ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

2021年11月16日。壁

2021-11-16 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2021年11月16日、国境地帯の難民問題が続いています。森の中で野宿をしている状態の難民の健康状態は悪化する一方です。ベラルーシ側の病院には病人が搬送されていますが、今日だけで1人の患者が重体と診断されました。
 今夜の9時、ミンスクでは気温が1度。国境近くの森の中ではもっと気温が下がっていると思います。
 11月で夜もどんどん長くなっているし、難民の健康状態はもちろん精神状態も心配です。

 ベラルーシ大統領はグロドノ州に、国境近くの物流センターに2000人の難民をとりあえず収容するよう命じました。

 ポーランド政府は国境に150キロの長さの壁を建てることを決定。不眠不休で建設するそうです。
 ベルリンの壁を思い起こさせます。
 ポーランド政府は、この壁の建設費用の半分はベラルーシ政府が負担せよ、と言っていますが、まあ、ベラルーシは同意しないでしょう。

 一方でポーランドはこの1日で200人の不法入国者がいたと報道しました。

 日本人ジャーナリストも現地で取材を始めましたが、そのとたん、現地日本大使館から在ベラルーシ邦人に、国境に近づかないようにという注意喚起メールが一斉送信されました。もうこの国境問題が深刻化して何日経っているんだか・・・。そもそも夏からこの難民問題は続いていますよ。

 昨日、ドイツのメルケル首相とベラルーシのルカシェンコ大統領が難民問題について電話会談を行いました。 
 難民を支援する必要性について1時間近く話し合ったそうです。そうそう話し合いは大事だよ・・・と思われますが、エストニアなどからは、これはドイツがベラルーシの大統領はチハノフスカヤ氏ではなく、ルカシェンコ氏であることを認めたことになると批判しました。
 ちなみに昨年8月の大統領選挙後、ルカシェンコ大統領が西側の指導者と話し合いの場を持ったのはこの電話会談が初めてです。

(日本人の感覚からすると分かりづらいですが、昨年の大統領選挙はルカシェンコ氏の当選は無効であり、新大統領はチハノフスカヤ氏であると主張している人も一定数いて、そういう人たちは、ルカシェンコ氏を前大統領と呼び、チハノフスカヤ現大統領と呼ぶので、話をしているとき、「今、誰のこと言ったの?」と噛み合わなくなってしまうときがあります。私はこのブログではベラルーシの大統領はルカシェンコ氏としており、チハノフスカヤ氏を現大統領とはしていません。)

 ドイツは先にポーランドと話し合って問題解決を図るべきだったという意見もあります。
 しかし、再びドイツとベラルーシの2回目の会談も行われる可能性が高いです。
 早く対応策を打ち出さないと、難民の間で死者が増えてしまいます。すでに8人が国境地帯でしぼうしたこ
 また今日はロシア大統領とベラルーシ大統領も電話会談を行いました。

  ベラルーシ政府は難民に3トン分の食料を配布しました。それでも足りていないそうなので、どれほど多くの難民が立ち往生しているのかと気が遠くなります。

 ポーランド政府は、ベラルーシ側が難民に手榴弾(ただしスタングレネードなので殺傷能力はない)を渡しており、それで国境を突破しようとしている、としており、また投石によって、ポーランド警察に負傷者が出ているため、ベラルーシ政府を厳しく批判しています。
 
NATOは対ウクライナ国境にロシアが軍を増強していることに対して、ウクライナ側に経つことを表明。ポーランド政府はNATOに難民流入問題について、同盟国として対応策を協議すべきと要請。NATOもこの問題に触れる用意があると表明しました。
 穏やかに解決する方向に向かってほしいです。


 
 

 

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