ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

江戸川乱歩朗読会「赤い部屋」

2023-04-21 | 日本文化情報センター
 ナイトミュージアムという世界的なイベントがあるのですが、ナイトライブラリーというものもあることをご存知ですか?
 日本では個々の図書館が企画するのかどうか決めるのですが、ベラルーシでは毎年4月に文化省から指示されたいくつかの図書館でナイトライブラリーを行います。
 今年はミンスク市立中央児童図書館が指定されました。通常は午後7時で閉まる図書館を9時まで開けて、それぞれのコーナーでイベントをします。
 日本文化情報センターではナイトライブラリーということで、日本のミステリー小説を朗読することにしました。
 江戸川乱歩の「赤い部屋」を選んだのですが、それは日本文化情報センターに作品に出てくる赤い円卓があるからです。
 
 朗読会の前にできるだけ赤い部屋に近づけるため、照明の光が赤くなるようにしたり、赤いろうそくを立てたり(本物ではなく電池式のキャンドル)しました。
 朗読を聞きに来たのは日本文化情報センター日本語教室の生徒で、ミステリーが好きな人たち。朗読したのも生徒の一人であるY子です。
 大正時代の作家っぽい格好をしたいということで、男物の袴姿でしたが、どちらかと言うと明治時代の書生さんみたいで、江戸川乱歩先生っぽくはなかったですね。
 
 朗読が始まるとみんな引き込まれていました。そもそもこの話は、赤い部屋に集まった人たちが不思議な話を聞くというものなので、赤い部屋らしく見せた日本文化情報センターで聞く乱歩ミステリーという趣向だったのです。
 朗読会の後、「あまり怖くなかった。」と言う人もいれば「怖かった。」と言う人もいました。
 (一応児童図書館内なので、あんまり怖い話や残酷なシーンが出てくる話は扱えないのです。同じ乱歩でも「芋虫」などは今のベラルーシでは発禁処分対象ですね。もっとも「芋虫」はロシア語に翻訳されていませんが。)

 朗読会が終わった後は、日本のミステリー小説の本を興味を持ってくれた人たちに貸し出しました。
 実は普段は児童図書館向けではないという本は、閉架で保管していて、大っぴらに宣伝、貸し出しできないのです。
 しかしナイトライブラリーではそれができたので、よい機会に恵まれたと思いました。
 朗読会前にロシア語訳江戸川乱歩作品集の新装丁版が出版されたので、チロ基金の予算で購入しました。
 チロ基金支援者の皆様にもお礼申し上げます。
 またこのような機会に恵まれましたら、(あまり子ども向けではない)日本文学の紹介をしたいと思います。

 


 
 

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