ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

ハーフはロシア語で何ていうのか調べてみた

2015-11-19 | ベラルーシ文化
 前回の投稿記事でいわゆる混血の人のことをハーフ(半分)と呼ぶのはちょっと・・・別な表現ないですかね? といったことを書きました。

 ちなみに英語では I’m half japanese and half american. というように、半分日本人で半分アメリカ人です、と両方言うのが正しいそうです。
 50%足す50%で、100%になる表現だから、ハーフであってもいいと思います。
 日本人が言うところのハーフは「半分は日本人として認める」というニュアンスがあるので、あまり好きではないです。

 その後そういやロシア語ではどういうのか、少々気になりました。

 ロシア語で混血児のことを ребёнок смешанного происхождения と言うそうです。
 長いよ! こんな言葉使ったことないです。
 ちなみに混血児が成長して大人になると、ребёнок の部分を человек に変えないといけない。めんどうくさー

 和露辞書によっては混血の人のことを метис と訳しましょう、としているのもあるのですが、これは厳密に言うと正しくありません。

 метис(メティース)というのはメスチソのことで、混血であってもヨーロッパ人とインディオ(ラテンアメリカの先住民)のことを指します。
 しかもロシア語のメティースには犬などの動物の「雑種」の意味もあります。
 そしてロシア語に名詞に性があるので、ヨーロッパ人とインディオの混血の人でも女性だったら、メスティスカ と呼ばれます。めんどうくさー

 日本人とウクライナ人の混血はこれに当てはまらないので、うちの子はメスティスカではありません。

 さらにヨーロッパ人とアフリカ人の間に生まれた混血の人は、男性だと、мулат ムラート、女性だとムラートカと呼ばれます。

 ついでですが、インディオとアフリカ人の間に生まれた人は、самбо サンボとロシア語で言うのですが、ロシアにはこのタイプの混血の人は非常に珍しいので、言葉としてほとんど浸透していません。ロシア人にとって、самбоとは柔道に似たスポーツの名称です。

 しかしロシア語の場合混血の種類によって、混血児と言っても全部名称が違ってくるんですね。
 
 ここで知りたいのは、ヨーロッパ人とアジア人の混血の場合は何ていうのかです。
 私の夫も友人も「・・・知らない。」「そういうタイプの混血は少ないから、名称がない。」という答えばかり。

 そうか、ちょうど当てはまる言葉がないんだ。
 ・・・と思って長年あきらめていたのですが、私は見つけましたよ!
 
 ヨーロッパ人とアジア人との混血の人はロシア語で евразиат エヴラジアート と言うのです!
 女性だと エヴラジアートカ ですね。

 ロシア語の евро は日本語でユーロと訳すので、евразиат もユーラジアート と訳してもいいですね。そのほうが発音しやすい。

 この言葉、お気づきになった方もいるでしょうが、ユーラシア大陸人という意味があるのです。
 ヨーロッパ大陸プラスアジア大陸、というニュアンスです。

 ヨーロッパ人とアジア人との混血の人にとってはぴったりではないですか? 

 ハーフ(半分)というより、ユーラジアートカ、というほうが、何だかイメージが広々してますよ。

 決めた。今日からうちの子のことは、ハーフとか混血とか言うのをやめて、「ユーラジアートカです。」と言うようにしよう!

 ・・・と思ったのですが・・・言葉が持ついい面は、それでコミュニケーションが取れること、そして悪い面はその言葉が広く浸透していないとコミュニケーションに使えない、ということです。

 ちゃんとロシア語にエヴラジアートという言葉があるのに、私の周囲のベラルーシ人(夫も含む)は知らないし・・・ サンボのように浸透していない言葉なんですね・・・
 とほほー

 「うちの子はエヴラジアートカです!」と言ってもベラルーシ人からは「はあ?」という反応しか返ってこないのか・・・

 いや、あきらめないぞ! これからこの言葉を広めるのだ! 

 がんばります!

 日本でもハーフはやめてこれでいいんじゃないですか?
 え、ユーラジアートカというロシア語は舌かみそう?

 だったら、もっと簡単にユーラシアンでいいのでは?

 ベッキーもユーラシアンタレント。
 滝沢カレンもユーラシアンモデル。
 滝川クリステルもユーラシアン女子アナ。

 このほうがハーフよりイメージがいいと思いません?
 
 でも「それじゃあ、アジア系とアフリカ系のハーフの場合はどういうのか?」と言われそうなので考えてみました。
 分かりやすく「アジアフリカン」でどうでしょうか?

 同じ発想で、(日本では少数派だし「ムラート」のままでいいと言う人もいるでしょうが)ヨーロッパ系とアフリカ系の混血は「ユーラフリカン」。

 もっと細かく言えば、アジア系とアラブ系の混血は「アジアラビアン」。
 アジア系とアメリカ系との混血は「アメラジアン」。

 それじゃあ、日本人と中国人といったアジア人同士の混血の場合はどうするのか?
 「アジアジアン」・・・だと変ですかね。
 この場合は「ダブルアジアン」でもいいかも・・・

 こんなの細かすぎる、めんどうくさい、簡単にハーフに代わる名称はないのか? という意見に対しては、ミックスでいいかな・・・と思います。
(でもミックスは料理の名称みたいでいやだ、という場合には「ミックスド(Mixed)」にして差別化を図るほうがいいかもしれません。 英語で「私は混血です」というのは「I'm mixed.」になるので。)

 勝手に1人でいろいろ考えてみましたが、当事者の意見が優先されますよ。
 
 それでうちの子との会話
「ねえ、Yちゃん、ハーフって言われるのと、ミックスって言われるのと、ダブルって言われるのと、エヴラジアートカって言われるのと、ユーラシアンって言われるのとどれが一番いい?」
「はあー? ・・・私Yちゃんっていう名前があるから、Yちゃんって呼ばれるのが一番いい。」

 ・・・。

 ともかくですね、上記のようにあれこれ考えましたが、結局細かく分けるのもいつか限界が来ますよ。
 混血の人同士が結婚するばあい、1人の子どもの中にいろんな民族の血が混ざるから、どこのパターンにも当てはまらないという人が絶対出てくるでしょう。
 クオーター同士の人が結婚して生まれた子どもは何ていうのか? (八分の一?)
 
 こうして考えると、現代社会では今後はハーフ(半分)とか言ってられないぐらい、混血の人の数が増えて、ますます複雑化してゆき、1000年も経てば100%純血の人のほうが数の上で少なくなる可能性が高いです。
 そうすると混血という言葉とか差別とか、「ハーフはやっぱりキレイだよねー。」という考えもなくなっていくでしょう。

 これが私が出した結論です。

 しかし今のベラルーシ社会を生きる私としては、うちの子はユーラシアンという名称を広めたいと思います。(一人勝手に・・・)(^^;)