵です。
 参加者を「車椅子女性」と限定しているのが、かえって差別だ、とか差別を助長しているとかいう意見もありますが、納得したうえで、みなさん出場を決めていると思いますよ。

 ベラルーシ国内でのニュースはこちら。(ロシア語です。)

 これによると、アレクサンドラさんは子どものころは元気で、社交ダンスを習っていたほどだった。
 しかし17歳のときに、自宅の3階で内装工事を行っていたときに、床材から突き出ていた部品にうっかりつまずいてしまい、バランスを崩して、開いていた窓から外に落下・・・。
 背中から落ちたため、脊髄を損傷してしまい、医者からは一生歩くことはできませんと告げられる。4ヶ月間入院していたが、退院後車椅子生活へ。
 
 来年大学を卒業予定で、専攻は心理学。劇場で舞台に出演したこともあり、大型スーパーマーケットのインフォメーションでも働いているそうです。

 ベラルーシは障碍者に対する福祉政策はちゃんとあるほうです。しかし、「ヨーロッパのもっと進んでいる国」と比べると、設備面などがまだまだ足りていません。例えば道路の段差などは改善があまりされていないので、車椅子での移動は大変だと思います。北国で冬場の足元も悪いです。

 もっと便利で快適に使える性能のいい車椅子の開発・・・なども国内ではほとんど行われておらず、いい車椅子を買おうと思ったら、外国からの輸入品・・・となるのですが、そうすると一般ベラルーシ人にとっては高価なので買えません。
 それと日本にありがちな「障碍のある子どもはいらない。(死んでもいい。)」「障害児の行く末を悲観して親子心中」といった考えはベラルーシにはないのですが、(今日読んだ記事。「手足の指6本の奇形で生まれた赤ちゃん、「人工呼吸器からはずして」と父親が…」)前述のように車椅子に優しくない道路が多いなどの理由もあり、また身体障碍者自身の精神的なもの(いわゆるがっかり感が大きい人が多い)も相まって、ベラルーシ人障碍者の外出頻度は低いです。

 ベラルーシより「ヨーロッパの進んでいる国」に行ったとき、いろんな障碍者の人たちが、人目なんか全く気にしないという感じで、大勢町の中に出ている姿を見て、ああ活発で生き生きしているなあと思ったことがあります。
 そんなベラルーシで、アレクサンドラさんがミス車椅子ワールドで優勝したことはすばらしいことで、ベラルーシ社会に一石を投じるきっかけになってほしいなあと思いました。  
 
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